2021年2月26日

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】

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海外ではどんな子育てをしているの? 日本から離れて子育てをするママたちに、海外でのようすを教えてもらう「教えて! 世界の子育て」。
場所や文化が違うと、子育ては違うのでしょうか。日本での子育てや生活と同じこと、違うこと。各国からリアルな声を伝えてもらいます。

ドイツで妊娠・出産の時期を過ごし、子育てをする中原さん。今回は、久々に目にした妊娠中の手帳から、ふたりのお子さんの妊娠期、出産期について振り返ります。前編の今回は、妊娠・出産に欠かせない存在の「ヘバメ」さんについて、また、婦人科や出生前の検査など、妊娠中のようすを紹介してくれます!

ドイツで2度の妊娠・出産

本棚を整理していたら子どもたちを妊娠していたときの手帳が出てきました。思わず手に取りページをめくると、体調のこと、検診のこと、日々の愚痴(笑)、暮らしの変化に喜び……。ああ、こんなことあったっけ。

私の最初の妊娠はドイツに来て4年目の時でしたが、もう泣きたくなるほどドイツ語が下手で。短い確認書類を読むのにすら恐ろしく時間がかかってしまうのに、果たして健診などこなしていけるのだろうか、出産までこぎつけることができるのだろうか……という不安が常にありました。

あんなにすったもんだしたことも、出産後はすっかり忘れていたんですよね。
今回は、私の時はこうだったよ~という感じで、当時の日記をめくりながら書いていきたいと思います。

体調の変化に気づき婦人科を受診すると、「今あなたの赤ちゃんはLinseリンゼ(レンズ豆)くらいだよ」と先生からMutterpassムッターパス(母子手帳のようなもの)を渡されました。先生はそこに毎回の検診の内容を書きとめていきます。生活習慣の確認(飲酒喫煙するか、糖尿はあるかなど)や食べてはいけないものの指導もありました。
生肉や、カビの生えたチーズやサラミを避けるようにすること。日本人はサシミやスシが恋しくなるだろうけど生魚はやめて、かっぱ巻きとタマゴでがまんするようにね! と。サラミとビール、やっぱだめかー。分かってはいたけど、いざ始まると辛い! と思ったものです。

そうそう。あの日先生に言われて以来、長女の愛称が「リンゼ」なんだよな。

Mutterpass(母子手帳)は、買い物でも少しの散歩でも、どこかへ行くときは必ず携行するように!! ときつく言われました。そして「次回までに目を通しておいてね」と渡された大量の紙。
それは
・妊娠初期に受ける各種テストの同意書、申込書
・妊娠中口にしてはいけないものの表
・感染症についての冊子
・市や団体が行っている妊婦へのサポートリスト
・妊婦が参加できるコース、ヨガ、水泳などのリスト
・そして胎児への栄養を補うためのサプリの試供品セットとカタログ
などなど……。

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像1

これ全部読むの!? このドイツ語めっっちゃ文字小さいやん……と真っ白なジョー(『あしたのジョー』もしかして古い!?)になりました

私の妊娠出産で最後までネックだったのが、ドイツ語でした。日常生活ではおよそ聞いたことのない言葉(しかも1語が長い)が、ぽんぽん飛び交うのです。
夫は最初の検診や休みの取れる時にはついて来て訳してくれましたが、毎回というわけにもいきません。毎度、検診前には出そうな単語を書き出したメモを握りしめて通院していました。

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像2

当時の日記。食べ物のことと、わからなかった単語がメモしてあります。まるでカンニングペーパーのような一覧表も作ってありました

妊婦であろうとなかろうと、婦人科の検診は大事!
Impfpass(予防接種記録)は、必須です

ここで少し妊娠前の話を。
ドイツでも日本と同じように婦人疾患の検診が推奨されています。 保険会社によっては年に一度検診を受けることを、保険を契約する上での必須事項にしているところもあります。皆それぞれにかかりつけの婦人科医がいて、ドイツに来たばかりの頃に私も自分のかかりつけの婦人科医を探して、ガン検診などを受けてきました。

ある時先生から「いつかは子どもを希望していると言っていたけど予防接種は全て受けているのか、Impfpass(予防接種記録)は持っているのか」と質問されました。
私は、子どもの頃、何か分からんけどたくさん注射受けたな~と思い返し「えーと、30年前に色々受けたよ! バッチリだ!」と自信満々に答えると、先生はにっこり笑って「はい、子どもが欲しいなら全て打ち直しね! 今日打っていこっか♪」と、麻疹・風疹などの混ざった混合接種をブスリ!

