2020年3月26日

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】

育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときのアドバイスを教えていただきます!

ポートレート写真とスナップ写真の違いの話

みなさん、こんにちは。 突然ですが、「ポートレート写真」と「スナップ写真」というワードを聞いたことがありますか? 人物の撮影で「ポートレート写真」と「スナップ写真」という分類をされた時の、二つの違いについて少し説明してみようと思います。

家族のポートレート写真として思い浮かぶのは、七五三や卒入学などの記念に写真館などで撮影するような写真ですよね。多くの場合は、その被写体が際立つようにシンプルな場所でカメラの方をじっと見てもらい、フレームから大きく外れるような動きを付けずに撮られます。もちろん、どこかの場所を背景に、少し動きをつけて撮ることもありますが、「ポートレート写真」という場合、基本的には何かをしているところの記録というよりは、その時の家族そのもの、お子さんそのものを記録するための写真と言えると思います。そして、被写体は撮られることを認識してカメラと向き合っています。

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】の画像1

これは、20年ほど前、大学入学のため上京する直前に地元の写真館で撮った家族写真で、ポートレート写真です。父だけが座っていたり、グラデーションの背景の感じにも時代を感じますね。この写真はずっと持っていて、初心を忘れないようにしています。

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】の画像2

まだ小さかった長男の誕生日記念に撮ったポートレート写真。年齢的に動き回る時期の二人をお昼寝明けに自宅の白い壁の前に立たせて撮った一枚です。携帯を多くの人が持ち歩く今、写真を撮ることが20年前より身近になり、気軽にあちこちで記念写真を撮れるようになりましたね。

対してスナップ写真は、日常の生活の中で、写真を撮る側が、自分の目に映った光景や出来事、人物の様子を「あ、いいな」と思った瞬間にすかさずカメラで切り取る、そんな写真のことをいいます。学校で販売されるスナップ写真は、運動会や遠足で写真屋さんが「いいな」と思った瞬間に撮った写真の数々なのですね。

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】の画像3

こちらはお正月に帰省した際のスナップ写真。掃除をしている間、コタツの上で二人で相撲のようなことをしていたようで、振り返ったら、この状態でした。

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真冬の季節以外は、気づくとジャンバーで鳥のようになっている次男をスナップ。

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次男にミルクをあげるのを手伝ってくれていた長男。少し後で部屋に行くと、とても片手間な感じであげていて、笑いを堪えながら気づかれないようにパシャリ。

スナップ写真を撮る時には、被写体となる人がカメラがそこにあることが気にならないような空間で撮りたいので、被写体との距離感がある程度必要で、すぐ隣といった状況では、なかなか撮りにくいものです。ママが我が子を撮ろうとしても、お子さんが小さかったりすると距離をとること自体が難しいこともあると思います。

トイレに立った時や、ご飯の準備をしている時など、1日の中で、お子さんから離れるタイミングは限られるかもしれませんが、そんな瞬間にでもぜひ狙ってみてくださいね。きょうだい喧嘩をしていてもいいし、泣いていてもいい。ボーッとテレビを見ているところだっていい。大人の介入のない空間の子どもたちの様子は、個性が滲み出て、面白いですよ。

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まだまだ兄と同じことをしていたい次男。

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電車の会話が盛り上がっていました。

いろいろな親子関係があるので一概にはいえませんが、個人的な感覚としては、ママが一緒にいるときの、パパとお子さんの距離感が、スナップを撮りやすいんだよなぁと思ったりします。実際、インスタなどを見ていると、パパが撮ったお子さんのスナップ写真に、お子さんとの距離が近すぎず、お子さんがたたずんでいる場所の状況も写りこんでいて、「いいなぁ」と思えるものをいっぱいお見かけします。

もし、これを読んでくださっているパパがいらっしゃれば、ぜひ、お子さんのスナップ写真をたくさん撮ってみてください。そして時には、ママとお子さんがふれあう様子もぜひスナップしてくださいね。

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もちろん、母と子の距離が近いからこそのスナップ写真もあります。こちらは次男を抱っこしていた時に近づいてきた長男を撮った一枚。スマホのカメラはレンズが広角なので、密着しているシーンでも、広い範囲が写り、躍動感が出るので、とても便利です。

子どもの成長を見ていると、当たり前に過ごしていた日常が、振り返るとかけがえのないものなのだということを思い知らされる今日この頃。子どもたちの1日を密着するようにしてスナップ写真をたくさん撮りためて構成していくと、それが「ドキュメンタリー写真」となっていきます。

写真は撮り方や、撮っている時の被写体との関わり方、撮った後の写真の構成の仕方で、見る側への伝わり方も変化するのが面白いところです。カメラを立ち上げる時に、お子さんそのものを撮るのか、お子さんの行動を記録するのか少し頭の中で描いておくと、シャッターを押す瞬間にも変化が出てくるかもしれませんね。スマホのカメラはスナップ写真にとても適していますので、どんどん撮ってみてくださいね。

今週の一枚

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】の画像9

今週の一枚は、兄弟がお風呂中、二人で大笑いしていたので、カメラを持ってこっそり近づき扉を開けて撮りました。なぜか次男は浴槽のへりにまたがっていて、私が前触れなく扉を開けたことに驚いていましたが、長男は、すりガラスに映る影で私だと気付いたようで、ニヤニヤしていました。もしも私と一緒に入っていたら、あんな格好でお湯につかってはいなかったはず。自由なスタイルの次男に注意をしつつも、愉快な写真が撮れて、満足な母でした。 

それではまた。

家族のドキュメンタリーをスマホで残す。ポートレート写真とスナップ写真【ママカメラマンのスマホ写真術・16】の画像10成田 由香利 
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p
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