受診控えはしないで!予防接種や健診が不要不急ではないワケとは
2020年9月11日

受診控えはしないで!予防接種や健診が不要不急ではないワケとは

新型コロナウイルス感染症の流行により、感染の不安から子どもの受診控えが話題になっています。
予防接種の先送りや乳幼児健診の受診控えが、子どもの健康や成長に関わる可能性もあるワケとは。医師の坂本昌彦先生にお聞きしました。

予防接種

――新型コロナウイルス感染症が流行する今、感染をおそれて病院にお子さんを連れて行くことに躊躇する保護者は多いかもしれません。

今、世界中の人々が新型コロナウイルスのワクチンの開発を待っていると思います。
重症化しない病気にはワクチンは作られません。逆に言うと、ワクチンが作られている病気は、後遺症が残ったり、新型コロナウイルス感染症を見てもわかるように人間の社会にとても影響を及ぼすような病気です。
ワクチンは、そのような状況を変える力を持っていると思います。

予防接種は、すでにワクチンによって病気がコントロールされているために患者数が少なくなっている病気を予防するためのものです。そのため重要性がイメージしづらいかもしれません。

確かに今は、目の前の感染症のことで頭がいっぱいになっているかもしれません。しかし適切な時期に予防接種を控えることで、今までコントロールできていた病気がコントロールできなくなる可能性が出てしまいます。
新型コロナウイルス感染症をおそれて病院に行くのが心配という気持ちも理解できますが、ワクチンは不要不急ではないということはお伝えしたいです。 

乳幼児健診

受診控えはしないで!予防接種や健診が不要不急ではないワケとはの画像1

――では、乳幼児健診はどうでしょうか。

健診は、何のためにしているのかというのが伝わりづらいかもしれませんが、健診の“意義”というものを知って欲しいですね。
健診は、心配ごとがある人がそれを解消する場であると同時に、「発達についての問題や病気を、適切な時期に見つけることができる」場です。健診の機会を逃すことで、発達の問題や病気の発見が遅れてしまうことがあるということを知って欲しいです。

乳幼児健診は“集団”であることが多いため、市町村や自治体での中止が相次いでおり、そのことも保護者の「健診は控えた方が良いのかも」という考えに繋がっているのかもしれません。自治体などが中止を決めた場合は、かかりつけのクリニックなどに個別での申し込みができるかを聞いて、ぜひそちらで受けていただきたいですね。

 

教えてくれたのは
坂本昌彦先生
さかもとまさひこ/佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。
 
教えて!ドクター:https://oshiete-dr.net

Photo by Adobe Stock

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