思春期の子どもたちは、追うと逃げる野生動物のよう。だからこそ「食卓」からできることがある【日登美のタベコト in Berlin・75】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
台所で繋がる親子の絆
子どもが小さい頃は、食育に熱心になったり、ご飯を手作りしたりと一生懸命なことも多いと思いますが、実は私の経験から申しますと、この食卓というのは思春期の子どもたちにこそぜひ活用してほしいものなのです。
逆に言うと、幼児期ってそんなに無理してご馳走作ったり、頑張らなくても大丈夫。ほんわり楽しく、とにかく無理せずお母さんが笑っていられる、というのが肝だったりします。
けれど思春期の子どもたちは、美味しいものでお腹を満たす!ということだけで親子関係が良くなったりする不思議なところがあります。買い食いや外食も楽しい年頃なのですが、だからこそ、「たまに」でいいので家庭料理、母の手作り弁当などが絶大な効果をもたらします。
思春期の子どもたちって、追うと逃げる野生動物のよう。口をひらけばぶつかる、かと思ったら部屋に閉じこもる、という、コミュニケーションを取りづらい人たちです。ましてやスキンシップなど取らせてくれないことも多く、子どもとの接点をどう見付けたらいいかわからないことも多いのではないでしょうか?
そんなときは、手は握らせてくれないので、代わりにおむすびを握って持たせる。頼まれないのに、好きなおかずを作ってあげる。胃袋が満たされるとつい笑顔が溢れてしまうのは、思春期も例外ではありません。そうして何気なく食卓から愛を送る。言葉にすると伝わらないものを伝えられるのが食卓なのです。
一緒に食べなくてもそっと、弁当を用意する、置き夕飯をする。それでいいのです。それが空になっていた時の喜び(笑)は、まさに野生動物とのコンタクトが取れた瞬間のような感動!
台所でつながる、食べ物を通して愛を送る。元気を送る。きっとそれはお守りのようなもの。これも一種のスキンシップです。
思春期の子育てって親子共々壮絶な日々ではありますが、大きくなった子どもにこそ、食卓というコミュニケーションを活かしていきたいと思います。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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