
俳優・青木柚さんインタビュー「高橋文哉くんたちとのコミュニケーションが、撮影を乗り切る力になりました」
世界一のストライカーを目指し、300人の高校生FWが生き残りをかけて競い合う人気漫画を実写化した映画『ブルーロック』。本作で「諦めない心」を武器に、サッカーに食らいつく五十嵐栗夢を演じる青木柚さん。思い出の絵本や夢中になった少年時代、撮影を通して育まれた共演者との絆、そして10歳から続けてきた俳優という仕事への思いを聞きました。
絵本は物語の広がりを感じる
――今回の取材にあたり、小さな頃によく読んでいた本をお母様に聞いてくださったそうですね。

そうなんです。自分ではあまり覚えてなくて(笑)。母は色々覚えてくれていて、「こんな本が好きだったよ」って、たくさん挙げてくれました。その中で、「あ! 覚えてる!」と、ピンと来たのが『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん/作 こぐま社)。小さな頃、母と書店に行った際に、僕がこれを自分で選んだらしいんです。
パンケーキが焼ける過程が細かく描かれているページがありますよね、そこをずっと眺めていたみたいで。よく読み聞かせしてもらってました。
――久しぶりに読んでみていかがですか?
しろくまちゃんにあまり表情がないのがいいですよね。ホットケーキを食べている時には笑顔になるのかな?と、読み進めてみても、全然笑わない。句読点もないので、描かれていること以上に物語の広がりを感じます。絵本ってやっぱり面白いですね。
最近『よあけ』(ユリー・シュルヴィッツ/作・絵 瀬田貞二/訳 福音館)という絵本を買って読んだんです。タイトル通り、夜が明けていく様子を描いた物語なんですが、すごく情緒的で、心なのか、人との関係性なのか、何かの移り変わりを絵からとても感じてしみじみと、読んでよかったと思える本です。
大人になってから絵本を買ったのは初めてなんですが、この本はなぜか直感が働いて「読まないと!」と思ったんです。不思議ですよね。でも昔から自分のこの感覚を信じているんです。
撮影はまるで男子校のような雰囲気
――青木さんは小さな頃はどんなお子さんでしたか?

10歳くらいからこの仕事をはじめていたので、多分まわりの子より少しだけ大人の世界に慣れている、という自覚はあった気がします。でも、中学生くらいまでは活発な少年だった自負があります。休み時間のたびに、外に飛び出してドッジボールやサッカーをしてました。
スポーツが大好きですごくアクティブだった一方で、「カードファイト!! ヴァンガード」というカードゲームにもめちゃくちゃハマっていて。カードゲーム好きの友人たちと一緒に、大人に混じってカードゲーム大会にも出場するほど夢中になってました。カードファンが集まるお店に、自転車で40分以上かけて通ってましたね。カードショップの熱気をよく覚えています。
今思えば対照的な遊びに没頭していたなぁと思うけど、当時はどちらも自然に楽しんでました。
――今回の撮影に向けて、元日本代表の松井大輔さんの指導のもと、サッカーのトレーニングにも取り組まれました。久しぶりのサッカーはいかがでしたか?
それこそ、『ブルーロック』のように、ほとんど面識のないメンバーが集められたので、最初の共通言語はサッカーのみ、みたいな感覚でした。なので練習中は緊張感があったんですが、撮影が始まったら急激にみんな仲良くなっていったんです。なんででしょうね。ごはん食べて早起きして運動して、またごはん食べて、同じところで寝て、という学生みたいな生活だったからですかね。まるで男子校のような熱量で、他の現場とは違う雰囲気でした。休日には近くの海に遊びに行ったり、散歩をしたり。そういった時間が、みんなをつないでくれたんだと思います。同じ年の高橋文哉くんと浅野竣哉くんとは、特によくコミュニケーションをとってました。
辿ってきた道は自分にしかない
――青木さんが演じる五十嵐栗夢は、まわりのメンバーのように突出した才能や技術を持つ選手ではありません。泥臭さのあるキャラクターを演じてみていかがでしたか?

©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS
「エゴが、しがみつく。」というキャッチコピーがついている役柄で、相当に人間らしさがある人ですよね。「実家の寺を継ぎたくない」という理由はあるけれど、才能のあるメンバーたちに囲まれた中で、誰よりも強く、そしてがむしゃらにサッカーに向かっている。その姿をきちんと演じたいと思っていました。
――五十嵐栗夢は、自分の武器は「諦めない心」だと自認しています。青木さん自身、俳優を続けてきた中で、「諦めなくて良かった」と感じた瞬間はありますか?
今回、俳優として活動している方だけでなく、音楽活動など様々なキャリアを重ねているメンバーたちと交流できたのは嬉しかったですね。それぞれ培ってきたものが違う方々と一緒に演技ができたことで、自分にも誇りを持てるようになったというか。自分が辿ってきた道は自分にしかないものだと感じられるようになりました。諦めずに、自分のできることを地道に続けてきた結果、卑下せずに自分のままでいられるようになってきたのかなって。

――『ブルーロック』では、「エゴ」が大きなテーマとして描かれています。青木さんは、作品を通して「エゴ」をどのようにとらえましたか?
『ブルーロック』では、仲間の輪を乱してまでエゴをぶつけることを推奨しているわけではないように思うんです。自分がこれまで歩んできた過程で心の奥に隠し持ってきたエゴは間違っていなかったことに気づかせてくれるような物語だとも感じていて。新しいことを始めるときに背中を押してくれるエネルギーがこの作品にはある気がします。
――ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』や、9月公開の映画『さとこはいつも』など、話題作への出演が続いています。これからどんな役に挑戦してみたいですか?
以前と比べて少しずつ等身大の役柄を演じる機会が増えてきました。25歳の今だからこそ演じられる、今しかできない役にこれからも挑戦していきたいです。年齢を重ねる中で、その時々の自分だからできる表現を大切にしたいです。
青木柚
あおきゆず/俳優。2001年生まれ、神奈川県出身。『14の夜』で映画デビュー。主な出演作に映画『秒速5センチメートル』、『マジカル・シークレット・ツアー』、『さとこはいつも』(9/18公開)、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』など。
INFORMATION

『ブルーロック』
出演:高橋文哉、櫻井海音、高橋恭平、K(&TEAM)、窪田正孝ほか
原作: 金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社「週刊少年マガジン」連載)
配給: 東宝
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS
2026 年 8 月 7 日(金)全国公開
インタビュー/高田真莉絵 撮影/中村力也






































