ひとりっ子&きょうだい育児の心得とは?【ひとりっ子&きょうだいの育て方・3】
ひとりっ子やきょうだいのキャラクターの違いや、それぞれの育児のメリット・デメリットについてお届けしてきた【ひとりっ子&きょうだいの育て方】。今回は、ひとりっ子&きょうだいの特徴を生かした育児方法についてご紹介します。子どもの発達や心理に詳しく、育て方やしつけに関する著書を多数持つ岩立京子さんに引き続き教えていただきます。
メリットを生かそう!
ひとりっ子育児の心得
愛情も時間も独占! それは子どもにとって、何より幸せなこと。
自分に自信を持ち、個性をぐんぐん伸ばしていける環境が整っているのです。
心得1
きょうだいがいなくて「かわいそう」と思わない
「きょうだいを作ってあげられなくて、申し訳ない」という気持ちは、子どもにも伝わります。自分は「かわいそうな子」だという意識を植え付けてしまう恐れも。むしろ、「ママやパパの愛は全部あなたのもの」と伝えることで、心が満たされ、自信が養われるのです。
心得2
子どもをよく観察してあせらない
「マイペース過ぎて、周りになじめていないかも?」と、先回りして心配し過ぎないこと。その子なりにお友達との距離を学んでいます。けしかけると余計に後ずさりすることも。あせらず見守れば、子どもも安心します。
心得3
親が100%遊びの相手をしなくてもOK
「一緒に遊んであげなきゃ!」と一人で背負い込まずに、ときには児童館で育児のプロに頼るなど、息を抜くことも大切です。知育おもちゃやDVDなども上手に活用しましょう。ひとり遊びだって、学びにつながるのです。
心得4
タテだけでなくヨコ・ナナメの関係性も取り入れてみる
「ママもアイス食べたい」「疲れちゃった」など、ときには自然な気持ちをぶつけてみて。親と子はタテの関係。そこに、同年代のヨコ、きょうだいのナナメという関係を疑似的に取り入れることで、相手にも都合や気持ちがあることを学べます。
心得5
習いごとや教育に熱心になりすぎない
「学ぶ機会を与えたい」「子どもの才能を見出してあげたい」と、時間もお金も一極集中。しかし、子どもにとっては知らないうちにプレッシャーになっていることも。自由気ままに過ごせる時間が、親にも子にも必要なのです。
心得6
親がすべてを選んで与えない
おもちゃも服も遊び方も、親がよかれと思って選んで与えてしまう。それはときに、子どもが本当に欲しいものについて考え、選び取る機会を奪っている場合も。自分の欲求を表現する場面を作ってあげることも必要です。
その子に必要な愛情表現を!
きょうだい育児の心得
きょうだいは、ときに親の愛情を奪い合うライバル。
ひとりひとりの求めている時間と内容に合わせた愛情表現が大切です。
心得1
"平等"ではなく"必要な子に必要な時間と内容"を!
必要な愛情も時間も、子どもによって異なります。「ママ見て」と訴えてくる子には、忙しくても時間を作って向き合うこと。そのときは大変でも、十分に満たされた子は、きょうだいにも愛を注げるようになるのです。
心得2
「おにいちゃん(おねえちゃん)だから」は禁句
弟や妹は、悪気なく上の子の領域を侵害してきます。我慢を強いられるその理不尽さを、理解してあげて。下の子が悪いことをしたら、下の子を叱る。親のその姿勢は、下の子にとっても善悪を学ぶ機会となるのです。
心得3
きょうだいゲンカには基本的に介入しない
ケンカをしないきょうだいはいません。手を出さない、武器を使わないなどルールを厳守させたら、親は介入せず、気の済むまでやらせましょう。ケンカにくたびれたら、それぞれ折り合いをつけることを学習するはずです。
心得4
ナナメの関係性を大事にする
ちょっと年上、年下というのが、ナナメの関係。甘えたり甘えさせたり、でも、ケンカになれば上の子に力で負ける。きょうだいは小さな社会です。フラットではない関係性を通して、子どもは社会性を身に付けていくのです。
そうは言っても悩みます……
ひとりっ子&きょうだい育児のQ&A
ひとりっ子だと、「きょうだいがいたら……」と思い、きょうだいが多いと「ひとりっ子のようにはいかない」と悩む。子育てには、ないものねだりがつきものかもしれません。
ひとりっ子
Q
「赤ちゃんが欲しい。どうしてうちには弟や妹がいないの?」と聞かれます。
(takakoさん/4歳男の子ママ)
A.
「欲しいけどできないの」と、正直に伝えてOK
子どもが小さいうちは、「コウノトリさんがまだやってこないんだよ」、年長さんになれば「ママのお腹が年をとったから、欲しいけど無理なんだよ」と普通に伝えてかまいません。ごまかさず、正直に話してあげて。
ひとりっ子
Q
親戚などから「きょうだいは作ってあげないと、かわいそうよ」と言われます。
(みちさん/5歳女の子ママ)
A.
きょうだいがいいとは限らない 自信を持って愛情を示して
「将来親の面倒をひとりで見なきゃいけない」など、他人はネガティブな要素を並べてくるもの。でも、大人でもいさかいの絶えないきょうだいはいます。親が自信を持って子どもに向き合うことが大切なのです。
きょうだい
Q
上の子と下の子の年が離れているので、生活の時間帯や遊び方が違う。ここに対応するのが大変。
(みおこさん/10歳、4歳、0歳の男の子ママ)
A.
我慢させた分だけ、スペシャルな時間を作る
上の子に我慢させた分は、週末などにスペシャルな時間を作ってあげましょう。パパに下の子を任せて、ママと2人だけで、上の子のしたい遊びをとことんする。甘えさせてあげる。毎日じゃなくても、特別な時間が必ずあることを理解すれば、子どもは満足できるのです。
きょうだい
Q
真ん中っ子が上の子、下の子とケンカばかり。上と下が組むので、真ん中が孤立しがちです。
(りえさん/9歳&5歳女の子、2歳男の子ママ)
A.
ケンカには介入せず子どもの気持ちは受け止めて
上からは強さで押さえつけられ、下にはかわいさで負ける。何かと損な立場の真ん中っ子。親はケンカに介入しないのが基本ですが、真ん中っ子の言い分を聞いて、気持ちを受け止めてあげることは大切です。
きょうだい
Q
下の子がかわい過ぎて、赤ちゃん返りをして困らせる上の子が、かわいいと思えない。
(MAYUさん/4歳女の子、1歳男の子ママ)
A.
「あなたが大好きよ」とあえて声に出してみる
赤ちゃんがかわいいのは、当たり前。でも、赤ちゃんの真似をしてまでママに甘える子どもの健気さも、認めてあげて。ここが子育てで一番大事なところです。今はわずらわしさが強くても、「大好きよ」「あなたがかわいい」と、あえて口に出して伝えてみましょう。
岩立京子 先生
いわたてきょうこ/教育心理学者。東京学芸大学総合教育科学系幼児教育教室教授。幼児教育行政の委員やメディア出演などで幅広く活動。著書に『いい母は、いい子を作れない』(経済界)など。
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イラスト/オガワナホ、編集協力/田所佐月(kodomoe2017年10月号掲載)