2021年3月6日

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】

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海外ではどんな子育てをしているの? 日本から離れて子育てをするママたちに、海外でのようすを教えてもらう「教えて! 世界の子育て」。
場所や文化が違うと、子育ては違うのでしょうか。日本での子育てや生活と同じこと、違うこと。各国からリアルな声を伝えてもらいます。

ドイツで妊娠・出産の時期を過ごし、子育てをする中原さん。今回は、久々に目にした妊娠中の手帳から、ふたりのお子さんの妊娠期、出産期について振り返ります。後編では、ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在の「ヘバメ」さんの本領発揮! また、出産準備教室、そして産院での衝撃の食事内容などをご紹介します!

声に出して読みたい長いドイツ語
「Geburtsvoebereitungskurs(ゲボーツフォーバライトングスコース)」

安定期に入ってきた頃、平日の夜に約10回、先ほど声に出して読んでいただいた「Geburtsvoebereitungskursゲボーツフォーバライトングスコース(出産準備教室)」が開かれました。
講師はスザンネの同僚のヘバメさん。出産準備と銘打っていますが、妊婦さん向けというより親になっていくふたりのためのものという内容です。

さらにその親世代の参加も見られ、出産についての最新の知識を学ぶのだそうです。えっ、めちゃ素敵じゃない!? バーバになるための準備をするなんて。

教室では、妊婦さんの体や出産の仕組みを知らない方にも分かりやすいように、図や模型で解説がなされていきました。どのように妊娠が進んでいくのか、今の妊婦さんの体の状態はどうなっており、どんな感覚なのか。どのように陣痛が始まりお産が進んでいくのか。そこに向けてお互いどう心構えをし、どう準備し、家族は何ができるのか。妊婦さんはどのように家族と協力しあっていくか。
そういったことがヘバメさんから語られました。

お産は妊婦さんだけのものではありません。家族も出産がどのようなものなのか知っておいた方がいいんですよ、というヘバメさんの言葉にはハッとさせられました。

私自身も自分の妊娠が進むまで、体の中でいったい何が起きているのか知りもしませんでした。普段よりもイライラしたり、しんどかったり、でもそれは全て自分の問題だからほっといてくれ! 私は産むのをがんばらなきゃならないんだから! という自分の焦る気持ちばかりが強くて、夫の寄り添おうとする気持ちを置いてけぼりにしていたのでした。
でも、そこをゲボーツフォーバライトングスコースはうまく拾い上げてくれました。

実際ここで学んだことは出産の時、大いに役立ちました。 出産に立ち会った夫は「今リンゼは体を旋回させて出てきてるかな」「ここを押すと楽になるんだよね? ここ?」など、出産のまさにその時に、体の中で何が起きているかを想像しながら私と一緒に出産をしてくれたのでした。

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像1

立ち合い出産を希望するカップルにはマッサージの練習もありました。おむつの換え方や沐浴のさせ方も教わるかな? と思っていましたが産後のことや育児のことは全く習わず! 退院までに何が起きるかのみを丁寧に説明してくれるというコースでした

妊娠中の体重増加は
20kgまでOK!?

妊娠後しばらくして、つわりがおさまって食欲が戻ってくると、食べられることへの感謝が心の中に溢れて来ます。ああおいしい。何を食べてもおいしいってこんなにも尊いことだったのか。
溢れ出る白米を愛する気持ちをそのまま大切にしていたら……あらら? 私ったらこんなに丸かったかしら。妊娠6か月になる頃には、体重は10kgも増えていました。

ちょっぴり肥えたかな、と思いインターネットで日本の情報を調べると、ぎゃ!  私の元の体重だと、臨月でも増量は9kgまでってあるから……もうオーバーしてる。
そして出るわ出るわ体重管理体験談、産院の先生から厳しく指導されているようすなどが書かれています。

これ、わたし、婦人科の先生にバッチバチに怒られるかも……と引く血の気。先生に懺悔するような気持ちで恐る恐る体重の件を切り出すと「20kgまで増えて大丈夫だから~」
え! 20kg!?  先生曰く「体重管理は膝や腰を守る意味でも大事だけど、無理して管理する必要は無い。妊婦糖尿病やその他疾患は、体質も鑑みつつ毎回の血液検査と尿検査で見ている。問題があったら言う。心配せずに妊婦生活エンジョイしろ」と。

国が変わると常識も変わるとは聞いていましたが、まさかもっと増えて良い、もっと白米エンジョイして良いと言われるとは思いませんでした。日本人とドイツ人とでは体質も骨格も違いますから管理の方針も違うのでしょう。
少しは節制しよう……と思いつつも、結局、ご飯が美味しいのには逆えず運動嫌いも変わらず、中型の冷蔵庫のような体型になって出産を迎えたのでした。

