『なまえのないねこ』【今日の絵本だより 第98回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『なまえのないねこ』
竹下文子/文 町田尚子/絵 小峰書店 本体1500円+税
あけましておめでとうございます。
本年もkodomoeならびにkodomoe webを、どうぞよろしくお願い致します。
毎年恒例、年末発売のMOE2月号で発表されるMOE絵本屋さん大賞。
全国の絵本屋さん3000人の投票で決定した、2019年の絵本ランキングです。
第12回となる今回の第1位は、『なまえのないねこ』が受賞しました。
作家の竹下文子さん、画家の町田尚子さん、ともに愛猫家コンビによる深い猫愛に満ちた一冊です。
表紙から、じっとこちらを見つめる緑の瞳。
ぼくは、名前のないねこ。
今まで、誰にも名前をつけてもらったことがない。
町の他のねこたちは、みんな名前を持っている。
靴屋さんのねこは、レオ。
ライオンという意味なのが、レオのご自慢。
八百屋さんのねこは、チビ。
今はもう大きいけれど、チビ。
「ぼくも なまえ ほしいな」
そう思って、町の中を探してみるけれど、見つかりそうで見つからない。
でも、ぼくが本当にほしかったのは、名前じゃなくて……。
第12回MOE絵本屋さん大賞第1位の他にも、第3回未来屋えほん大賞、第10回リブロ絵本大賞と、2019年の絵本賞の3冠に輝いたこの作品。
ちなみに第8回静岡書店大賞・児童書新作部門の第2位も受賞しています。
全国の書店員さんの心を、ここまでつかんだその秘密は?
現在発売中のMOE2月号で、作者おふたりの受賞インタビューを掲載しています。
ぜひご覧ください。
猫好きならもちろん、たとえ猫好きでなくっても、「ぼくが本当にほしかったもの」がすとんと腑に落ちて、忘れられない一冊になるはずです。
次回はMOE絵本屋さん大賞部門賞、kodomoe読者の投票で決定したパパママ賞第1位のあの作品をご紹介します。
どうぞお楽しみに!
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。