え、買ってきたゴボウから芽が⁉ 家で、ゴボウを栽培してみたところ、根からは想像できない花と種が……【良原リエの「台所ではじめよう カンタン!リボベジ栽培」・5】
親子で植物を育ててみたい! 収穫できるものなら、なおいいな……。そんな風に思っても、実際にガーデニングに挑戦するのはちょっと面倒。そんなかたにおすすめなのが「リボベジ」です。都会のまんなかの小さな庭で、たくさんの植物を育て、『食べられる庭図鑑』という著書も出している、音楽家・良原リエさんの連載です。
第5回・最終回 くっついて離れないゴボウ編
台所には、育て甲斐のある植物がたくさんあります。根のついたネギ類は水栽培で簡単に育ちます。トマトやカボチャの種は発芽率がとても高いです。最近食べたブラッドオレンジにも種を見つけ、さっそく蒔いたところです。
栽培は、この上なく楽しいものです。ですが、いつも成功するわけではありません。これまでに数々の失敗がありました。
例えば、パイナップル。葉の部分を捨てるのがもったいなくて、水栽培で育ててみました。時間はかかりますが、根が出ます。根が出れば、土に植え替えることができます。夏の間に大きく育ち、立派な観葉植物になりました。
けれど、冬越しが難しい。熱帯地方の植物なので、日本の寒さは苦手。室内に取り込めばいいのですが、我が家は古い戸建で寒すぎるのか、枯れてしまいます。冬越しさえできれば、数年後に実がなる可能性もあるだけに残念です。
レンコンにも振り回されています。2節以上連なったレンコンは、水栽培で根が出ます。芽バス(芽のついた先頭の小さなレンコン)の先が伸びて、葉になるのですよ。さらに育てば、ハスの花が咲くはずと挑戦しているのですが、ここからが難しい。いつも腐ってしまいます。
しかも、レンコンが腐ると臭いがとてもきついのです。鼻が曲がるってこういうことを言うのだろうと思います。家族からも大クレームが。なんか臭いよ? え? またレンコン? と責められることに。
次回は水質安定のために、メダカを育てているプラケースで育てる予定です。さて、うまくいくでしょうか。今度こそ腐りませんように!
さて、ここ数年で一番の問題児で、かつ、育て甲斐があったのはゴボウです。スーパーでも、端から芽が出ているゴボウを見つけることがあります。
ところで、ゴボウの花を見たことがありますか? 私達は、ゴボウの成長途中で根を収穫して食べています。そのため、花や種を見る機会はあまりありません。ゴボウは1年目は普通に育ち、葉が大きくなるだけで枯れます。地下部は生きていて、2年目の春にまた顔を出します。その後は、驚くような勢いで大きくなります。我が家の庭とは相性が良いのか、2mをはるかに超え、見上げるほどの大きさに。初夏には、花を咲かせました。
ゴボウの根からは想像もできない美しい花です。何度も眺めて楽しみました。
ところが、花の後にできる種が厄介なのです。洗濯物の物干しの近くに植えていたのですが、風に揺れた洗濯物に種がくっつきまくる。しかも、がっつりとくっついて離れない。種は尖っていて、先は釣り針のように曲がっています。どうりで絡みついて離れないわけです。栽培はとても楽しかったけれど、最後はほとほと困り果てました。
それでも、植物を育てることは大きな発見があり、とても面白いなあと思います。
台所にある食材の大半は植物ですが、私達はそのことを忘れてしまいがちです。彼らには命があり、生きようとしている成長の途中を私達は食しています。育ててみると、そのことがよくよくわかります。栽培することでより身近に感じられれば、食べ残しや食品ロスが減るきっかけになるかもしれません。
みなさんもぜひ、リボベジや再生栽培にトライしてみませんか? あれこれ用意する必要がなく、簡単に始められます。植物との生活を、気軽に楽しんでみていただけたらとても嬉しいです。
【編集部より】
良原リエさんの「台所ではじめよう カンタン!リボベジ栽培」は今回が最終回です。良原さんは今年の夏、リボベジの本を出される予定だそう。リボベジのこと、もっと知りたい!という方はぜひ、楽しみにお待ちください。
良原リエ
よしはらりえ/音楽家。アコーディオン、トイピアノ、トイ楽器の奏者。E テレ「いないいないばあっ!」の音楽をはじめ、映画、TV、アニメ、他アーティストの楽曲の演奏、 制作に関わる。トイ楽器を用いた子ども向けコンサート、ワークショップなども行っている。著書に『食べられる庭図鑑』『まいにちの子そだてべんとう』『たのしい手づくり子そだて』(アノニマ・スタジオ)『トイ楽器の本』(DU BOOKS)など。