2020年12月3日

世界的に大量のマスクの化石が発掘される、という妄想【ぼくとフジオ・10】

『ねたあとゆうえんち』や『よなかかいじゅうイビキラス』(ともに白泉社)などでおなじみの絵本作家でイラストレーターの大串ゆうじさんが、子育ての中で日々湧いてくる「妄想」を描きます!

こんにちは。今回は「化石」をテーマにしてみたいと思います。

息子・フジオ(4歳)が、恐竜や海の生物、昆虫、原始人などに最近とても興味を持っているので、上野にある国立科学博物館の常設展を家族で見に行ってきました。国立科学博物館は1877年に設立された日本で最も歴史のある博物館です。約370万点もの貴重なコレクションがあるそうで、展示の仕方もかっこよく、見ごたえ抜群で家族で大興奮しました。過去に何度か行ったことはあったのですが、フジオの影響で虫や恐竜に興味がわいている僕は、「こんなに凄いとは!……」と改めて感動しました。興奮した妻とフジオは次の週もまた行ったほどです。

その中でもフジオを一番ハイテンションにしたのは、なんと言っても恐竜や古世代の生物達の化石でした。大迫力の全身骨格の化石の数々に「うわーうわー! うぎゃー!」とはちきれんばかりの声をあげていました。とくにティラノサウルスとトリケラトプスが向かい合って展示してある所は圧巻で「すごい!……」の一言。

一角には化石発掘から復元までの手順の工程、使う道具の展示、のようなお勉強のコーナーもありとても興味深かったです。「なるほど~化石か~。うーん。なんか面白いな〜化石……」と思い、化石の妄想がモヤモヤと頭に浮かんできました。

余談ですが、小学生の時に「生きている化石、シーラカンス発見!」みたいな内容の話を何かで読んだ記憶があるのですが、「生きている化石……? え、シーラカンスって数万年も生きるの? 半分化石状態で生きてるってこと? それなら凄いんだけど……。どういうこと?」とシックリこない感想をもった記憶があります。

同世代の友達にその話をしたら「わかるわかる! あの表現よくわからなかったよね~! いまだによくわかんないんだけど(笑)」と言っていました。

……ということで今回は「化石」の妄想を発表したいと思います。

第10回  数万年後に発掘される? 妄想化石

その1  「カタテグンテ」の化石


「散歩していると、なぜか道路に落ちているもの」としてけっこう有名なものに、片方だけの軍手があります。原因はトラックの燃料タンク漏れを防ぐために軍手をタンクに被せていて、その軍手が道路に落ちている。ということらしいです。この軍手が1万年後に化石として発掘されて博物館に展示されているかもしれません。

ちなみに1万年以上経ったものを化石と言うらしいです。

その2 「マスク紀」の化石


片手軍手以上に最近かなり目立つのが、道路に落ちているマスクです。あれ気になりますね~。数万年後の考古学者達はこの現代の地層から世界的に大量のマスクの化石が発掘される謎にぶつかるはずです。地質時代の時代区分に「白亜紀」「ジュラ紀」「カンブリア紀」などありますが(いろいろあって順番とか覚えるのが難しいです)、この時代はもしかしたら「マスク紀」となっているかもしれません。

もしかしたら数万年後にはマスクはかなり進化して、現在我々が使用しているマスクはマスクの始祖、「始祖マスク」と呼ばれているかもしれません。

その3 「中生代(中学時代)のカバン」の化石


今度は視点を変えて自分の思い出の地層を掘っていくことにしました。

無邪気で元気なサッカー少年だった「古世代」(小学生時代)と、美術などに目覚め、今の自分に繫る原型が誕生した、暗かったけど楽しかった「新生代」(高校時代)の中間に位置していて、自分が何をやりたいのかもよくわからず、中途半端でパッとしない、面白くなかった時代。それが自分にとっての「中生代」(中学時代)でした。

思い出地層を掘っていったらすっかり化石になっている状態で発掘されたので展示しておきます。

その4 「楽しかった日帰り旅行」の化石


中学時代の化石の話が暗い感じだったので、最後は楽しかった思い出を化石として保存することにしました。

先日、家族で東京の多摩地区西部にある秋川渓谷という所に日帰りで紅葉を見に行ってきました。我が家からは電車で1時間程で、天気も快晴。山を登ったり、川で遊んだり、紅葉を楽しんだり、と、ほのぼのとしたとても楽しい秋の1日になりました。

秋の夕暮れの澄んだ空気と、バスに揺られてふわ~と心地よい眠気。その後に飲んだビールなど、全部がとてもいい感じでした。という楽しかった日帰り旅行の思い出を化石にして、思い出地層に保存しておきたいと思います。

数十年後に掘り出して「こんなこともあったな~、懐かしいな~」となるかもしれません。

博物館のショップでは本物の化石も売っていて、とても興味をそそられました。化石……気になります。

以上、今回は「化石」でいろいろと妄想してみました。ありがとうございました。

大串ゆうじ
おおくしゆうじ/1976年茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。個展などで作品を発表しながら、雑誌、テレビ、広告などのイラストレーションで活躍。著作絵本に『よなかかいじゅうイビキラス』『ねたあとゆうえんち』(白泉社)『しょうてんがいくん』(偕成社)がある。
www.senggeng.com/kushi/

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