新型コロナウイルス感染予防。一番大切な「手洗い」をもう一度おさらい
2020年9月16日

新型コロナウイルス感染予防。一番大切な「手洗い」をもう一度おさらい

新型コロナウイルス感染症に関する情報は次々と出てきますが、医師の坂本先生は今あらためて「手洗い」の大切さを訴えます。手洗いの大切さを見直しましょう。

「手洗い」の大切さを再確認

――感染の心配から、帰宅後に持ち物全てを消毒しているというママも。

新型コロナウイルス感染症が流行し出した頃より情報がどんどん増え、やらなければならないことも増えましたね。
そのことで、基本となる手洗いの大切さを忘れている人が多くいるように思われます。感染予防の優先順位としてはまず「手洗い」だということをもう一度伝えたいですね。

全ての持ち物を消毒することは大変です。リスクをゼロにすることはできません。リスクをゼロに近づけようとするほど、デメリットの方が大きくなるかもしれません。
たとえば、消毒しすぎることで精神的にしんどくなる、本来気をつけるべきことに気がまわらなくなるなど。
また、家族や他人に対しても同じことを要求して関係が悪くなるとすれば、それはつらいですよね。

新型コロナウイルス感染予防。一番大切な「手洗い」をもう一度おさらいの画像1

「教えて! ドクター」ウェブサイトより

意外と知られていませんが、ウイルスと細菌は違うものです。
まず、細菌は生き物です。感染した場所で栄養分があれば増えていくのが細菌です。一方、新型コロナウイルスなどのウイルスは実は生き物ではありませんので、人の体の中でなければ増殖しません。

人間の手はさまざまなものを触るので、その手で口や目をこすることで感染していきます。帰宅後に持ち物を消毒するというよりは、まずは手をしっかりキレイに洗うことができていること、目や口、鼻など顔を触らないことを心がけることこそが大切です。

子どもの感染は
大人が守る

新型コロナウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染だということが分かっています。
今までは咳やくしゃみをすることで広まるのが飛沫感染のイメージでしたが、実際には話しているだけでも飛沫がけっこう飛んでいることも分かりました。厚生労働省のQ&Aにもあるのですが、5分間人と話すことは1回咳をするのと同じくらい飛沫を飛ばしているという報告があります。
会話が飛沫を飛ばすリスクになっているということですね。だからと言って、話をするなということではありません。仕事に出れば、会話をしないわけにはいきませんから、人との距離を保ち、換気の悪い場所では長時間の会話を避けるなど、注意することが大切です。

新型コロナウイルス感染予防。一番大切な「手洗い」をもう一度おさらいの画像2

ついつい子どもと大人を同じ感覚で考えてしまいますが、圧倒的に行動範囲が広いのは大人であり、その分感染リスクは高くなります。子どもへの感染は大人からの家庭内感染が大半ですから、まずは大人が外出先での感染に気を付けること。

そして大人も子どもも、手洗いが不十分になっていないか、手洗いの大切さをもう一度見直しましょう。

 

教えてくれたのは
坂本昌彦先生
さかもとまさひこ/佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。
 
教えて!ドクター:https://oshiete-dr.net

Photo by Adobe Stock

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