小児歯科医に聞く、矯正が必要な子どもの歯並びとは?【子どもの歯科矯正・1】
2020年2月4日

小児歯科医に聞く、矯正が必要な子どもの歯並びとは?【子どもの歯科矯正・1】

子どもの歯並びが悪い、かみ合わせが気になる……。矯正したほうがいいのかな? などと考えるママも多いことでしょう。いつまでやればいい? いくらくらいかかる? どの歯科医院を選ぶべき? など、子どもの歯科矯正について、小児歯科学会認定専門医の網野重人先生に教えていただきます。
全3回の連載、第1回目は「矯正をしたほうがいい場合について」です。

Q 子どもの歯並びが悪く、そのせいで虫歯になりやすいのではと心配です。早いうちに矯正したほうがいいでしょうか? (sanaママさん・5歳女の子ママ)

矯正の必要があるのはどんな場合?

「矯正治療をしたほうがいいのは、前歯がクロスして生えているなど重なりの程度の重い場合や、下あごが出ている受け口の場合です。また、遺伝的に見て将来歯並びが悪くなる可能性が高い場合(祖父母の代までさかのぼります)は、矯正したほうがいいという判断をします」

何歳くらいで始めるべき?

「子どもの歯の矯正は、成長の力を利用して自然にあごの骨を広げていくのが最も無理のない方法です。あごは、上あごが先に大きくなり、下あごは後から大きくなっていきます。そのため、受け口や反対咬合を矯正する場合は下あごの成長を抑制しながら上あごを広げていくというイメージ。幼児から小学校高学年(男子12歳、女子10歳くらいまで)くらいの成長期は、あごも大きくなるので成長を利用した矯正には適しており、程度が重い子の場合は早ければコミュニケーションがとれる4歳過ぎから始める場合もあります。ですが一般的には小学校低学年で始める子が多いようです。

一方、歯並び全体をよくしたいといった矯正の場合は、永久歯が生えそろった中学校卒業くらいからおこなう人も多いです。早いうちのほうが矯正時の痛みが少ないという面はありますが、その子の性格や成長の度合い、家族のライフスタイルもあるので、早ければ早い方がいいというものでもありません」

矯正することのメリット、デメリットは?

「まずメリットとしては、重なりがなくなるので磨き残しが減り、虫歯になりにくい。将来的に歯周病にもなりにくいです。また、見た目のキレイさももちろんあります。デメリットはこれらの反対と考えてください。

ただし、矯正の痛みやわずらわしさ、そのために歯科に通うことなどが本人やママにとって大きな負担になることもあるので、それを考えた上でメリット・デメリットを比較するのがいいでしょう」

何歳から始める? うちの子にも必要? 小児歯科医に聞く、子どもの歯の矯正・1の画像1教えてくれたのは
網野重人先生
あみのしげと/「桜堤あみの歯科」院長(東京・武蔵野市)。日本小児歯科学会認定専門医。昭和大学歯学部卒業。地域の子どもたちのかかりつけ歯科として、それぞれの子どもの成長に寄り添った診療を提供。日々の診療やメディアを通じて予防歯科にも力を入れる。

取材・文/遊佐信子
Photo by Adobe Stock

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