2019年11月26日

『おでんのおうさま』【今日の絵本だより 第89回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『おでんのおうさま』【今日の絵本だより 第89回】の画像1『おでんのおうさま』
山本祐司/作 ほるぷ出版 本体1350円+税

もうすぐ師走。
冷え込む日も増えてきて、あつあつおでんの恋しい季節になりましたね。
そんな時季にぴったりの新刊が、この秋発売になりました。
表紙からもうおいしそうな、『おでんのおうさま』です。

鍋の底から、準備ができただしこぶが呼びかけます。
「みなさん、きてくださーい」
それを聞いて、一番に
「じゃあ おれさまからだな」
と張り切るのは、がんも。
「じゅわ~っと ほろほろ うまい おれさまは、
 おでんの おうさまだ」
そこへ
「いやいや。
 おでんの おうさまは、おれだ。」
と、待ったをかけたのは、だいこん。
「じわじわ だしが しみこんで、
 てかてかに かがやいてくるんだぞー」
けんかになったふたりに、割って入ったのはこんにゃく。
あつあつぷるんぷるんのこんにゃくこそが、おうさまだと言い出します。
それから、ごぼうてん、しらたき、たまごにもちきんちゃく、みんな次々やってきて、我こそはおでんのおうさまだと大騒ぎ。
そこへ、だしこぶが一言。
おでんの真のおうさまは……。
粋な答はぜひ、絵本で確かめてみてくださいね。

誰がおでんのおうさまか。
この問題、家族の中でも意見が割れるかも?
それもまた、家族の食卓の楽しさのひとつ。
鍋料理の中でも、こんなにキャラクターがたくさんのお話ができてしまうおでんは、やっぱり冬ならではの特別料理。
お話の中には、くるまぶ、くろはんぺん、しゅうまいなど、地域色豊かなおでんだねも登場します。
子どもも大人も、それぞれイチオシのおうさまを、みーんな一緒にぐつぐつ煮込んで、ぽかぽかふーふー、いただきましょう!

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

シェア
ツイート
ブックマーク
トピックス

ページトップへ