2019年5月8日

「家族みんなが笑っている時間が幸せ」田中裕二さんインタビュー 完全版

“叱り方”は、 正解がないからむずかしい

――ご自身の子育てで、大事にされていることは?

 やっぱり子どもの前で夫婦げんかをしないことですかね。子どもにとって、親の仲が悪いのは一番イヤなことだなって。「なるべく仲よくしようね」と、夫婦で話したことがあります。まあ、それでもけんかしちゃうときもあるんだけれど(笑)。
 あとは子どもの叱り方ですかね。例えば「〇〇しなさい」って言っても、素直に聞いてくれないときは怒るよりも理屈でちゃんと説明してあげた方がいいな、と思ってやるんだけれど、実はあまりうまくいかない……。この間も、2番目の子が歯をみがかないので、「みがかなきゃダメでしょ。ムシ歯になったら、あとで自分が痛い思いをするでしょ?」と言い聞かせていたんです。でも、息子は「イヤだ、面倒くさい!」とか「ムシ歯になんかならないっ!」って、ずーっと言って、みがこうとしない。それで、とくとくと言い聞かせていたら、怒ってママのところに行っちゃったんですよ。そして、「パパ、うるさい〜! 細かいんだも〜ん」って泣き出したんです。こっちは「ちょっと待って、細かいってなんだよっ!」となりました。そうしたら、ママも「そうだよねぇ、パパ細かいよね」って……(苦笑)。
 つい、理屈で追い込んじゃった感じですよね。その子の性格とか、こっちの性格とか、言い方とか、いろいろあるから。もちろん、理屈を理解してちゃんと聞いてくれる子もいるんでしょうけど、うちの子の場合はイヤだったんだろうな、と。まだ普通に叱った方が、そのときは「イヤだ」ってなっても、時間が経ったらそのうち素直にやるのかもしれない。まあ、かといって、あまり強く言うと泣いちゃうし……正解は分からないですよね。

――子どもも親も、そのときどきで違いますしね。

 子どもって、めちゃめちゃ泣いて、ゲラゲラ笑って、今度は怒って暴れまわって、というのをほんの1〜2時間の間にできちゃいますからね。何かでギャン泣きして、自分の部屋に閉じこもってしまって、こっちがいくら言っても出てこない。でも、その1時間後には、リビングでお菓子を食べながらテレビを観て、ゲラゲラ笑ってたりするじゃないですか。大人じゃありえない。まあ、すばらしい生きものですけどね。

――大人は日々、試されている気になりますね。

 本当にそうなんですよ。まず、僕自身の成長がすごく遅くて。それで、つい子どもと同じ土俵に立ってしまう。大人の成熟みたいなことをしていない、っていうのは、もう自分でもよく分かっているんですよ。子どもってあえて生意気なことを言ったりすることがあるけれど、それに対して、ちょっとイヤなことを言っている自分に気づくことがあったり。子どもと同じ目線に立って、子どもが言った言葉にカチンとくると「えっ、何、今の!?」と感情的になることもあるから。それはよくないなって。本当の大人は、感情的にならずに済むんでしょうけどね。

“家族団欒”の時間が 一番の幸せ

――5人家族になって、一番楽しかった思い出は何ですか?

 そうですね……特別なことっていうのは別にないんですけど。子どもが3人いたりすると、親のどっちかが誰かを叱っていたり、きょうだいげんかをしていたり、末っ子が泣いていたり、誰かしら機嫌が悪くなったりして、いつもガチャガチャしているんです。でも、たまに「みんなでごはん食べに行こう」と言って、近所を散歩しているときなんかに、「あ、今、みんな笑ってる」っていう瞬間が訪れたりするんです。そういうときが、一番幸せなんじゃないかと思いますね。
 あとは、上のふたりが「きょうは金曜ロードショーで『ルパン三世』をやるから、観るんだ!」と言うので、「じゃあ、先にお風呂に入んなきゃね」って言うと、そのときは素直に言うことを聞いてくれて。お風呂から上がった子どもたちが、「パパもママも一緒にテレビ、観ようよ」と言う。そうして、家族全員が1か所に集まって、ひとつの番組を観るとか。そういう時間に幸せを感じますね。

