『にんじゃじゃ!』【今日の絵本だより 第191回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『にんじゃじゃ!』
岡本よしろう/作 文溪堂 本体1500円+税
2月22日は、「ニンニンニン」で忍者の日。
忍者の絵本もいろいろありますが、今回は先月発売になったばかりの元気な新刊、『にんじゃじゃ!』をご紹介します。
ぽかぽかの昼下がり、お城のおとのさまが、うとうと居眠り。
そこへ天井から、するするするとかぎなわが下りてきて、おとのさまのちょんまげをつりあげました。
「との だいじな ちょんまげが ありませぬぞ!」
じいに言われて目を覚ましたおとのさま、
「ややややや!」
気がつけばなんと、頭がつるつるのピカピカです。
おとのさまはとっさにちょんまげがわりに、犬のたろうを頭にのせて(しっぽがちょうどいい具合!)、窓の向こうに見えた人影に向かって
「にんじゃじゃ!」
「はやく あやつを つかまえよー!」
さあ、お城の庭に大勢の家来が飛び出して、にんじゃ探しの大騒動。
「どこじゃ? どこじゃ?
にんじゃは どこじゃ?
にんじゃは いったい
どこでしょう?」
絵の中のどこかに隠れているはずのにんじゃを、見つけられるかな?
映画のようなオープニングから始まって、どんどん進む、なんともテンポの良いストーリー。
かわいい顔してさすがはにんじゃ、隠れ身の術、水とんの術と、軽やかに忍術を操って、追っ手からひらりひらりと身をかわします。
子どもたちと同じ年頃に見えるにんじゃが、大人を煙に巻く様子は痛快。
逃走劇のクライマックスまでは二転三転のどんでん返し、お話のラストには、さらなる秘密の種明かしが見返しへと続きます。
「どこじゃ? どこじゃ?
にんじゃは どこじゃ?」
と親子で声を合わせて、繰り返し読んで楽しんでくださいね。
最初は気づかなかった、にんじゃとおとのさま以外のサイドストーリーも、きっといくつも発見できますよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。