『おさるちゃんのおしごと』【今日の絵本だより 第201回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おさるちゃんのおしごと』
樋勝朋巳/作 小学館 1540円
少し先ですが、4月8日は指圧の日。
指圧にちなんだ絵本と言えば……、ぴったりな一冊が、ありました!
今年の1月に発売された新刊、『おさるちゃんのおしごと』です。
「むらたせいこついん」で働いている、おさるちゃん。
患者さんの肩や腰、痛いところをマッサージしてあげるのがお仕事です。
おさるちゃんは月に一度、故郷の山に帰って、山の仲間にもマッサージをしてあげています。
今日はお友達の、犬のペロも一緒にお手伝い。
ふたりが山に着いたら、おばあちゃんや親戚やお友達、みんなが大喜びで出迎えてくれました。
さあ、最初の患者さんは、おさるちゃんのおばあちゃん。
おさるちゃんは、おばあちゃんのひざを一生懸命マッサージ。
その間ペロは、おばあちゃんの肩をトントントン。
次の患者さんは、首を痛めたイノシシのおじいちゃん。
おさるちゃんが手当てをする間、ペロはおじいちゃんの毛をブラッシング。
いつも赤ちゃんをだっこで、肩がカチカチにこっているお母さんのおさるさん。
背中がかゆい、こぐまちゃん。
おさるちゃんとペロのコンビは、誰にでも、優しく優しくマッサージ。
千客万来、働きづめのふたりがみんなのマッサージを終えると、今度はみんながふたりに素敵なおもてなしをしてくれました。
樋勝朋巳さんの描くお話はいつも、誰もが優しくて温かくて、だけどちょっぴりせつなくて。
そのせつなさも、さらなる温かさでそっと包みこまれるような、ほっとする味わいに満ちていて。
読み終えると、何ともほっこり、いい気持ち。
おさるちゃんのマッサージも、きっとこんなふうに心も体も柔らかく、ふわふわになるんだろうなあ。
今回はナイスアシスタントだったペロが主役の既刊、『ペロのおしごと』も、ぜひ合わせてご覧くださいね。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。