『ぼっちとぽっち くつしたのおはなし』【今日の絵本だより 第169回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ぼっちとぽっち くつしたのおはなし』
まつばらのりこ/作・絵 岩崎書店 本体900円+税
11月11日は、くつしたの日。
「11」と「11」が、2足並べたくつしたに見えるところから。
(確かに! かわいい!!)
空気も少しずつ冷たくなって、あったかくつしたが恋しくなるこの季節。
くつしたの日にぴったりの絵本、『ぼっちとぽっち くつしたのおはなし』をご紹介します。
ぼっちとぽっちは、赤青ツートンカラーの、なかよしくつした。
出番の時も、お休みの時も、いつでもどこでもふたりは一緒。
そんなある日、ぽっちの頭に穴があきました。
「でも きっと、ねている あいだに なおっちゃうよ。」
……と思ったのに、夜中にぼっちが目を覚ましたら、
「あれ、ぽっちが いない!」
突然ひとりになって、さびしくてたまらないぼっち。
一体ぽっちは、どこへ行ってしまったのでしょう?
ふわふわだから、とりさんが巣に連れて行っちゃった?
宝物と思って、わんちゃんがかくしちゃった?
それともそれとも……、ぼっちの心配はとまりません。
いきなり主役の片割れが消えてしまうというミステリーなのですが、でも、大丈夫。
「ああ、よかった」と、ほっとするハッピーエンドが待っています。
お話もイラストも、なんとも温かい空気感。
しましま、水玉、ハート柄、他のくつした仲間もかわいいんですよ。
作者のまつばらのりこさんはイギリス在住、実はこちらの作品、2013年にイギリスで出版された『Bocchi and Pocchi: A Tale of Two Socks』の逆輸入版。
「ぼっちとぽっち」シリーズはイギリスで3作品発売中、スペイン語、カタロニア語、中国語、韓国語、ベトナム語、そして日本語の6カ国語に翻訳されています。
世界のいろんな国で愛されているくつしたコンビ、ぼっちとぽっちに、ぜひページを開いて会ってみてくださいね。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。