2019年12月13日

声色を変えずにいられないのは職業病!? アナウンサー松丸友紀さんの絵本の読み聞かせ【うちの読み聞かせ・4】

気になるあのママ・パパは、絵本をどんな風に楽しんでいるの? 親子の読み聞かせについて伺うこの連載。第4回は2歳児のママでありながら、毎日生放送のレギュラー番組を抱え、仕事も子育ても全力投球している、テレビ東京アナウンサーの松丸友紀さんです。

絵本の読み方に正解はない
読み聞かせで、心豊かに

――アナウンサーとしてニュースやバラエティ、アニメのアフレコなど、台本を読むことが日常の松丸さん。仕事を離れて、お子さんに読み聞かせをする時はどのような感じなのでしょうか?

仕事では番組によって自然と声を使い分けているんですよね。例えばドキュメンタリー番組のナレーションなら落ち着いた声で……とか。

そのせいか、絵本を手にして表紙を見ると、スッと読み方が決まるんです。おばけの絵本だから低めの声とか。あと、これは職業病なんでしょうけど、「 」の中は声色を変えずにはいられない(笑)。

先日、病院の待合室で『アンパンマン』の役を演じ分けながら、全力で読み聞かせていたんです。「はっひふっへほ~」とかモノマネしながら。そうしたら、声が大きかったらしく、周りにいたママから「読み聞かせってああやってやるんですね! 勉強になりました」と言われ、すごい恥ずかしかった。

毎日こってりした洋食だったら、たまにはあっさりしたものが食べたくなるように、最近、息子は「パパ読んで!」と夫に読み聞かせをねだるようになっています(苦笑)。

――旦那さんも読み聞かせが上手なんですね。

それが棒読みなんです。「いや、そこはそういう読み方じゃないよね」って言っちゃいそうなんですけど、いつも口を挟みたくなるのをグッとこらえてます。

声色を変えずにいられないのは職業病!? アナウンサー松丸友紀さんの絵本の読み聞かせ【うちの読み聞かせ・4】の画像1

最近は、パパの読み聞かせも大好きです!

絵本の読み方って正解はないですし、読み聞かせは子どもの心が豊かになると思うので。わが家では家族団らんの時間のなかに、絵本の読み聞かせを入れようと夫婦で話し合って決めているんです。

2歳半の息子は本当に絵本が大好きで、朝夕問わず、絵本棚から「これ読んで」と自分で絵本を持ってきます。朝は時間がなくてバタバタしているので、他のことで誤魔化したり、短めの本を読むくらいですが、夜は時間をかけてストーリー性のあるものなど、毎日6〜7冊は読んでいます。

 ――松丸さんご自身も小さい時はよく読み聞かせをしてもらっていたんですか?

うちには絵本が100冊くらいあったんですが、両親が共働きで、読み聞かせをしてもらった記憶があまりありません。だから反面教師ですよね(笑)。でも、その時に本が好きになって、朗読が好きになって……、ということが、今の職業につながっているのかもしれません。

 ――絵本はどのように選んでいますか?

一緒に本屋さんに行って、本人に1冊選ばせています。読み聞かせの本も自分で本棚から持ってくるし、基本的にすベて息子の好きな本。自主性に任せています。このあいだ、本屋さんに行った時も、クリスマスだからと思って『くるみ割り人形』を勧めてみたのですが、「違う」って一蹴されました……。結局買ったのは、『クリスマストレインしゅっぱつ』(視覚デザイン研究所)という、いま息子が夢中になっている「電車」満載の本。それもクリスマスの絵本ではありましたが。

シンプルな本ほどスキルが試される!
愛猫似の猫が出てくる絵本がお気に入り

――では、松丸さんと息子さんのお気に入りの絵本を3冊、教えてください。

『いっしょにあそぼ しましまぐるぐる』(かしわらあきお/絵 学研プラス)

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出産前にプレゼントでもらった息子のファーストブック。対象年齢は6か月からと書いてあったんですが「今読んだらどうだろう?」と2か月の時に読んでみたら、初めて笑ったんです! 色もはっきりしているので、目で追ったり、子どもの成長を感じることができました。

ちなみに、シンプルな絵本ほど読むのが難しく、スキルが試されます(笑)。なので、「ぐるぐるぐる」という文章もイントネーションで変化をつけたり、「ワンワン」だけ犬の鳴き声にしてみたり……。また、「青いぐるぐるどれ?」「ありさんどこ?」など、絵本を使って会話も楽しんでいます。

