持ち寄りの一品は「袋に入ったままのにんじん」でいい。質素で雑!? だけどそれが心地いい、ドイツ式ピクニック【日登美のタベコト in Berlin・56】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
ドイツの新学年
日本から帰ってきて1か月。ドイツでは新学年も始まってまたいつもの暮らしのリズムが戻ってきました。そこで改めて実感したのは、ドイツ式台所が超絶楽ちんで心地いい!ってこと。フリューシュトゥックと呼ばれる朝ごはんを持っていく学校生活でも、誰もすごい弁当なんか持ってこないのはやっぱり相変わらずでホッとする。お腹が空いてればなんでも美味しく食べるんだから、といわんばかりに黒いパンにバターが塗ってあるもの、にんじん丸齧り、りんご……。これが定番。それ以外期待されないという気軽さよ。
ピクニックに行くから何か持ち寄りましょう!といわれたら、にんじん1キロ袋に入ったまま持っていけばいい(笑)。切ってすらいない。洗ってすらいない! 皮ごと! 大人も子どももバリバリガリガリかじっている!! それでいいのだ、ピクニック。パンの塊にチーズの塊、丸ごと野菜と果物がドーンと置いてあるのがピクニック。
だってさ、いろいろ手の込んだもの作ってピクニックで遊ぶ前に疲れちゃったら意味ないもんね、と言わんばかりの持ち寄り式。でもね、その潔さがそれはそれで素敵に見えちゃうのがドイツ流。
もちろんハレとケを使い分け、入学式のパーティーなどの持ち寄りはみんな気合いをいれてお得意のケーキやオーブンの型で焼いたピザなどをドーンと持ち寄りますが、それでもやっぱり1品どーんとお腹がいっぱいになるように作ればオッケー。食事はお腹を満たすもの、という基準さえクリアすればいいのです。そして1品あれば満足してくれる。なんて楽なんでしょう。
質素と言えば質素、雑と言えば雑かもしれませんが、忙しい現代社会。それくらいのほうが心地よく過ごせる気がするのです。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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