こんなにも違った
2度の出産

予定日1か月前から、婦人科での検診に加え、産院での検診とカウンセリングが行われるようになりました。
そこで帝王切開以外の人は、普通分娩、無痛分娩、水中分娩などから自分の希望の分娩スタイルを伝えます。私は出産の痛みが鼻からスイカを出すようだと聞いていたので、それは是非とも出してみたいものだ、どんな痛みなのだろうと普通分娩を希望しました。
だって鼻からスイカってやってみたくとも試しようがないではありませんか。

そして希望通り、長女リンゼの時は「鼻からスイカ」を30時間も味わうことができました。想像だにしていなかった長丁場になり、最後は眠気と痛みで「後生だから切ってくれ! ひとおもいに切ってくれ!」と叫び、泣きながら先生に取り縋って懇願するも「無痛に切り替えるにゃ遅いわ。あんたまだまだ元気だから呼吸で乗り切れ、でもまだいきむな、ほれヒッヒッフー」と諭され、なが~い持久走の末に無事出産しました。

私も、30時間ずっと付き添った夫も、へろへろのしおっしおでした。朦朧とする意識の中で、子どもの名前を聞かれ、さっさと出生証明に書き込まれたのはちらっと見えました。
ちょ、ちょっとまって……それ、まだ候補……などと口を挟む隙は無し。書類仕事がドライで早い。カンガルーケアの後、お産が立て込んでいるとのことですぐ病室に移動。生まれたてホヤホヤのリンゼも一緒です。タイミング良く個室が空き、精も根も尽き果てしなびた夫も泊まることに。家族が増えた最初の夜を一緒に過ごしました。

一方、2年後の次女おイモさんの出産では前回の長期戦の経験を踏まえ、前駆陣痛が来た時点で義母にリンゼを預けました。
前もって半身浴で体を温め、頭髪を洗い清めて精神を統一し、本陣痛を迎えながらラムネをぼりぼりかじって、ブドウ糖という兵糧を血中に補給。準備を万端にして迎えうったのです。

陣痛の感覚が10分を切ったところで、では行って参ると落ち着いて立ち上がった私への義母の励ましは「30時間より短いといいわね~! がんば♪ ニコッ♪」

夫の運転する車で産院へ。いざ参らん出陣じゃ! と駐車場から検診室までのっしのっしと勇ましく歩き、内診が済むと、「は~い。今いきんでいいですよー。」 あらっ、もういいの? フン! すぽーん! おぎゃー! おイモさんうまれたー!
家を出てから30分というスピード出産。同じお産って無いんだな……。と、しみじみ思ったのでした。

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像2

こちらは産院の部屋のようす。大部屋でも個室でも赤ちゃんと一緒です。部屋ごとにシャワーとトイレとおむつ台がついており、退院するまで肌着とロンパースとおむつは産院のものを使います。
また、新生児のおしり拭きには、濡らした温かいガーゼをじゃんじゃん使うようにと、棚の中には清潔なガーゼやハンドタオルがたくさん。赤ちゃんをおむつ台の上に乗せる前に洗面所に行ってガーゼをお湯で湿らせてくるように! 先に乗せたら事故が起きるからねと指導されました。

耐えられない!
産院での朝食はコレ!

出産が無事に終わると、赤ちゃんと同じ部屋で寝起きし退院までの日程をこなします。普通分娩3日、帝王切開5日。これが病院での滞在日数です。産後3日で退院なんです! この3日のうちに産後の母体のようすをみて、新生児の最初の健康診断を済ませ、せわしなく退院していくのです。

滞在日数が少ないので持ち物も微々たる物で、楽といえば楽でしたが(持ち物は、自分が院内を歩くときの服と靴、シャンプー、歯ブラシ、帰るときの服、赤ちゃんが帰る時に着る服、以上!)。
でもよかった。ほんと3日でよかった……耐えられない。あの食事は耐えられない。

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これ何だと思いますか。私の産院での朝食です。これが配膳されてきた時、思わず吹き出してしまいました。何の冗談かと。

こちらの薄いパン、サンドイッチ用の薄切りみたいな、と言えば伝わるでしょうか。それがしばらく外気にさらされて、表面がカサっとしたものを想像して頂きたいです。そしてこの1枚の薄いパンに対し、リッチに2つ添えられているのは、バターです。
柔らかなマーガリンとかではなく、寒い廊下にしばらく放置されてカッチカチに固まったバター。え、これ、そのままかじればいいのかな?

