2026年1月16日

お笑い芸人・松井ケムリさんロングインタビュー。昔からお調子者で明るくてよくボケる子でした【最新号からちょっと見せ】

動物図鑑に夢中だった幼少期から、「チヤホヤされたかった」学生時代、そして芸人という道を選ぶまで—。
kodomoe2月号では、お笑い芸人・松井ケムリさんが、自身の歩んできた人生を子ども時代の記憶から丁寧に語ってくれました。人気芸人として、そして父として。子どもとの毎日を自分のリズムで楽しんでいます。
ウェブでは、お調子者だったという子どもの頃についてや、中学受験の思い出などロングインタビューの一部をご紹介します。

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子どもの頃から
お調子者だった

慶應義塾大学で出会った後輩・髙比良くるまさんとコンビを組み、「M-1グランプリ」を連覇した松井ケムリさん。証券会社勤めの父と専業主婦の母、そして姉に囲まれた家庭で育った。

――ケムリさんは幼い頃はどんなお子さんでしたか?

明るかったですね。お調子者で、よくボケる子でした。幼稚園の頃からそうだったと思います。動物がすごく好きだったので、アザラシのマネをして転がってふざけてました。

――公式プロフィールには趣味として「動物雑学/動物園巡り」を挙げられていますが、昔から動物好きだったんですね。何かきっかけがあったのでしょうか。

多分、図鑑がきっかけです。生きものの図鑑はめっちゃ読んでました。人間以外の生きものに興味があったんですよね。幼稚園の頃にはもう、家でヤゴなどを飼っていました。

――ほかに好きだった本や絵本は覚えていますか?

絵本だと『はらぺこあおむし』(エリック・カール/偕成社)や『手ぶくろを買いに』(新美南吉/偕成社ほか)は覚えてますね。もう少し大きくなってからだと、「かいけつゾロリ」シリーズ(原ゆたか/ポプラ社)が好きでした。あとは、『21世紀こども百科』(小学館 品切れ)! これはね、めっちゃ面白かったです。知的好奇心があったのかな。シリーズがいっぱい出ているんですよ。偉人をテーマにしたもの(『21世紀こども人物館』)とか、科学をテーマにしたもの(『21世紀こども百科 科学館』)とか。家にあったので、ずっと読んでましたね。

――わりとインドアだったんでしょうか。

外遊びはあんまり好きじゃなかったかもしれないです。誰かの家に集まって遊んでいると「公園行こうぜ!」みたいな流れになるじゃないですか。みんなは賛成するけど、僕はそんなに行きたくなかったですね。太っていたから運動も別に好きじゃなかったし。遊びでいうと幼稚園生の頃からゲームボーイをやっていて、それは好きでした。『ポケットモンスター 赤・緑』や「スーパーマリオランド」シリーズで遊んでましたね。「ポケモン」はその後も『ルビー・サファイア』までやっていました。

――ゲームで遊ぶことに関して、制限やルールはありましたか? このあたりはいつの時代も親が頭を悩ませるところですが……。

特に何も言われなかったです。「1日◯時間まで」みたいな決まり事もなかったし。どうするのがいいのか、こればっかりは正解がわからないですよね。

――欲しいソフトは買ってもらえましたか?

そんなになんでも買ってくれる家ではなかったので、クリスマスと誕生日と、お年玉をもらったときぐらいです。でも『ポケモン』だけは発売日に買ってくれました。子どもの間でよっぽど騒ぎになっていることが親にも伝わっていたんでしょうね。

――ケムリさんはお父様が大和証券取締役副会長であることを公言されていて、裕福な育ちならではのエピソードをメディアでよく話されています。ただ、「そんなになんでも買ってくれる家ではなかった」ということは、決して甘やかされていたわけではなかったんですね。

そうですね。父親は叩き上げで出世していった人なんですよ。生活が苦しかったことはないし、もしかしたら“普通”の中なら裕福だったほうかもしれないですけど、僕が小さい頃はめっちゃ余裕があるわけじゃなかったです。小学校に入るタイミングで横浜市に引っ越したんですけど、それまで住んでいた江戸川区のアパートはかなりボロかったですからね。家の中にアリの巣があったぐらい。だから、お金の余裕があるなしに関係なく、子育てに関してそういうスタンスだったんだと思います。

――子どもの目から見て、ご両親はどんな人でしたか?

母親は、おっちょこちょいなところもありつつ基本的にはしっかりしている人です。父親はわりと怖かったですね。厳しくはないし、冗談を言うこともあるんですけど、2人でいても話が弾まなくて気まずいというか……。こっちをあんまり子ども扱いしてなかったんだと思います。大人になった今のほうが盛り上がれますね。

――やはりお父様は忙しかった?

