子どもは意外と丈夫です 「清潔にしすぎない」が元気な体を作る!
かぜや変な病気にかかったら大変──そんなママの心配は分かるけど、ちょっと待って!
清潔すぎるのは、逆に体を弱くする原因にも。少しくらい汚くても、元気がいちばん★
イラスト/ニシワキタダシ 撮影/岡森大輔 ヘアメイク/中村曜子 読者モデル/五十嵐優花ちゃん、宮結人くん
こんなこと、していませんか?
【1】うがい薬は使い過ぎるとかぜをひきやすくなる
うがい薬の殺菌作用は強力。外から帰るたびにうがい薬を使っていたら、雑菌と一緒にのどや体を守る菌まで殺してしまうことに。塩水かお茶でガラガラする程度で十分です。
【2】土や砂、どろんこを避けると体に必要な菌も入ってこない
土や砂にいる土壌菌は人体に無害どころか、人の腸内の日和見菌※と似た種類の菌。「汚れるから」と、どろんこ禁止にしていると、大事な菌を取り込む機会を逃してしまうことに。
※日和見菌は腸内環境の7割を占める
【3】大事な菌まで拭き取ったら、体が無防備に!
赤ちゃんはいろんなものをなめることで、腸内に菌を取り込み、それが赤ちゃんの免疫力を作ってくれるのです。何でも除菌してしまうのは、免疫力を下げることに。
菌をすべて排除することは健康のためにはマイナス!
抗菌・殺菌・除菌──ママなら少なからず気になるキーワードですが、これがかえって子どもの体を弱くしている、と警鐘を鳴らす藤田先生。
「私たちの免疫力は何で決まるかというと、腸です。腸内にいる細菌の種類が多ければ多いほど、体の外から入ってくる様々な悪い菌(病原菌)に対応できる可能性が高くなる。つまり免疫力が高く、病気にかかりにくくなるんです。人間は子どものうちに身の周りからさまざまな菌を取り込んで腸内細菌の数や種類を増やしていきますが、その人が生涯持つ腸内細菌の種類は、なんと1歳までで決まってしまいます。5歳くらいまでは増やせますが、子どものうちにどれだけたくさんの種類の菌を取り込めるかで、その後の体の強さ・元気さが決まるということ。除菌・抗菌をがんばりすぎて生活の中から菌を排除してしまうことは、子どもの健康を一生で考えると明らかにマイナス。そもそも、人間は菌と共存している生き物。何千万年もかけて自然の異物とつき合い、それによって免疫力をつけ長い寿命を手に入れたのです。いい菌も悪い菌もいっしょくたに排除する今の日本の清潔志向は、健康のためと言いながら、まるで真逆のことをやっているのです。
もちろん、かぜやインフルエンザなど、病原菌を体に入れないのが大事なのは言うまでもありませんが、入ってきた悪い菌を追い出したりやっつけたりできるのも、また菌の力です。菌がどうしても気になるママ、子どもの将来のためにここらでひとつ、見直してみませんか」