2021年10月16日

思春期の子どもの異変にも気づきやすい。ベルリンの台所マジック!【日登美のタベコト in Berlin・8】

ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主催している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイ、第8回です。

台所が社交の場。ベルリンのキッチン

ドイツの暮らしって気取りがないんです。気取らなすぎてちょっと気取って欲しいくらい(笑)。実質主義というか、食卓でも「お腹が膨れたらいい!」みたいなところが基本的にあるなぁと思います。けれど同時に、気取らない、裏表がないというか……、そういうのがドイツの良さでもあるなと思うのです。それを象徴しているのがベルリンのキッチンです。

ベルリンに来てびっくりしたのは、家にいくとかなりの確率で台所に通されることです。「あ、今パスタ食べてるの。一緒に食べる?」とか、ちょーフツー。初めて誘われた家に緊張して入ったときの、不意打ちされるかのようなこの台所攻撃は、ほろっと心が解ける瞬間です。割とごちゃごちゃした生活感のある、リアルな場所、台所。日本だったらお勝手は覗きたいけど覗いたら失礼、みたいな雰囲気あるじゃないですか。でもベルリンはどーんと腹を割って、じゃないですけど。懐に招き入れると言うか、そんな感じで台所に集うのです。

夜の来客を迎えるのもキッチン。大きな子たちがご飯を作ったりして。

ベルリンのアーティスト友達の家に招かれた時もやはり通されたのはキッチン。

台所で作って、食べて、皿洗い。全部を一緒にした精進料理。こんなもてなし方も気さくでいいよね。

コンパクトな台所に、小さなテーブルと椅子があって。大体そこで朝ごはんを家族で食べたり、ささっと夕飯を済ませたりする憩いの場が台所。リビングでみんな揃ってドーンとご飯というより、ごちゃっとしていながらほわっと温かい、いろんな匂いがする台所で食べるんですね、日頃は。

コーヒーをいれて、ワインをついで、パスタを茹でて、パンをかじって。そういう場所に一緒にいると、なんだか家族になった気分になっちゃいます。かく申す私も、自慢できるような立派なキッチンではないけれど、うちに来たお友達と一緒にご飯作ろっか?なんて言いながら、ささっとご飯を作って一緒に食べてワインを飲んで。気がつけばそんなベルリナーの暮らしが心地よくなっているのであります。

ささっとカルボナーラを作ったゲスト。あるもので台所で、の気軽さ。

我が家は子どもがたくさんいるので、狭いキッチンで全員でご飯を食べるのは無理なのですけど、逆にそれを利用して時間差で個別食卓を囲むというのも意外といいと気が付きました。歳の差のある兄弟なので、小さい子は小さい子のリズムで食べられるし。大きな子はまた話す内容や食べるものも違ったりするんで。台所で子どもと個人面談(笑)している感じです。これ、思春期の子どもなんか特にいいですよ。おいしいもの食べながらだと気分良くなってあれこれ話してくれますし、異変にも気づきやすい(笑)。これって台所マジックだな、と思っています。

ご飯作りって意外と会話が弾む。やはり台所マジック!

小さい子との台所はもっぱら一緒にお菓子作り。これまた愉しい。

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。 

台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)
instagram / @hitomihigashi_b
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