
思春期の子どもが、ポツリポツリの胸の内を明かしてくれることも。台所が持つ力【日登美のタベコト in Berlin・98】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
子どもは台所で遊ばせよう
6人の子育てをしてきて、ぜひみなさんにおすすめしたいことがあります。それが「子どもは台所で遊ばせよう」です。
自分がご飯を支度する間、子どもにテレビを見せてなんとか時間稼ぎをしたい気持ちは痛いほどわかります! けれど、散らかっていてもいいから、おかずなんて1品でいいから、台所で料理するお母さんお父さんのもとで、わちゃわちゃさせてみてほしいのです。

友達が来た時も、クッキー作りなど台所で楽しめる遊びを我が家ではよく取り入れています。
もちろん危険なものからは避けなければいけないし、無理にではなくですけれど。台所ってかっこうの遊び場なんですよ。
そして、その積み重ねで子どもはいつしか自分で料理をするようになってしまうの。料理するのが大事ってわけじゃないのだけれど、お腹が空いたらご飯を食べる、作る、ってすごくシンプルな人間の欲求を満たす行為なんですよね。そういうことが身につくと、実は思春期の生きづらさを助けてくれたりもする。ひいては大人になった自分を根底から支えてくれたりもするのです。

思春期は苦労したけど、自分でバーガー作っちゃうようだったら大丈夫(笑)。食は心のバロメーターでもある。
台所での玉ねぎの皮を剥き続けたり、お母さんの真似をしてホイッパーでボールをかき回したり、バナナを危なくない包丁で切ってみたり、粉を団子にしてみたり、葉っぱをちぎったり、そんな些細な全てが、もしかしたら大きくなった時の危機や困難を助けてくれる力になるかもしれない。思春期に引きこもってる子どもでも、ご飯さえ食べてりゃなんとかなります。どんなにグレて、悪ぶっても、ご飯作って食べるようだったら絶対大丈夫です。
そしてなぜかリビングでは面と向かって話せないことも、台所でならポツリポツリと胸の内を明かしてくれる、ということもあるのです。

狭くても、散らかっていても、とにかくみんなで台所に集まろう! 日々の台所は命綱を育む。
子どもの頃からの台所で過ごした時間と、お腹を満たした味、その時間と思い出がいつしか体を大きく育てるだけでなく、命をつなぐ何かになる。それは台所で結ぶ命綱。そんなふうに今では思います。

お弁当も面倒くさいだけじゃなく、やっぱり心をつなぐものでもあるんだよね。無理なく出来るように続けていきたい。
だから、面倒くさいこともあると思うけど、手抜きをしていいから、料理下手でもいいから、台所で子どもと紡ぐ時間を大切にしてほしいなと思います。子育てって些細なことが万事に通じる不思議なお仕事です。教育も、育児も大切な軸は暮らしの中にある。台所はそのまさに中心となる場所だと思うのです。
オンライン講座のお知らせです!
5月8日(木)、9日(金)、10日(土)に、日登美さんのオンライン講座が開催されます。テーマは「メディアと子育て」で全3回。デジタル時代の子育てをどうしたらいいか? メディアを遠ざける子育てのヒントを交えてお伝えする内容です。
詳しくはこちらから

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
音声プラットホームvoicyで「日登美のイロイロ子育てラジオ」発信開始!