ママの孤立と不安について頼れる保育者・柴田愛子先生に聞きました【前編】
2020年10月17日

ママの孤立と不安について頼れる保育者・柴田愛子先生に聞きました【前編】

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子育てをしながら除菌や換気に気をつけた新しい生活が始まっています。ママとしては「もし、また休園や休校になったら……」「家族が感染したらどうなるんだろう……」と、なんとなくモヤモヤした気持ちも溜まってきました。ママの孤立や不安が高まる様子がメディアで報道されるたびに他人事ではないと思っている方も多いはず。

そこでコロナが気になり始めた2月と、自粛期間中の5月は電話取材でお話を聞き、kodomoe10月号にも登場してくれた頼れる保育者・柴田愛子先生。今回はママの孤立や不安について聞きました。

 大丈夫! 大丈夫よ!

ーー感染者数や不安なニュースを見る度に、なんとなく不安になってしまいます。
まずね、大丈夫だから! 大丈夫よ! 焦ることが一番いけないからね。何が心配か一緒に考えてみましょうね。「感染が心配」「お金が心配」いろいろありますね。「りんごの木」では、コロナの絵を描きました。見えないものは「見える化」しましょう。子どもたちに、コロナの菌を紙に描いて見せて、子どもたちに近づいていくのですが、「元気な子どもには近寄れないぞ~」とコロナが逃げていくところを見せました。元気がないお年寄りの方へ行ってしまうから、お年寄りには近づかないこと、ってね。私もお年寄りですけどね。子どもだって不安ですから、視覚化して、「元気なら簡単にはコロナは寄ってこない」と思えれば安心します。

ウイルスって何? と思ったので、私なりに勉強しました。人間の歴史の方がずっと浅い。地球上にどこでもいるのがウイルスです。じゃあ、地球から引っ越した方がいいだろう、引っ越すなら隣の惑星の火星だな、と、興味は宇宙に広がりました。そうすると火星まで1年半かかることがわかって、これはダメだ。そうだ、恐竜だってあんなに繁栄したのに絶滅してしまった。最後の恐竜は何を思っただろう。そんな風に、コロナのことを考えているはずなのに、壮大な時間と生命のロマンにワクワクしてきました。

 できることをしたら、腹をくくりましょう

コロナのことばかり考えるとわからなくなってきます。でも、考えてみて。今、私たちができることは、あまりありません。手指消毒とマスク、外出を少なくすること。お母さんだって、最後は子どもを自分のお腹にギュッと抱きしめるくらいしか、できることはありません。腹をくくりましょう。「今までと同じように暮らしたい」というのは無理ですから。

生活が変わって保護者から相談されることもよくありますが、いい変わり方をした話も聞きます。自粛期間中に親子だけでいることに息苦しさを抱えていて、子連れでできる野菜の仕分けの仕事を見つけたら、お母さんもホッとできたし、子どもも親の近くで楽しそうに遊んだり、野菜にも興味が出てきたりしたそうです。それから長らく「こうあるべき」と“いい人”を生きてきたお母さんが、コロナのおかげでお誘いを断ったり、家事を怠けたりして「まぁいいか」と思えるようになったそうです。三食ごはんを作ってイライラしていた別のお母さんは、一番上の息子さんが「お母さんが大変だからお昼ごはんは自分で作るよ」と言って、ごはんを毎日炊いてくれるようになったそうです。嬉しい変わり方、ありませんか?

 一人で子どもの責任を負うのは力量オーバー

ーーお母さんが家族の健康管理をしなくてはいけないと思い込んでいるから、責任が重くのしかかるのでしょうか?
親だけが子どもを育てるなんて大変よ。育児の免許を持ってるの? 親が絶対君主になっても、子どもが苦しいばかりですから、親が一人で引き受けることは無理です。そのためにママ友がいるし、私たち保育者がいますから。近所の方でもいいし、誰かはいます。「迷惑をかけられる関係」があるのが、住みやすい地域ということです。誰も子育ての専門教育は受けていないのですから、命のつながりがあるというだけで子どもの責任を背負っては、力量オーバーという自覚を持ちましょう。

辛いと思ったときには助けてと言う勇気を持ちましょう。子どもを預かってもらえばいいんです。「他のママはちゃんとやっているのに、私にはできない」と思ったら、そう言ってしまえばいいんです。「私もそうよ」と言ってもらえますからね。自粛で子どもの発達が不安ですと言うお母さんもいました。でも、心は止まりません。子どもには育つ力がありますから大丈夫です。人間の心はどんな状況でも育まれていますから安心してください。アンネ・フランクも、マララさんも過酷な環境下でも健やかに心を育めていたでしょう。

ユニセフが発表した「子どもの幸福度」で日本は20位でした。身体的健康は1位なのに、精神的幸福度は38か国中37位。これは明らかに、頭と体と心を別々に育てているからですね。日本の子どもの教育から心が抜け落ちちゃった。「今が変え時」だと思います。子どもと一緒に大人も心を動かして、言いたいことを言って、本音で話して、したいことをするのが大切です。

まだまだ聞きたい話がありますが、続きは明日配信! 不安な気持ちが逃げていく方法を柴田愛子先生に聞きました。お楽しみに。

柴田愛子先生の記事はこちらでも読めます
子どもとのおこもりの不安を柴田愛子先生に聞きました〜家族編〜
「言葉が遅いのはあたりまえです」柴田愛子先生に聞きました【第1回】
柴田愛子流、ホンネの育児。【kodomoe 2020年10月号より ちょっと見せ】

写真/繁延あづさ

柴田愛子
しばたあいこ/1948年東京都生まれ。保育者。1982年、横浜市で認可外保育施設「りんごの木」を創設。2歳から5歳までの子どもたちが通う。保育の現場に立ちながら、雑誌、新聞、テレビ、ラジオなどで「子どもに寄り添う」姿勢を伝える。著書に『子育てを楽しむ本』『保育の瞬間』『こどものみかた』他多数。絵本に『けんかのきもち』(日本絵本賞受賞)、『ぜっこう』『ありがとうのきもち』『わたしのくつ』『ざりがにつり』他。
りんごの木 http://www.lares.dti.ne.jp/~ringo/

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