第1回 井上和香さん×現役保育士さん 「どうして保育園では野菜が食べられるのに、うちではダメなの?」
褒めることもワンパターンだと飽きられる……!?
和香:
でも私、最近「褒める」ってことを、大げさにやってみることにしたんですよ。
苦手なものをひと口でも食べたら「すっごーい!!もう、お母さん、びっくり!!!!(大袈裟なジェスチャーで)」っていうことを最近やりだしたんですけど、そうしたら子どもが2、3日前から、急にこういう目で見るようになったんですよ。
(目を細めて無表情の和香さん)
田中:
あははは! 褒められ慣れちゃったんですかね(笑)。
和香:
なんか、すごいひかれてる感じなんです。
それ嬉しいの? 嬉しくないの?って思いながら、やりすぎてんのかなあって思って。
田中:
もしかしたら、やりすぎているかもしれないですね。
でも、内心は褒められて喜んでいる、という感じはないんですか?
和香:
いや、ちょっと笑ってはいるんですけど。
「またそれ?」「またやってんの?」っていう顔なんです。
褒め方も、ワンパターンだと飽きるんですかね。
田中:
何か、違うやり方を求めてるのかもしれませんね。
でも今のケースははじめて聞きました(笑)。
おうちで、子どもをそこまで思い切り褒めているのは、聞いたことがないのですごいですね。
和香:
まわりからは、オーバーリアクションぶりを笑われてます。
玉ねぎのスープをひと口食べて、「うわあああ、すごーい!!」って言ったら、その後も自慢げに、こう2杯目を口にしたんですよ。
だから「うそでしょ!お母さん、2杯食べると思わなかったー!!!(喜)」って言うようなことを、ずーっとやってたら、完食してくれて。
和香:
最初のころは、褒めたら、すごくノリノリで食べてくれたんです。
ファミレスでそれを大声でしていたので、恥ずかしい思いはしたんですけどね。
田中:
子どものことを思えば、ですよね。
ぼくも、たとえば、子どもが食いつく遊びとか、楽しんでくれる遊びを提供しているつもりなんですけど、ワンパターンのままだと、やっぱり途中から、子どもの気持ちが離れていくことがあります。
同じことをやりつつも、手を替え、品を替え、いろんなバリエーションを用意してやってます。
和香:
なるほど。私もパターンを考えてみます!
田中:
いつもオーバーリアクションで褒めるなら、静か目に褒めてみてください。
今度は「え、食べたの?すごいね」ってサラッと終わらせてみて、どんな反応をするか見てみたり、
いろんな反応をさぐったりしながら、やり方、アプローチを変えたりするとおもしろいかもしれないですね。
和香:
いろんなパターンを見て、娘はどれが好きかを見るんですね。探ってみます。
田中:
音も注意をひくときにいいですよ。
たとえば「お片付けするよ」って言っても反応がなかったときに、そこにあるちょっとした楽器、なんでもいいのですが、
おもちゃのタンバリンとかを、わざとカチャカチャ鳴らすんです。
音がするので、子どもがこっちをパッと見るじゃないですか。
その瞬間にやめて、おどけながら「あれ? どうしたのー?」って言う。
わざと鳴らしているところを見せないと、子どもって逆に気になりますよね。
和香:
なるほど!
田中:
また少ししたら、鳴らしてみて、こっちを向いたらやめる。「だるまさんが転んだ」みたいに。
子どもにとっては、そこで「遊びがはじまった」わけなんで、気持ちがこちらに向き始めます。
自分が振り向いたらこの人はやめる。
どうやったら音がなっている間に振り向けるか、という遊びなんです。
それに似た遊びで、トントンって肩をたたいて、こっちを向くとわざと何もしていないふりをするっていう遊びもできます。
和香:
いいですね。やってみます!
太鼓が好きで、youtubeやテレビで見た楽器を使いたがるんです。
田中:
リズム遊びも、いろんなパターンがあります。
最初は、パンパンパンって何かを叩いてから、じゃあ一緒にやってみようか、せーの、パンパンパンって真似して手を叩く遊びをします。
慣れてくれば、何も言わなくても、こちらが手を叩くと、子どもたちが「パンパンパン」と続けてくれるようになるんです。
園ではお散歩で歩きながらパンパンパン、テンポに合わせて足音でタンタンタンと、歩きながら遊んています。音が鳴るものはけっこう便利ですよ。
第2回に続きます→第2回「子どもに対して感情的になってしまうとき、どうしたらいい?」
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撮影場所:MOSHI MOSHI GALLERY もしもしギャラリー
■井上和香さん:
1980年生まれ。女優。2012年、映画監督の飯塚健さんと結婚。2015年7月、第一子となる娘さんを出産。オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/inoue-waka