僕が小学校高学年の頃は特に忙しくて、帰りはいつも夜遅かったのを覚えていますね。それでちょっと体を壊したぐらい、あの時期は本当に大変そうでした。

――お姉さんもいらっしゃるんですよね。

3歳上の姉がいます。でも小さい頃に一緒に遊んだ記憶はあんまりないですね(笑)。家族旅行に行ったり、たまに喧嘩したりしたぐらいで。

――ご両親から言われて印象に残っていることはありますか?

よく「しつこい」って怒られました。僕は約束を反故にされることがすごく嫌で、許せないんですよ。だからたとえば「◯◯に行く」と約束したのに実現しなかったとき、「行くって言ってたのに」ってずっと言うんですよね。それが「しつこい」と。

――大人にとってはその場しのぎの口約束だったりちょっとした予定変更だったりしても、子どもにとっては一大事ですもんね。

そうそう。親からすると、いろんな事情があるからしょうがないんですよね。でも子どもは一度約束した以上、それは権利だと思ってるから。予定が狂うのは今もあんまり好きじゃないかもしれません。

――ほかにも、子ども時代から一貫して苦手なものはありますか?

ピーマンです。

――ピーマン(笑)。

あとは、待たされるのが苦手でした。横浜に引っ越すときに家を建てることになって、不動産屋さんとかハウスメーカーとかに何度も連れて行かれたのはしんどかったなぁ。親が真面目な話をしている間、こっちは暇じゃないですか。今も人の買い物に付き合うのはめちゃくちゃ苦手です。ウィンドウショッピングの楽しさが全然わからないですね。

虫の研究者を
目指していた時期も

――ケムリさんは中学受験されていますよね。それはご両親の意向だったんですか?

そうですね。はっきりした理由を親から聞いたことはないですけど、姉も中学受験をしていたので、多分もともと子どもには受験させるつもりだったんでしょうね。親としては、それがいい教育だと考えていたんだと思います。

――自分はみんなとは違う学校に行くんだ」ということは、すんなり飲み込めましたか?

小学校4年生でSAPIXに入ったので、その時点で理解はしてました。狭い世界で生きていたから「親がそういう考えならしょうがない」というか、それが当たり前だと思っちゃってましたね。言われてみれば、なんであのとき「みんなと同じ公立の中学校に行きたい」と思わなかったんだろう? あぁ、でも、自分は頭がいいほうだという自覚があったからかもしれません(笑)。

――小学校の時点で勉強ができたんですね。

正直、できました。それと、子どもの頃、東京大学農学部に行きたかったんですよ。虫の研究がしたくて。中高時代でなぜかどうでもよくなっちゃうんですけど、そのときは東大に行きたいという思いがあったから中学受験に対しては「嫌だけど必要なことだ」って感覚だった気がします。

――勉強が嫌すぎて「SAPIXの教室の壁を授業中にむしっていて怒られた」とYouTubeでおっしゃっていましたよね。

すっごい怒られました(笑)。「弁償だ!」って言われて。子どもにとって「弁償」って絶望的なワードじゃないですか。結局、何もなかったから助かりました。

――サボりたいとは思いませんでした?

親が車で送り迎えしてくれていたんで、サボる余地がなかったですね。自分の意見がそんなに通るとも思ってなかったから、そこまで抵抗はしてなかったです。

――受験勉強の過酷さに辛くなることはなかったのでしょうか。

うーん……もっと頑張っている子が周りにいるのを知っていたんですよ。同じ小学校から開成中学校に行った同級生がいて、その子は自発的に深夜まで勉強していると聞いて「感覚が違うな」と思いました。僕は親にやらされている感覚だったんで、だからこそ過酷だとは思わなかったです。ずっと「早く終わらないかな」って気持ちがベースにあって。小6になってからは放課後に遊ばなくなるんですけど、それも「今年1年は友達と遊べないよ」って親に言われて、普通に守ってましたね。

――受け入れ力がすごいですね。

そういうものだと思って、受け入れてました。反骨精神があんまりないんですよ。周りの人が環境を用意してくれて、そのルールに従うという感覚が強くって。今もそうですね。僕は常にルールの中にいるんです。だから約束を破られたら全力で怒るけど、「なんでこんなに勉強しなきゃいけないんだ」みたいにルールそのものに対しては疑念を抱かない。すごく企業向きな人間だと思います(笑)。

――桐朋(とうほう)中学校・高等学校に進学されていますが、志望校は自分で選んだんですか?