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像3

ドイツに住む者なら持っている(はず)の小さな黄色い冊子。生まれた時からの予防接種履歴がずらりと記録してあります。妊娠初期に自分が感染症にかからないためにも、他人にうつさないためにも、予防接種を受けることが重要とされています

迷いに迷った
出生前診断

さて、先生から貰った書類の中にはさまざまな検査の案内が入っていました。トキソプラズマ、サイトメガロウイルス、性病などの必須項目の同意書や任意のトリソミー検査の案内です。
いわゆる遺伝子異常による障害の有無を超音波検査や羊水検査などで調べるというものです。

ドイツでも出生前診断はおおいに賛否のあるところです。家系的に遺伝疾患があるから念のためにと受ける人もいます。医療そのものに否定的な考えの人(その多くは予防接種、必須の性病、感染症検査などにも否定的な傾向があるようです)は、出産前の検査についても必要ないという意見が多いようです。
その一方で、赤ちゃんに障害があった場合、経済的に暮らしていけない、頼れる人もいないというカップルは総合的に自分たちの状況を考えて「検査で異状が見つかったら妊娠の継続を考える」と決めて検査する人もいると聞きます。また、宗教的理由で選択肢が制限されている人もいます。

皆それぞれ違った暮らしがあり、理由もさまざまです。
以前、産後ヨガコースで出会ったママ友で集まって飲んでいたら出生前診断の話になり、「私は受けた」「私は受けなかった」「私はこう思う、理由はこうだから」など、やはりいろいろな考え方の人がいました。

当時の私は、うーん、うーん、と迷いましたが、勝手が分からない国に住んでいる以上、前もって知ることができることは知っておいた方がいいだろう。たとえ何か見つかっても、出産前から色々と調べて準備できれば産後の動きに備えられると思い、検査を受けました。

結果は、超音波の段階で特に問題が見つからず羊水検査に進むことはなかったのですが、それでも毎日、何かしら不安の湧き上がってくる妊娠生活のストレスを、ひとつでも減らせたのはよかったなと思っています。

「妊娠5、6か月になるまでには
担当の『ヘバメ』を探してね」

3か月になった頃、検診の終わりに先生が言いました。「妊娠5、6か月になるまでには担当の『ヘバメ』を探してね」
へ? 何を探せって? 新単語にとことん弱い私の頭におりて来た、次なるクエストは「ヘバメ」探し。聞き間違えが怖いので念のため先生にメモに綴りを書いてもらって帰ります。夫に聞くと、「それはHebamme、助産師さんだよ~」と。

ほぉー! 「担当の助産師さん」というものを自分で探すんですか! 6か月以降はパパママ教室や産院の見学、妊婦ヨガ、スイミング、ダンスなどへの参加ができるようなり、そういった情報や日々の過ごし方を担当のヘバメさんが指導してくれるのだそうです。
「だから大事なの! 中原ちゃん、私の仲良くしているヘバメさん紹介するよ。日本に行ったことある人だから」と先輩日本人ママが紹介してくれました。
初めての妊娠で不安な上につわりもしんどいし情緒も不安定。聞き慣れぬ単語も相まって、心が相当やさぐれていた私は、ヘバメさんが日本に行ったことがある人、というだけでかなり安心できたのでした。

この担当してくれたヘバメのスザンネは、家にやってくるとまず私のムッターパス(母子手帳のようなもの)を確認。
どんな生活を送っているか、困ったことはないか、何か市販のサプリを摂っているかなどを聞いてきました。「飲んでます。これですけど」とサプリの箱を渡すと、即「コレはだめ! すぐ止めてね。あなた日本食を食べてるでしょ? コレにはヨードが入ってるけど、日常的に魚や海藻を摂らないドイツ人向けのサプリだから。ミソシルでダシを飲んでコンブ食べるあなたには過剰摂取よ。そもそもあなたは健康だし日本食を食べてるんだから食事のバランスも良い。サプリなんて何も飲まなくてもいいけどね~。どうしても摂りたいならコレかコレね」

何というスーパーアドバイス! スザンネが担当になってくれてほんとよかった! 日本の妊婦さん向け情報サイトに葉酸などの入ったサプリは飲むべきとあるし、行きつけの婦人科でもサプリは勧められたからヨードのことなど考えもしませんでした。

私の住むドイツの田舎町に日本人の食事の、栄養内容を知っている助産師が一体何人いることでしょう。先輩ママありがとう! 紹介かたじけない!! 

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像4

そのほかにも、スザンネは出産までに揃えるべきもの、お金をかけるべきポイントなどたくさんのことを教えてくれました。

例えば、ライフスタイルに合わせたベビーカーの選び方では「あなたの行動範囲でどこにお散歩に行くか地面を思い描いて。石畳なのか土なのかコンクリートなのか。普段は車なのか自転車なのか路面電車なのかも考えてね」と言われました。
石畳の街や舗装されていない田舎道を散歩するなら大きな車輪のものがいい。頻繁に車に乗るなら取り外しができてコンパクトになるもの、自転車乗りは自転車トレーラーをベビーカーの代わりにも使えるし、と出るわ出るわスザンネ知恵袋!
最前線の情報をアップデートし続ける助産師さんの知恵袋は本当に頼りになるのです。

~後編へ続く~

ドイツでの妊娠・出産に欠かせない存在「ヘバメ」さんとは?・前編【教えて!世界の子育て~ドイツ~】の画像5今回の海外ママは
中原さん
結婚を機に夫の故郷ドイツに来て9年目。趣味はレストラン巡り、庭いじり、手芸などなど。掃除と片付けも趣味になったらいいのになあ……といつも思っています。5歳と3歳の娘たちがいます。#中原ドイツ子育て Instagram @s_vn

ドイツで2度の妊娠、出産を経験した中原さん。その時に強い味方となってくれたヘバメさんでしたが、実は、本当のサポートはこの後! 他にも、ドイツでの出産準備教室や、衝撃の産院での食事など。後編を、お楽しみに♪

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