2021年3月23日

「しろくまきょうだい」シリーズインタビュー。新作はお兄ちゃんの気持ちに寄り添うお話

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kodomoe4月号の付録に、シリーズ第3作となる『しろくまきょうだいのおかいもの』が登場。とってもかわいい『しろくまきょうだいのケーキやさん』『しろくまきょうだいのおべんとうやさん』に続き、今作は弟のノエルがおつかいに挑戦です。絵を担当するsericoさん、文と編集を担当するたきのみわこさんに、シリーズ制作秘話をお伺いしました。

夢のようなお菓子を描きたかった

――しろくまきょうだいの絵本が作られたきっかけについて、教えてください。

たきの はじめは、しろくまが「しろくまアイス(鹿児島名物の氷菓)」を作る話があったらおもしろいな、と考えていたんです。そんなときに、コミティアという同人誌即売会で、sericoさんにお会いしました。そこで、しろくまを描いた絵本を作られていたのを拝見して、ひとめぼれ。「この方にしろくまを描いてもらいたい!」と思ってお願いしたことから、絵本制作が始まりました。

――『ケーキやさん』は、お兄ちゃんのポールが作るお菓子が本当においしそうですね。

たきの 「メロンとミントゼリーのワニさんケーキ」などの言葉をお伝えして、絵はsericoさんにお任せしています。ポールはお兄ちゃんといってもあくまで子どもなので、職人が作るような精巧なケーキにしたくない、ということだけお伝えしました。そうしたら、バナナの皮がそのままのっていたり、豪快にクリームを塗ってあったり、大胆なのにとてもおいしそうなお菓子を描いてくださいました。

serico 自分が作れる範囲を超えた、夢のようなお菓子を描きたいと思っていたので、絵本のケーキは、あえて自分では試作しないようにしました。でもSNSで読者の方が実際に作ってくれたのを見たときは、うれしかったですね。

『しろくまきょうだいのケーキやさん』より

――シリーズの中で、気に入っているページはありますか?

serico どの作品も何か事件が起こった後に、最後にホッとして兄弟仲良く食べるシーンがあるんです。ここの雰囲気が好きですね。あとは2作目の『おべんとうやさん』で、弟のノエルがごはんをぶちまけてしまうところも、描いていて楽しかったです。実際に子どもがやってしまったら、お母さんは大慌てでしょうね!

『しろくまきょうだいのおべんとうやさん』より

たきの 私は、このぶちまけて「あっ」「やっちゃった~」という表情のノエルが好きなんですよ。ノエルが失敗してもポールが怒らずに料理をアレンジしてしまうので、読者さんに「子どもはこうやって、叱らないで伸ばすんですね」と感心されたことがあります。私はそんなふうに考えたことがなかったので、逆にびっくりしました(笑)。でも子育て中のお母さんが何かしら感じてくれるところがあったのならうれしいですね。

上の子の気持ちを描いた最新作

――前作まで、やんちゃなノエルが大騒ぎをしていましたが、3作目の『しろくまきょうだいのおかいもの』(kodomoe4月号付録)ではノエルを見失ってしまって、ポールのほうが不安で泣き出すシーンがありますね。

たきの 優しくて面倒見のいいポールは、お母さんにとって理想のお兄ちゃんだと思うんです。でも、そうはいってもやっぱり子どもなので、不安になったり、泣いちゃうこともあります。下の子の面倒を見れなかったのは、自分の責任だと責めてしまったり。そういう上の子の気持ちを、いつか描きたいと思っていました。

『しろくまきょうだいのおかいもの』(kodomoe2021年4月号付録)より

たきの 私にも年が離れた妹がいて、ノエルのように走り回る妹に翻弄されたことを思い出しながら作りました。ポールみたいに優しくできたらよかったな、という理想がだいぶ入っています。絵本でノエルがいなくなった場面では、ポールの心の焦りと周りの人の雰囲気が、夕暮れの色合いで表現されているところが、気持ちが伝わってきて好きですね。

――ポールが見守る中、楽しそうにお買い物をするノエルの姿もかわいいですね。

serico 商店街のシーンは、描いていて楽しかったです。今回は弟のノエルが、ひとりでおつかいに出てがんばるお話です。買いものメモを見ながら食材を探したり、おつかいを一緒に楽しむ感覚で、読んでいただけたらと思っています。

『しろくまきょうだいのおかいもの』(kodomoe2021年4月号付録)より

serico 逆に描くのが難しいなと思ったのは、ポールの想像シーンですね。ノエルが悪い人にさらわれたり、事故に遭ったりしていないだろうかと心配するところは、あまりリアルにならないよう、ここだけタッチを変えています。悪い人は抽象的に、事故のクルマはお絵かき風にして、子どもたちを必要以上に怖がらせる絵にならないよう気を付けました。

――しろくまきょうだいは、kodomoeでも大人気で、付録の絵本も楽しみにしている人が多いです。今3作目ができたばかりですが、今後の展開も考えられているのでしょうか?

たきの 続編は、まだまだ作りたいと思っています。食の話が多いのですが、それにこだわっているわけではなくて、今度はメガネを作りに行ったり、他の登場人物が出てくるのもいいなと思っています。しろくまきょうだいに、いろんな体験をさせてみたいですね。

 

絵本「しろくまきょうだい」シリーズ発売中!

serico/絵 たきのみわこ/文 白泉社 各1320円

MOE絵本屋さん大賞2019 部門賞「パパママ賞」第4位
しろくまきょうだいが、マーケットで手づくりのケーキ屋さんを開きます。兄のポールが作るオーダーケーキは、アイディアの光るものばかり! 弟のノエルも「いいなあ ぼくも たべたい」と、最後尾に並びますが? 詳しく&ご購入はこちら

MOE絵本屋さん大賞2020 部門賞「パパママ賞」第3位
今回はお弁当屋さんが舞台です。ポールとノエルのきょうだいは、お客さんのリクエストに応えて、どんなお弁当を作るのでしょう? 詳しく&ご購入はこちら

最新作はkodomoe4月号で読めます!

ノエルが「はじめてのおつかい」に挑戦!
はりきって買い物に出かける弟ノエルが心配な兄のポールは、こっそりついていくことに。でも、途中でノエルの姿を見失ってしまい!? 詳しく&ご購入はこちら

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取材・文=日下淳子

serico
千葉県生まれ。イラストレーター、絵本作家。絵本に『しろくまきょうだいのケーキやさん』『しろくまきょうだいのおべんとうやさん』(たきのみわこ/作 白泉社)『めくってあそぼう! ねずみさんのおおきな木のおうち』(永岡書店)、キャラクターデザインにEテレ「旅するドイツ語」(NHKエデュケーショナル)。自費出版絵本「しろくまのいる生活」も展開中。
Twitter  @sericco

たきのみわこ
広島県生まれ。編集者、原作者、イラストレーター。絵本に『しろくまきょうだいのケーキやさん』『しろくまきょうだいのおべんとうやさん』(serico/絵 白泉社)、著書に『スローライフにあこがれて』『乙女の日本史』シリーズ(KADOKAWA)、『東大教授がおしえる やばい日本史』(ダイヤモンド社)、編集担当作に『ねこねこ日本史』(実業之日本社)他。

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