『おもちのおふろ』【今日の絵本だより 第271回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おもちのおふろ』
苅田澄子/作 植垣歩子/絵 学研 1320円
2月6日は、「お風呂の日」。
他にも毎月26日の「風呂の日」、4月26日の「よい風呂の日」、11月26日の「いい風呂の日」と、お風呂の記念日は一年中を通じてたくさん。
そんな「お風呂」が舞台で、やはり日本人が大好きな「おもち」が主役のお話、『おもちのおふろ』をご紹介します。
おもちのもーちゃんとちーちゃんが、寒い寒い日におふろ屋さんに出かけます。
「ぽかぽかのゆ」ののれんをくぐると、番台のだいこんさんが
「いろんな おふろが あるよ。
すきな おふろに おはいり」
と言ってくれました。
ふたりがうきうきと最初の扉をあけたら、
「わあ。しょうゆの あしゆだ」
たくさんのおすしたちがずらりと並んで、あしをひたして気持ちよさそうにしています。
でも、気持ちよすぎるのか満員で、誰も場所を代わってくれません。
もーちゃんとちーちゃんがあきらめて次の扉を開けると、
「ひゃあ、きれい。きなこの すなぶろだ」
早速きなこにもぐって体もぽかぽか、と思ったら、ちっちゃなおだんごたちがたくさんやってきて、ころころころころ。
きなこがみんなおだんごたちにくっついて、すっかりなくなってしまいました。
「あーん、さむいよう」
もーちゃんとちーちゃんは、また次の扉を開けて……。
足湯に砂風呂、サウナに〇〇のお風呂(読んでのお楽しみ)、いろんなお風呂はもちろんのこと、おすし、パン、野菜と、たくさんのお客さんがみんなおいしそうな食べ物なのも見どころ。
それぞれにぴったりのおふろをゆったり満喫しているのを見ると、こちらものんびりいい気分に。
「入浴料
やさい 50えん
だんご 5えん
もち 10えん」
なんて番台の張り紙や、あちこちの看板にポスター、レトロな体重計やマッサージチェアなど、細かく見始めると楽しいものがいっぱい。
昭和の銭湯感がいい味出してる「ぽかぽかのゆ」、もーちゃんとちーちゃんは、すっかりあったまったようですよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。