「もうお母さんびっくり。変化球すぎて!」17歳、思春期バリバリの息子が、帰宅するなり台所でやったこと【日登美のタベコト in Berlin・28】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主催している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
台所は憩いの場
先日大安売りしていたヘーゼルナッツを大量に買い込んだ夫。これでイタリアで食べた美味しいアイスクリームを再現しよう!と意気込んでいる様子。ドイツにいると結構木の実を食べるので、胡桃(くるみ)やヘーゼルナッツ、アーモンドなどの殻割器がだいたいどの家庭にもあってみんなでせっせと殻を割ったりします。
その姿はちょうど日本ではサヤインゲンの筋を取ったり、そら豆を鞘から外したり、そういう台所の光景を思い起こさせます。私はこの料理が並ぶ前の台所の風景もとても好きです。みんながテーブルを囲んで四方山話をしながら食材の下ごしらえをする。なんだかとっても平和な光景ではないですか。今では便利になんでも皮剥いて売ったりもしてくれていますけど、この手間がなんともいいなぁと思っています。
この日もまず殻割りに嬉々として参加したのはもちろん下の2人の子ども。けれど意外なことに久しぶりに家に帰ってきた思春期バリバリの17歳の息子も殻割り作業を見るなり、「え、これ楽しそう。俺もやっていい?」と6歳の妹と一緒にやり始めました。「もうお母さんがびっくりするわよ。変化球すぎて!」と心の中で囁きながらもこの光景を微笑ましく眺めておりました。
そういえば、今じゃ親とは離れていきがちな思春期のお兄ちゃんたちも小さい頃は一緒に空豆の鞘外しをしてくれたり、梅干し用に杏のヘタを取ったりしたものでした。台所の記憶が体に染み込んでいるのでしょうか。戻ってくるもんですね、子どもって。そしてもう一人、嬉々として手伝いに来たのはヘーゼルナッツを大量に買い込んだ張本人の夫。台所にパソコンを持ち込んで仕事の合間に殻割り。良い気分転換になるのだそう。それは一石二鳥ですね。
こんなふうに我が家の台所はいろんな人が訪れては手を動かし、入れ替わり立ち替わり集っては何かを作ったり食べたり下ごしらえをしたりしています。言葉を交わさなくてもほっと幸せな気持ちのする台所は、我が家の憩いの場なのです。
日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
instagram / @hitomihigashi_b
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