そうですね。桐朋は生物部が非常に充実していたので、生きものが好きだからそこに入りたくて。最初は他の学校を志望していたのですが受かったときはうれしかったです。でも志望校に受かった喜びというより、受験が終わったうれしさが大きかったですね。

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チヤホヤされたい
芸能人に会ってみたい

――ただ、志望理由になるほど憧れた生物部には、結局入らなかったんですよね?

卓球部に入りました。入学してから、生物部はもしかしたらあんまりイケてないのかも、と思って入るのをやめちゃいましたね。

――卓球部では団体戦で東京都ベスト8に入る活躍ぶりだったそうで、かなり部活に打ち込まれたんですね。

いや、そうでもないんですよ。部活がある日は部活に行って、友達と楽しく卓球していただけで。中高6年間、何に打ち込んでいたんだろう? 普通に部活やって友達としゃべってゲームして遊んで、毎日楽しく過ごしてました。学校の中では、小学校の頃から変わらず、わりと面白い子だったと思います。お笑いも好きでした。

――そこから先の進路については考えていましたか?

マジで何も考えてなかったです。平均点ぐらい取っていれば大丈夫だと思ってました。授業はあんまり聞いてなくて、テストの直前だけ勉強してましたね。

――努力の効率がいい。

よく言えばそうなんですけど、これといって頑張ったことがあんまりないんですよ。ルールの中でみんなと一緒にいたい気持ちのほうが強くて。本当は、僕みたいなタイプは厳しい環境に身を置くべきなんでしょうね。そうしたら、全体のレベルが高い中での平均を出せるように努力するから。

――この時点で「東大農学部で虫の研究をしたい」という昔の夢はなくなっていたわけですね。

もうなかったかもしれないですね。大学には行くだろうと思いつつ、その先で何がしたいかといったら、なんとなく漠然と“芸能人”になりたかったです。とにかくチヤホヤされたかったんですよ。同い年の志田未来さんや神木隆之介さんが活躍しているのをテレビで観て「いいなぁ」と思ってました。あとは普通に「堀北真希かわいいな。会いたいな」とか(笑)。芸能人になったら芸能人に会えるしチヤホヤされるし、どうやらお金ももらえるらしい、ちょっとよすぎるな!?って。

――男子高校生らしい夢ですね! そして高校を卒業されてからは、1年間の浪人生活を送られます。

現役のときは1校も受からなかったです。学校の雰囲気的に早稲田か慶應になんとなく受かるんじゃないかとなぜか思っていたけど、しっかり落ちましたね(笑)。

――浪人が決まった時点で、大学を目指さずにお笑いの道に進む選択も考えられたそうですね。

はい。中高生の頃、『爆笑レッドカーペット』や『はねるのトびら』(ともにフジテレビ)が流行っていて、バラエティ番組は人よりも結構観てるほうだったんですよね。お笑いは好きだったし、浪人するのはやっぱり嫌だったんでNSC(吉本興業の芸人養成所)に行こうかな、って。でも親から「大学には行っておきなさい」と怒られて、「じゃあそうするか」ってなりました。

――また受け入れ力が発揮されています。

 「この家を飛び出して」とは考えもしなかったですね。やっぱりまだどこか夢物語だったというか、そこまでのバイタリティは自分の中になかったです。浪人していた1年間は、中学受験のときとは違って自分の意志で勉強してました。でも今話していて思ったんですけど、それももしかしたら「中高の同級生たちと同じぐらいのところまで行きたい」というモチベーションだったかもしれません。とにかく中庸というか“平均”でいたいから、「人に勝ちたい」よりも失う恐怖が頑張る原動力になるタイプなんですよね。今、呼んでもらった仕事は全部出ているのも同じ理由で。断りまくっていたら仕事が減りそうじゃないですか。それは嫌だから頑張ってます。

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続きは、kodomoe2月号でお楽しみください!

松井ケムリ
まついけむり/1993年生まれ、神奈川県出身。お笑いコンビ「令和ロマン」のツッコミ担当。慶應義塾大学のお笑いサークルで出会った髙比良くるまさんとお笑いコンビを組み、2018年にデビュー。「M-1グランプリ」では2023、2024年に優勝を果たし、大会史上初となる二連覇を達成。2025年6月に一児の父に。

撮影/サカイ デ ジュン スタイリング/白島茉奈 ヘアメイク/中村曜子 インタビュー/斎藤 岬(kodomoe2026年2月号掲載)

kodomoe2月号では、さらに中高生時代からお笑いの道へのきっかけとなった大学生の頃、そして子育てについておうかがいしています。

お笑い芸人・松井ケムリさんロングインタビューは、kodomoe2月号でお楽しみください!

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