――そう言われてみると、テレビを囲んでみんなで観るってあまりないですね。

 昭和とか昔の家族は毎日そんな感じだったでしょうね。うちも普段は、こっちはYouTubeを観ていて、こっちはゲームをやっていてと、バラバラに過ごすことが多いですから。

――そういえば、田中さんは山口さんと結婚前に、ご自身がお好きな映画「スターウォーズ」シリーズをふたりのお子さんたちに薦めたそうですね。

 「スターウォーズ」の新作が来ることが分かっていたので、「子どもたちと絶対、一緒に観に行きたい」と思って、過去の作品を観せて洗脳したんです。そうしたら、まんまと引っかかった(笑)。息子は当時、まだ4歳か5歳でしたが、もうすっかり「スターウォーズ」好きになってしまって。一緒にレゴを作ったり、ライトセーバーで戦ったりしました。僕が子どもの頃から大好きな作品を子どもたちも好きになってくれて、一緒に「ルーク・スカイウォーカーだ」「チューバッカだ」と言い合えるのは、すごく感動的。うれしいことですね。
 今回「プリキュア」シリーズの新作映画「映画プリキュアミラクルユニバース」で、フクロウの姿をした惑星ミラクルの星々を司る大統領役で声の出演をしました。公開したらふたりを誘って観に行きたいと思っています。「プリキュア」は、一番上のお姉ちゃんが昔すっごくハマってて。今回の出演も喜んでくれました。映画では娘の知っているプリキュアも登場するから、きっと楽しめるんじゃないかな。

「家族みんなが笑っている時間が幸せ」田中裕二さんインタビュー 完全版の画像2

お母さんたちは 本当に偉大です

――それにしても、田中さんはママの大変さをよく分かっていらっしゃいますよね。

 全然、そんなことないですよ。奥さんにはよく怒られています。料理ができないので、「何でこんなことできないの!?」と。即戦力にならないんですよ。奥さんが料理の途中で手を離せないことができて、「ちょっと、続きをお願い」と言われたときに、「えっ? えーと、どうするんだっけ?」となって、イラつかれしまう。「それを入れて、煮込むだけでしょっ!」って。りんごひとつ切るにも下手くそで、時間がかかるから。ただ、料理を作るまではいかないけれど、ちょっと何かを切って出してあげたりすると、喜んでくれますね。これで料理ができれば僕の株ももっと上がるんでしょうけれど。

――改めて、山口さんに思うことはありますか?

 奥さんは偉大だなあと。本当に、頭が上がらないというかね。子育てするお母さんたちは本当に大変だから。働きながら子育てしてる人も大変だし、専業主婦だって365日休みがないっていうのもすごいことで。まあ、それに耐え得るほど子どもがかわいいっていうことなんでしょうけれどね。かわいくなかったら、無理だからね。それはもう、「命も惜しくない」くらいかわいくてって、なっちゃう。実際ね、寝不足とかで体はボロボロになるしね。

――お父さんの立場から、お母さんからかけてほしい言葉はありますか?

 何だろうな……うちの奥さんも気を遣ってくれてね、「仕事で疲れているんだから、明日は寝てていいよ」とか言ってくれるんですよ。でも、そう言われると、なんか「いや、いいよ」ってなっちゃうんです。
 労いの言葉をかけてほしいというよりも、奥さんが、子どもをあやしたりして、笑って幸せそうにしているのを見るだけで、本当に和みますね。

INFORMATION

「家族みんなが笑っている時間が幸せ」田中裕二さんインタビュー 完全版の画像3

©2019 映画プリキュア ミラクルユニバース製作委員会

田中さんもゲスト声優で出演!
『映画プリキュアミラクルユニバース』
「スター☆トゥインクルプリキュア」が劇場版に初登場。ミラクルライトの秘密を探しに、星の世界を大冒険! さあ、歌って踊って応援しよう!
2019年3月16日(土)公開!
 
Web precure-miracleuniverse.com

プリキュア映画の楽しみ方をチェック!


田中さんからのメッセージ

僕はフクロウの姿をした大統領の声を担当しました。映画オリジナルキャラクターなので、どう演じたらいいか難しかったのですが、監督の思い描く「ホーホー」が出せたかどうか……。ぜひ映画館でチェックしてください。

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