お弁当の見かけや品数なんて、幼い子どもは気にしない。そんな時間を使うより、朝はゆっくり寝ていたい【日登美のタベコト in Berlin・60】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
お弁当の理想の姿
とにかくドイツ育児の何が楽かってご飯に手をかけなくていいことです。我が家は子どもがご飯党なのでお米は炊きますが、朝から炊き立て、ということは最近ではほとんどありません。
夜にご飯を炊いたら、翌朝は残ったもので雑炊、お粥、チャーハンでいい。炊き立てを食べるのは1日1回でもいいんじゃない?と思うようになりました。そして、持たせるお弁当に入れるのは、いつもサンドイッチ、茹でたブロッコリーやお芋などの野菜か生の人参、きゅうり、トマトなど。そして季節の果物、ローストナッツなどのナッツ類を少々。
人によってはチーズやサラミなどのタンパク質も入れるようですが、我が家のおちびは菜食なので、パンにもビーガンスプレッドがあれば満足。調理をするものは極力いれません。そんな時間を使うより、朝はみんなゆっくり寝ていたいのです。小学校の低学年くらいまでならこれで十分。至極シンプルですが、栄養素的にも満たされているんです。
このドイツ式シンプル弁当のコツは質にはこだわること。できるだけオーガニックのもの、そしてパンは天然酵母の全粒粉系がみなさん基本のようです。けれどそれでも単純なものばかりなので、お金がかかるってわけではありません。
はっきり言って幼い子どもほど、もともとお弁当の見かけなんか気にしないんです。そしてメニューも毎日同じでむしろ喜ばれます。同じものを繰り返し食べたがる傾向もあります。手を変え品を変えして、こだわったお弁当を作って欲しいわけじゃないんです。それより、お弁当にかける時間を短くしてお母さんと一緒に遊べる時間を作る方がうんと喜びます。
そう考えると、私たちは一体何のためにそんなに必死にお弁当を作っているのでしょう? 見かけや品数なんてもう気にする必要はありません! ドイツでは誰もお弁当の見かけを気にする子どもはいません。つまり、大人もそんなことは気にしないのです。
それよりもちゃんと必要量が入った食べられるものを持たせる、というお弁当の最低条件が守られていればいいのです。だからお弁当さえもってきていれば、どんな内容でも子どもは惨めな思いをすることもありません。お母さんたちだって毎日のお弁当ストレスなんて一切なし。お弁当って本来そういうものなんじゃないでしょうか。
特に子どもが小さいうちは、お母さんを台所に縛り付けるようなお弁当や食育ってどうなのかなって思うんです。子どもたちを見ていると、この時期お弁当より大事なことってもっとあるな、と思います。ドイツ式弁当はストレスフリーな食育と暮らしの理想的な形かもしれません。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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