『サン・サン・サンタ ひみつきち』【今日の絵本だより 第95回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『サン・サン・サンタ ひみつきち』
かこさとし/作 白泉社 本体1300円+税
もうすぐクリスマス。
毎年この時期は本屋さんがクリスマス絵本でにぎわいますが、中でも今年はこちらの新刊に注目です。
1986年に刊行された、かこさとしさんが遺したただひとつのクリスマス絵本が、再編集で復刊となりました。
『サン・サン・サンタ ひみつきち』です。
地球の一番北の果て、北極の氷の下に、誰も知らない大きな工場があります。
工場だけではなく、秘密のロケット基地もつくられています。
この工場に、世界中からがらくたや壊れたものが、コンテナいっぱいに詰められ、送られてきます。
そのがらくたが工場の中に運ばれると、機械やロボットの手でバラバラにされ、素材ごとにわけられて……。
科学のエッセンスと「ものづくし」の楽しさ、読後のなんだかわくわくうれしくなる気持ちと、かこさとしさんらしさにあふれたこのお話。
かこさんはあとがきに、
「たった一日で地球のすみずみの各家庭を、いっせいに訪れることができる不思議なサンタの謎と、その秘密の全部を、すっかり明らかにしたのが、この本です。」
と書いています。
昨年、92歳で永眠されるまで、終生現役で絵本を描き続けたかこさん。
世に送り出した作品は、絵本以外の著作も含めてなんと600冊以上。
30年ぶりの新装復刊となった本書をはじめ、あなたが出会ったことのない宝物のような絵本が、まだまだあるはずです。
ちょうどクリスマスにあわせて、この絵本がTOKYO FMで2回にわけて朗読されます。
高橋みなみの「これから、何する?」内「よ・み・き・か・せ」
2019年12月24日(火)、25日(水) 14時半頃から予定
https://www.tfm.co.jp/yomikikase/
TOKYO FM放送圏外の方は、radikoから聞くことが可能です。
http://radiko.jp/
次回も続けてクリスマスの絵本をご紹介します、どうぞお楽しみに。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。