そして横のピンクのものは、苺の香りのするとろっとした小麦粉のスープです。苺の香りがするのに甘くないというものすごい違和感。写真、撮っておいてよかった。あの味を、今も鮮明に思い出すことができるから……。

私は夫に頼んでご飯とふりかけを家から持って来てもらっていました。いくら面白くっても、こんなん量が全然足らんわい! 他の人はどうしてるんだろうと隣の部屋を見ると、普通に、このバターを2つ、薄いパンにのせて食べてる。
みんなこれで足りているんだろうか。この人も食べ物を持ち込んでいるのだろうか。

食事が笑えるほど貧相な割には、Stillteeシュティルテー(産後の体・授乳に良いとされるハーブティー)は飲めるだけ飲むようにと、次から次へとボットが持ってこられ飲んだ量も記録されます。

ハーブティーもいいけれど、産後の体には美味しいごはんも大切でしょうに。ドイツにだっておいしいごはんがたくさんあるのに。
食事に対する重きの置き方が違うんだなと、文化の違いに衝撃を受けた一件でした。

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こちらは昼食。申し訳程度に生野菜がついています。

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像5

そしてこちら、友達が撮っておいてくれた同じ産院の夕飯。ちょ、ちょっとだけ豪華!!

私のテクニックじゃ
小さな赤ちゃんの大きな鼻くそが取れない!

3日が過ぎて無事退院しました。さあ、いよいよ私たちだけの子育てが始まります。私も夫も不安でいっぱい。
だってまだ沐浴のさせ方もわかんない。母乳が出てるかも確認できてない。

でも、大丈夫。なんとも心強いことに退院後7日間は、毎日ヘバメのスザンネが来て赤ちゃんのようすを見たり母体の戻りをチェックしたりしてくれるのです(産院への勤務の合間を縫って!)。
さらにその後も引き続きスザンネは2か月の間、週1回のペースで訪問に来て、はじめての育児でわからない事がないか、困っていることはないかサポートしてくれます。

スザンネのサポートの本番は産後にあった、というわけなのです。

産後ってわからないことだらけだし、体もガタガタだし、いろいろ不安じゃないですか。生まれたての、ふよふよの赤ちゃんを抱っこするだけでもおぼつかないのに、しゃっくりが出たら「発作か!」おおきな鼻くそに「どうやって取ったらいいの?」不思議な色のウンチに「感染か!」と、小さなことが大きな不安に育ちがち。
ですがヘバメさんが毎日来てくれると思うだけで「鼻くそはあしたスザンネに聞けばいっか」と、パニックになることなく安心して過ごすことができました。

小児科医や産婦人科へは引き続き通いますが、スザンネは毎日赤ちゃんの体重を計りその推移を記録、母乳の出を見ておすすめのハーブを教えてくれ、おっぱいの張りを見てマッサージをしたり搾乳のアドバイスをくれたり。そんな寄り添った助言だけでなく、私や夫が疲れ切っていないか、食事や睡眠をとれているかという精神面まで支えてくれます。

さらにうれしいのが、ヘバメさんのサポートは保険が適用されるので費用を心配する必要がないことです。ドイツは核家族が多い上に、里帰りの習慣も無いのでヘバメさんの存在がとても大きいのです。家庭によって家の大きさや設備、ライフスタイルが違うことにも対応。おむつひとつ取っても、布おむつ派か紙おむつ派かなど、その家の方針を知った上で適切な指導をしてくれます。
こりゃ先輩ママがヘバメさん大事だよ! って言うわけだわ。

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像6

トートバックに穴が空いたようなハカリで毎日体重測定していました。当時の日記には忘れかけていた出来事がたくさん詰まっていました

コロナ禍で人と会うことが厳しく制限されているロックダウン中のドイツ。産院の様子やヘバメさんの訪問も大きく変化していることでしょう。産後の面会も禁止されているので食事が足りなくなっても誰かに持ってきてもらうなどはできないはずです。
妊婦さんや赤ちゃんを抱えたおうちがどんな風に過ごしているのか気になるところです。

ドイツで出産準備教室に参加。体重増加は20kgまでOK!?・後編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像7今回の海外ママは
中原さん
結婚を機に夫の故郷ドイツに来て9年目。趣味はレストラン巡り、庭いじり、手芸などなど。掃除と片付けも趣味になったらいいのになあ……といつも思っています。5歳と3歳の娘たちがいます。#中原ドイツ子育て Instagram @s_vn
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