
ハトとカメと暮らす日常。阿部結さんのアトリエには気になるものがいっぱい! 【夢眠ねむの絵本作家に会いたい!・10】
見つけた自分の居場所
夢眠ねむ(以下夢眠) 私、子ども向けの本屋をやっていますが、子どもが相手でもあんまり子ども扱いはしてないっていうか。無なんです。阿部さんはいかがですか?
阿部結(以下阿部) 絵本を作るときは、小さいお子さんからでもある程度理解ができる内容で、そしてできるだけ楽しんでもらえる所があるように考えて作ってはいます。
だけど絵本を作る上で一番軸としている部分は、まず自分がこう、「明日生きていける」って思いたい、思えるようなものを作りたいっていうか。自分の居場所がないように強く感じていた時期があって、ただ日々を生きるということが本当に辛かった時期が長くあったんです。
絵を描くことで居場所を自分で作っていけたから、それはよかったなと思ったんですけど。絵本を作ることで、なんとか「ああ、頑張って生きて作るぞ」と思えるみたいな。
あと、動物が。


阿部さんが一緒に暮らしている、ハトのクーちゃん(上)とカメのいろちゃん(下)。カメの写真のみ撮影/かくたみほ
自分にとってはこの子たちが奇跡のような存在で。自分の毎日にはこんな奇跡が存在していて、この奇跡と過ごす日々が素晴らしいことに何一つ間違いはないじゃん、って思えるようになりました。
夢眠 私も大学生のときに「なんか違う」みたいな時期があったので、ちょっとわかります。私、もうすぐ3歳の息子と気が合うんですけど。彼が大人っぽいのか、私が子どもなのかって考えてたんですけど、ただ気が合うだけだなってところに行き着いて。絵本も子ども向けっていうよりは、それを読んでいる子どもが「いい、好き」って思ったら「私も。気ぃ合う~」っていう感じでいいのかなと。
阿部 そうですね。子どもと言っても、ひとりひとりが違う人間だから、理解度も違えば好みも違いますよね。
「子ども」をこちらが勝手に定義して、そこに向かって絵本を作ることはできないなと思います。まずは自分自身が生きていく力になる作品を全力で作って、それが結果的に子どもたちに楽しんでもらえることが、自分の作品にとっての一番いいあり方なのかなと思います。
夢眠 そうなんですよ。だから今、こう、「生きてる、イェイ!」みたいな子たちと気が合ってるっていうのは、阿部さんも「生きてる、イェイ!」になってらっしゃるんじゃないでしょうか。
阿部 ああ、そうだとうれしいですね。
小さい頃の思いを絵本に
阿部 絵本作りにあたって、「これを伝えたいの!」という思いは、私の場合はあんまりなくて。自分の中では、「こういうものを表現したい」とか、「この中で自分なりの答えを見つけ出していきたい」とかがあって、きっとそれが、読む人にとっての「作者の伝えたいこと」につながっていくのかなとは思うんですけど。
自分は今これに興味があって、これを理解したいとか、この失われそうなものを残しておきたいとか、そういうところを軸に作っています。
もし私の作品が「子ども目線」と思っていただけるのだとしたら、多分、自分自身が幼いままのところがあるのかもしれないですね。
夢眠 幼いっていうよりは、小さい頃の気持ちをちゃんと覚えていて、それを形にされているのかなって思います。
阿部 そうですね、「子どものときにこうしてほしかった」みたいなところを、結構覚えています。
夢眠 『ねたふりゆうちゃん』は、「自分も寝たふり、やってたなあ」ってすごく思いました。車で寝たふりして、担いでもらってって。相当重くなってからも、多分、小学校中学年ぐらいまではやってたと思います。

『ねたふりゆうちゃん』
阿部結/作 白泉社 1320円
阿部 わかります~。私もやってました。
夢眠 しかもバレてますよね、多分。
阿部 バレてると思います(笑)。
夢眠 今、姪っ子が小3なんですけど、やっぱりバレてるのにやってて。ソファで寝てるふりして、「ううう~っ」って親が言いながら運んでる。「あ、全員やるんだ」って(笑)。
阿部 なんだろう、なんだか大事なもののように扱われてることがうれしい、みたいな感覚なのかな。
夢眠 で、一応起こさないようにソーッと運んでくれたり、そのあとなでてもらったりしたら、ふふんって。
阿部 そうですね、布団を優しくかけてもらったり。






































