2020年11月16日

『まざっちゃおう! いろいろな いろの おはなし』【今日の絵本だより 第170回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『まざっちゃおう! いろいろな いろの おはなし』【今日の絵本だより 第170回】の画像1『まざっちゃおう!  いろいろな いろの おはなし
アリー・チャン/作・絵 小栗左多里/訳 フレーベル館 本体1400円+税

11月16日は、「いい(11)いろ(16)」で、いいいろの日。
色の絵本もいろいろありますが、今回は今年の2月に発売になったこちら、『まざっちゃおう!  いろいろな いろの おはなし』をご紹介します。

ここはあか、きいろ、あお、3つの色たちが暮らす街。
あかは、一番にぎやか。
きいろは、一番明るい。
あおは、一番すましてる。
みんなそれぞれ違うけれど、一緒に仲良く暮らしていました。
ところがある時、街の大通りで、あかがメガホンを手に大声で言い出しました。
「あかが さいこう!」
それを聞いて、きいろは言い返しました。
「ちがーう!  さいこうなのはきいろ。」
あおは、何も言いませんでした。
こうして3つの色たちは、あかむら、あおまち、きいろがおか、別々の場所に別れて暮らすことになりました。

そんなある日、ひとりのきいろと、ひとりのあおが出会いました。
あおは、きいろといるとなんだかうきうき。
きいろは、あおといると落ちつきます。
それからふたりは、いつも一緒。
違う色が一緒にいることに文句を言われることもありましたが、お互いが大好きだから、決めました。
「まざっちゃおう!」
そうして起こった素敵なことは、思わぬ幸せな連鎖を呼んで……。

原題は「MIXED」。
頭と心の柔らかい子どもの頃に、こんな絵本に出会えたら、とても素敵です。
多様性とかアイデンティティとか、難しい言葉を使わなくても大丈夫。
絵本はいつでも、大切なことをにっこり優しく教えてくれる。
この本はカバーをはずすと、カバーとは違う絵が表紙に出てくるんですよ。

『まざっちゃおう! いろいろな いろの おはなし』【今日の絵本だより 第170回】の画像2
ほら! こんなにたくさんの、いろいろな色!

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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