2022年3月26日

え? 食育のハードル低くない? おやつに入れるとドイツ人に驚かれるもの【日登美のタベコト in Berlin・19】

ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主催している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイ、第19回です。

おやつに入れるとドイツ人に驚かれるもの

ドイツでは野菜はおやつに出てきます。決まってあるのが、きゅうり、人参、パプリカ、コールラビのスティック。とにかく生で切ってタッパーにぶち込んで(という表現がぴったりな大胆さなのです(笑))ボリボリ食べる。それで親御さんは安心しているように思います。それ以外ではご飯の時間はパン、サラミ、チーズ、もしくはパスタにトマトソースの瓶を温めてかけたもの、ピザ、というルーティーンが結構主流です。調理された野菜は、きちんと調理したご飯を食べる機会がない限り食べないという感じなんですね。そして毎食調理したものを食べる家庭も意外と少ないドイツ。

紫のサツマイモもおやつに入れたら驚かれました。何これ?って(笑)。

そんなある日、我が子たちが学校に持っていったおやつに先生が驚きました。何が入っていたかって? それは枝豆。あるいは、ある夏の日の茹でとうもろこし、はたまた日本から届いた干し芋。子どもが調理された野菜をおやつで食べている衝撃!(笑)。他の子どもたちもびっくりです。枝豆は日本レストランに行ったことがある子どもたちは知っているので、欲しがります。茹でとうもろこしは意外と甘いということにさらに驚きます、干し芋は見かけが微妙でここでも驚きます。しかも余計なソースやスパイス、調味料の味付けは一切なしで子どもが調理した野菜を食べている。そんなバカな、というわけなのです(ドイツではフライドポテトも塩だけで食べる人はほとんどいません、絶対ケチャップをつけます、なんならマヨネーズまでつけます、調味料は欠かせないのです)。

息子の誕生日会、定番の海苔巻きと茹でとうもろこし。子どもにも親にも人気という……。

これが先生びっくりおやつ。塩茹でもろこし! ケチャップなし!

誕生日会のスナックに、これらの茹で野菜をおやつに用意しておいたら、他の親御さんにいたく感動されました。「お宅の食育は素晴らしいわ!」と。いや、日本ではこれめっちゃ普通なんですけどね。枝豆、とうもろこし、かぼちゃにサツマイモ。茹でたじゃがいも、里芋などなど、考えてみると日本では結構子どもたちもおやつで調理した野菜を食べますよね。それってすでにドイツでは食育の部類に入るくらい稀有なことだと知った今日この頃。え? 食育のハードル低くない?と思ってほくそ笑んでいる私です。

枝豆を持っていくと、他の子が欲しがるらしい。ドイツのお母さん、買ってやってください(笑)。

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。 

台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)
instagram / @hitomihigashi_b
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