『ふりかけヘリコプター』【今日の絵本だより 第208回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ふりかけヘリコプター』
石崎なおこ/作 教育画劇 1210円
昨年の5月6日は、「ゴムの日」にちなんだこちらの絵本をご紹介しました。
そして同じく5月6日は、「ふりかけの日」でもあるんですね。
「ふりかけの元祖」とされているのは、大正初期に熊本県で発売された「御飯の友」。
食料不足の時代に、カルシウム不足を補うために薬剤師・吉丸末吉氏が「魚を骨ごと細かくし味付けをしてごはんにかける」という発想から考案した商品だそう。
その吉丸末吉氏の誕生日、5月6日を、国際ふりかけ協議会が「ふりかけの日」に制定しました。
そんな「ふりかけの日」におすすめの絵本が、『ふりかけヘリコプター』です。
「ふりかけヘリコプター、しゅっぱつ!
きょうは なにを ふりかけようかな。」
パララララパララララ……と、プロペラ音も軽やかに飛び出しました、ふりかけヘリコプター。
「おや。
ほかほか しろい ごはんを はっけん。」
早速ごはんの上まで機体を寄せて、
「たまごの ふりかけ、
パラ パラ パラー!」
ヤッター、ふりかけごはんのできあがり。
でも、ふりかけるものって、他にも何かあるんでしょうか?
はい、ありますよ。
アイスクリームに、カラフルなスプレーチョコ。
ラーメンに、ネギとにんにくを大盛りで。
スパゲッティには、たっぷりチーズ。
それからそれから、まだまだあります。
ふりかけヘリコプターは、食卓の外にも飛び出して……。
『ふりかけヘリコプター』の作者は、『いちごパフェエレベーター』の石崎なおこさん。
2冊とも、素直なかわいい絵ににこにこしながら読んでいると、いつの間にか高い場所まで連れて行かれている、予想外の飛躍が快感です。
ふりかけヘリコプターの「きょう いちばんの おおしごと」の、なんと壮大なこと。
これは間違いなく、ふりかけが今までより好きになる1冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。