うがいのできない子どもはどうする?  医師に聞く、インフルエンザ予防のポイント
2019年12月26日

うがいのできない子どもはどうする? 医師に聞く、インフルエンザ予防のポイント

今シーズンのインフルエンザも本格化してきているようす。予防には特に力を入れたいものですよね。

先日行われた、パナソニック株式会社主催の「子育てお役立ち家電セミナー」に登壇した、医療法人社団 コスモ 千駄ヶ谷インターナショナルクリニックの院長、篠塚規先生によれば、インフルエンザ予防のポイントは、手洗いやうがい、食生活、おうち環境が重要だといいます。その講演とインタビューの内容をご紹介します。

家族みんなが元気に冬を乗り切るためのコツ

うがいのできない子どもはどうする?  医師に聞く、インフルエンザ予防のポイントの画像1

講演中の篠塚規先生

篠塚先生によれば、家族みんなか元気に冬を乗り切るためには、「細菌・ウイルスとの接触を減らすこと」と「免疫力を高めること」が大切だといいます。その予防策を「手洗い・うがい」「食生活」「睡眠と環境」の3つの点から教えていただきました。

1.手洗い・うがいのポイント

最近の研究では、細菌やウイルスは、「飛沫感染」より「接触感染」が原因として非常に多いということがわかってきています。外出先から家庭に持ち込まないためには手洗い・うがいが非常に大事になっているのです。

手洗いのポイント

石鹸を使うことと、流れる水を使うのがポイント。手洗いの時間は、WHOなどが勧めているのは「ハッピーバースデートゥーユー」の歌を2回歌うくらいの長さだそう。子どもに手洗いをさせるときは、いつもこの歌を歌うことを習慣づけてください。また指の間までしっかり洗うことを子どもに伝えることも大切。爪を伸ばしているママはブラシを使って爪の間を洗うことも忘れずに。

うがいができない小さい子は?

うがいも欠かさず行いましょう。子どもが小さくてうがいができない場合は、水やお茶を飲ませれば大丈夫です。

感染症は喉に雑菌がついているとそこで繁殖するのですが、飲み込んでしまうと、胃酸で自動的に殺菌されるため、大人でも、うがいによって雑菌を出せる場合はそのほうがよいですが、できない場合は水を飲ませることでも十分だそう。

2.食生活で気を付けること

免疫力を高めるには、バランスの良い食事をすることが非常に大切。バランスが良いというのは、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを総合的にとるということです。

食物繊維や発酵食品を意識的にとる

最近の研究では、免疫力を高めるためには小腸の免疫を高めることがいいというのがわかってきました。そのためには食物繊維を多く摂るとか、あるいは発酵食品を摂ることが免疫力を高める、ということにつながると、いろいろな研究から出ているそうです。

スープや鍋がおすすめの理由

野菜や肉、魚などが入っていて一度にバランス良く摂れるようなスープや鍋がおすすめ。日本には伝統的な鍋料理がありますが、そういうものを総合的に食べて冬場の感染症を減らし、健康的に過ごすという民族的な知識は日本でも海外でもあり、そういった鍋やスープを食べることで免疫が上がるというのがわかったのは、この20〜30年のことです。もともとあった知識が、最近になって科学的にも裏付けられてきたということです。

インフルエンザの予防に積極的に食べたい食材

インフルエンザの予防には、生の野菜や果物を食べるのもおすすめ。夕食は鍋類など総合的に摂るようにして、朝は普通の食事プラス果物(冬は旬のみかんやりんごなど)を加えたり、サラダを加えたりしてビタミンCを摂取することも大事です。

3.睡眠の必要性と部屋環境

睡眠をしっかりとる

免疫力の維持には、十分な睡眠をとることが大切です。大人であれば7時間以上。短い睡眠時間の場合としっかり睡眠をとった場合とを比べると、短い睡眠の方が約3倍、風邪をひきやすい、あるいは質の悪い浅い睡眠の方が5倍くらい風邪をひきやすいというデータも出ているそうです。

赤ちゃんの睡眠環境の作り方

赤ちゃんの睡眠の質を上げるには、理想としては大人と部屋を分けること。同じ部屋でしたら過大な刺激、音や光はなるべく避けること。

温度は、冬場なら20~22℃くらいに設定を。湿度は数字は具体的にはないですが、あまり乾燥すると抵抗力が弱まりますので、乾燥していると感じるときには加湿器などで加湿してあげるのが良いでしょう。

1~2時間に一度は換気を

狭い空間に何人かの人がいると、二酸化炭素がたまるだけでなく、いろんな雑菌やウイルスを持ち込んでいる可能性もあります。1〜2時間に一度は換気をすることが望ましいのだそうです。

この冬、家族みんなの風邪やインフルエンザ予防のために、ぜひ今回のお話をヒントにして取り組んでみてくださいね。

教えてくれたのは
篠塚 規先生
千駄ヶ谷インターナショナルクリニック 院長。
1949年生まれ。千葉大学医学部卒業。日本旅行医学会専務理事。日本赤十字社医療センター外科研修を経て米国ピッツバーグ大学医学部の重症疾患ユニットに勤務。救急医学を学ぶ。欧州救急医学会教育認定医を取得し、2001年日本旅行医学会を設立。著書に『実例による英文診断書・医学書類の書き方』『海外旅行医学ハンドブック』『50歳からの旅行医学』など。

取材・文/石原亜香利 
Photo by Adobe Stock

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