お正月の残り、乾物のクロマメを土に蒔いたら、エダマメになりました!【良原リエの「台所ではじめよう カンタン!リボベジ栽培」・4】
親子で植物を育ててみたい! 収穫できるものなら、なおいいな……。そんな風に思っても、実際にガーデニングに挑戦するのはちょっと面倒。そんなかたにおすすめなのが「リボベジ」です。都会のまんなかの小さな庭で、たくさんの植物を育て、『食べられる庭図鑑』という著書も出している、音楽家・良原リエさんの連載です。
第4回 枯れるまで育てるトウミョウ編
戸棚の中に乾物の豆はありませんか? 我が家には、お節用に買った乾物のクロマメがあります。家族3人には1袋さえ多くて、毎度余ってしまいます。
ある時、余っていたクロマメを何気なく土に蒔いてみました。すると、1週間ほどで芽が出てぐんぐん大きくなり、小さな花が咲いて実ができました。
少し膨らんだらエダマメに! エダマメはダイズを若取りしたものです。
いくつかは収穫せずに見送ると、秋には枯れ、クロマメに戻りました。
ああ、なんて楽しいのでしょう! できたエダマメの美味しいこと。戸棚の中にあったクロマメが意気揚々と人生を謳歌し、子孫を残す手伝いをすることができました。
さて、私はクロマメで味を占めて、スーパーの乾物コーナーを素通りできなくなりました。アズキにレッドキドニービーンズ、シロインゲンマメも蒔きました。みんな元気に育ち、収穫することができました。
すっかり調子に乗って、レンズマメやヒヨコマメにも挑戦。少ない量ながら、収穫もできました。
豆は種そのものです。水、空気、適温の三要素があれば、発芽します。マメ科は発芽率も高いので、気軽に始められますよ。
さて、マメ科の中で、特におすすめなのがトウミョウです。トウミョウのリボベジなら知ってるよ!と突っ込まれそうですが、葉を育てるだけではありません。さらなるお楽しみがあるのです。
トウミョウはエンドウマメが発芽して、少し育った若芽です。根元を見ると、マメがぎゅうぎゅうに詰まっていますね。これをほぐして分け、元気ないくつかを土に埋めてみましょう。
ほどなくすると背を伸ばし、絡みつきながら大きくなります。うっとりするような美しい花が咲いた後、キヌサヤになります。
その後、実が膨らみはじめるとスナップエンドウのように。さらに実が膨らむと、グリーンピースになります。暑さに弱いエンドウは、夏になれば自然に枯れます。枯れた後に鞘を開いてみると、元の姿であるエンドウ豆ができていました。
トウミョウを葉だけ育てるのはもったいない。あのたくさんあるマメのうち、数粒でも土に植えて栽培してみませんか? 植物の一生を観察し、さまざまな形で食べることもできます。子どもたちにも、素晴らしい学習になりますよ。
エンドウは冷涼な気候を好みます。地域にもよりますが、ここ東京なら今から3月が植え時です。植えてから1週間ほどは半日陰に置いておきます。春が近づくにつれ、だんだんと育っていきますよ。
良原リエ
よしはらりえ/音楽家。アコーディオン、トイピアノ、トイ楽器の奏者。E テレ「いないいないばあっ!」の音楽をはじめ、映画、TV、アニメ、他アーティストの楽曲の演奏、 制作に関わる。トイ楽器を用いた子ども向けコンサート、ワークショップなども行っている。著書に『食べられる庭図鑑』『まいにちの子そだてべんとう』『たのしい手づくり子そだて』(アノニマ・スタジオ)『トイ楽器の本』(DU BOOKS)など。