2021年6月7日

吉本芸人で絵本作家、ひろたあきらさんインタビュー「絵本のこと、お笑いのこと、子どもたちのお絵かきのこと」

kodomoe webで「お絵かき生きもの図鑑」の連載をしているひろたあきらさん。回を重ねるたびに応募数も増え、ひろたさん自身の楽しみも広がっています。今回は、連載のきっかけや新刊『いちにち』の裏話、芸人と絵本作家という仕事への考え方について、お話を聞かせていただきました。

ひろたあきら/1989年愛知県生まれ。吉本興業所属のお笑い芸人。ライブなどで活動するほか、絵本を用いたワークショップや読み聞かせ会を積極的に行う。2019年に初の創作絵本『むれ』(KADOKAWA)を発表し、「MOE絵本屋さん大賞」の新人賞を受賞。また、未来屋書店内の書店員が選ぶ「第3回 未来屋えほん大賞」の第3位も受賞し、ファンのみならず、書店関係者からの信頼も厚い。2021年4月に新作絵本『いちにち』(KADOKAWA)を刊行。
「ひろたあきらのお絵かき生きもの図鑑」連載中!

子どもの絵はぼくを幸せな気分にしてくれる

――kodomoe webでは、ひろたさんの「お絵かき生きもの図鑑」の連載が大好評です。「ウミクネクネ」「グルグルペロリ」など、ひろたさんが考えた生きものの名前から想像して絵を描いてもらう、という発想がおもしろいですね。

はじめにkodomoeさんに連載のお話をいただいたときに、何か読者に参加してもらえるようなものがいいなと思って。以前、お題をもらって絵を描くようなイベントをインスタ上でやったことがあるんですが、「好きな食べ物」とか「嫌いな人」など、相手の情報を教えてもらって、そこから似顔絵を想像して描く、というのがおもしろかったんです。親子のワークショップもやったことがありますが、お題を与えると子どもはスラスラ描いてくれていたので、それならwebで連載もできるかなと思いました。

子どもって、よくこんな世界観を思いつくな、と思うような作品を作りますよね。連載が始まって、毎月作品を見るのが楽しみでもあり、癒しでもあり……。すごく幸せな気分になるんですよ。

応募してくれた作品はすべて目を通していますが、ぼくには描けないような絵がいっぱいですし、けっこうめちゃくちゃなことが描いてあって、笑っちゃいます。「お絵かき生きもの図鑑」では、kodomoe編集部と一緒に決めるグランプリなどの他に、「ひろた賞」というのがあって、これはぼくが、絵の精巧さやコンセプトとは関係なく「見た瞬間にぐっときた!」という作品に賞を出しています。

たとえば、ピンクと青の2色しか使っていないのにすごくセンスを感じる作品があったり、ある回では、解説に「鳴き声:んーーーー」とか「好きな食べ物:やわらかい豚肉」って書いてあったり。普通の肉じゃなくて、やわらかいんですよ(笑)?  子どもの中ではイメージができていて、ひとつずつに理由がある。その世界観がすごく好きですね。

2色づかいが目を引いたという、「アシナガフワフワ」のときの、ひろた賞受賞作品。アシナガフワフワなのに、特徴が「ハネとツノ」という、アシにもフワフワにも寄せないまっすぐな感じが、すごい!と思った、とひろたさん。

ぼくはこんな自由度の高い絵は描けない

――子どもたちの解説コメントが本当に発想豊かで、おもしろいですね。もともと親子向けのワークショップではどんなことをされていたんですか?

絵本の読み聞かせをした後に、「お絵かき生きもの図鑑」と同じように、参加者にお題を出して絵を描いてもらうというものでした。ぼくの描いた絵本『むれ』の最後に変なアリたちが出てくるシーンがあるんですが、絵本を読んだ後、「自分の好きなアリ」を描いてもらうとか。子どもの描く絵はめちゃくちゃ自由で……、たとえば大人は〇が正円に描けなかったら、描き直しますよね。でも子どもは、ぐちゃぐちゃな線の感じのまま完成させちゃう。そこが、うらやましい。ぼくはこんな自由度が高い絵は描けないけど、ちゃんと描こうとしすぎないでいよう、と思わされました。

「お絵かき生きもの図鑑」では、子どもだけじゃなくて大人も応募OKにしていますが、ワークショップでも、子どもと一緒に来ているお父さんお母さんに、描いてくださいってお願いしていましたね。そうすると、大人のかたも子どもみたいな絵を描くんですよ。子どもと一緒に描くと発想が自由になるんでしょうか。「お絵かき生きもの図鑑」をきっかけに、子どもと一緒にしゃべりながら大人も絵を描く、そういう時間が増えてくれたら嬉しいと思います。

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