『ばけねこ ぞろぞろ』
(石黒亜矢子/作 あかね書房)

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こんなに怖そうな絵ですが、1歳半ごろから読みはじめ、大好きすぎて、破けているページもあってボロボロなんです(苦笑)。

おどろおどろしく読んでいますが、それでも大好きみたい。やっぱり男の子ですよね。絵だけを見ると怖そうな話のようですが、実は動物愛護の要素もあるとてもいいお話。我が家では猫を2匹飼っているので、気づくと猫にまつわる絵本が多くなっていました。飼い猫は黒猫とベンガル猫で、息子は特に黒猫と仲良し。なので、絵本の中に黒猫が出てくるたび「クロエ(黒猫の名前)だー!」と喜んで反応しています。

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息子のお気に入りのページです。

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好きすぎて破れてしまいましたが……、テープで貼って、読んでいます。

『きょうのおやつは』
(わたなべちなつ/作 福音館書店)

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7か月の時に先輩ママからクリスマスプレゼントでもらった、全ページ鏡のような仕様になっている仕掛け絵本。ホットケーキを作る過程が描かれているのですが、フライパンに手を出したら「あつい!」と言ったりして、反応も楽しめます。

最後に2人分のホットケーキが完成するのですが、「ママどうぞ」って半分くれるんです。一人っ子の息子に、「分け与える」ということをどう伝えようか考えていたのですが、この絵本を通して、思いやりとともに伝えることができました。月齢が進むごとに反応が変わるのも楽しいですし、こちらの絵本にも黒猫が出てくるのですが、愛猫の名前に読み替えて読み聞かせをしています。

 ――単に絵本を読むだけではなく、遊びに発展するように工夫したり、反応を引き出したり、読み聞かせを楽しまれていますね。

育休から復帰して1年経ったのですが、復帰当初はまず仕事優先! と思っていたんです。そんな中で12月16日から始まる0〜2歳児向け新番組『シナぷしゅ』の企画に携わることになり、考え方が変わりました。

この番組は、社内の子育て社員が集まって作っている番組で、子育て経験のすべてが活きる。この番組に出会ったことで「息子の成長を1ミリも見逃さずに、子どもと向き合いたい!」「今この時間をいっそう大切にしたい!」という思いが強くなりました。テレビ東京に入社して15年ですが、今が一番楽しいです。

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『シナぷしゅ』の番組がきっかけで、保育園での絵本の読み聞かせにも挑戦! 1~4歳の園児の前で絵本を読みました。

――この番組では松丸さんもプロデューサーとしてかかわっているのですね。子育て経験が番組作りにこんなふうに活かされた、というエピソードなどありますか?

うちの子は電車が好きで、いつも電車の連結を目をキラキラさせて見ているんです。ある日「ママ、がっしゃんしよう」って言われたことがあったんですが、それは”手をつなごう”っていうことだった。その時に、「そうか、手をつなぐ、何かと繋がることも連結なんだな」って思って。それで、身近にあるつながっているものを探す「がっしゃん」というコーナーが生まれました。

――息子さんの言葉でコーナーが生まれるなんて素敵です。

ほかにも「シナぷしゅダンス」の振り付けも担当しました。これはバラエティ番組『ゴッドタン』の経験が活きている感じですが(笑)。

13年『ゴッドタン』を担当してきて、笑いってすごいパワーを持っていると感じています。だから家でも、いけないことは叱るけど、最後は笑いで終わらせるような、いつも笑いのある家庭にしたいと思っています。延々と「うんこ」のつく言葉が続く絵本『うんこしりとり』(白泉社)を読みながら家族でゲラゲラ笑ったり、絵本も笑いに活用しています。

声色を変えずにいられないのは職業病!? アナウンサー松丸友紀さんの絵本の読み聞かせ【うちの読み聞かせ・4】の画像8松丸友紀(まつまる・ゆうき)

テレビ東京アナウンサー。2017年5月第1子出産、2018年10月に育休から復帰し、現在、夕方の情報番組『よじごじ Days』、深夜バラエティ番組『ゴッドタン』、アニメ『ラビッツ インベーション』の声優などを担当。
0〜2歳児向け新番組『シナぷしゅ』[2019年12月16日(月)〜20日(金) あさ7時35分〜8時放送予定] ではプロデューサーを務める。
『シナぷしゅ』番組サイト https://www.tv-tokyo.co.jp/synapusyu/

取材・文/吉田理栄子

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