『カッパもやっぱりキュウリでしょ?』【今日の絵本だより 第143回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『カッパもやっぱりキュウリでしょ?』
シゲタサヤカ/作 講談社 1540円
毎月19日(4月をのぞく)は、「いいきゅうりの日」。
なぜ4月以外なのかというと、4月19日は「良いきゅうりの日」として先に記念日登録されていたそうで……、つまり一年12か月、19日はきゅうりの日。
お店で一年中会えるとはいえ、夏のきゅうりはやはり格別。
7月の「いいきゅうりの日」に、きゅうりへの愛にあふれたこちらの一冊、『カッパもやっぱりキュウリでしょ?』をご紹介します。
「やべえ、キュウリが なくなっちまった。」
冷蔵庫をのぞいて、思わずあせるカッパ。
外はもう真っ暗な夜ですが、カッパの頭の中は大体いつも、キュウリのことでいっぱい。
どうしても寝る前にキュウリが食べたくて、お財布片手に家を飛び出します。
向かった先に待っていたのは、キュウリの自動販売機。
「まるごとキュウリ」「スティックキュウリ」「キュウリキャンディー」、いろいろ並んでいるけれど、カッパはいつも「わぎりのキュウリ」。
早速パリパリつまみ食いしながら夜道を戻ると、道の真ん中に何かが倒れています。
「わっ! でっかい キュウリだ!」
風邪を引いたようで震えているキュウリを、カッパはおぶって家に連れて行きます。
こんなでっかいキュウリ、元気になったらさぞかしおいしいはずと、下心からおかゆを作りベッドに寝かせて、せっせと介抱するカッパ。
ですがキュウリは元気になるはずが、何だかどんどんおかしな顔色に……?
昔話のような、ファンタジーのような、いやいや、このとびきりユニークな世界は、他の何にも似ていないシゲタサヤカワールド。
最初からずっとおかしな愉快なこと続き、ツッコミどころ満載ですが、お話はぐいぐい進みます。
そして思わぬキュウリの正体に、「えええ~!?」とびっくり。
その正体を知ってしまった後も、きっと何度も繰り返し読みたくなりますよ。
講談社の全国訪問おはなし隊隊長による、この絵本の読み聞かせのコツ解説も、ぜひご参考に!
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。