2022年7月7日

子育て世代こそ「ハザードマップ」を見て欲しい!

自分の住む地域の「ハザードマップ」を見たことはありますか? 災害後、実際に被害があった区域とハザードマップの被害想定区域を照らし合わせると、重なることも多く、ハザードマップの重要性はさらに増しています。
アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんが「子育て世代こそ、ハザードマップを見て欲しい」と話す、その理由とは?

ハザードマップってナニ?

ハザードマップとは、被災がおよぶ想定区域や避難場所、避難経路、危険な場所などを表した地図のことをいいます。
地震や洪水などの自然災害による被害をできるだけ小さくすることや、防災対策に使用する目的で作られているもので、災害によりそれぞれ異なり、各自治体で作成しているため、見た目や内容にはそれぞれに違いがあります。

「ハザードマップは自分や家族のいる場所が危険かどうかを知る大切な手段です。見たことがないという人もまだまだ多いのが現状。何が書かれているのか、なぜ見て欲しいのかをぜひ知って欲しいです」(あんどうりすさん)

ハザードマップには
何が書いてある?

子育て世代こそ「ハザードマップ」を見て欲しい!の画像1

「保護者の方にはまず、『水害』に関するハザードマップを見て欲しいと思います(※1)。
水害に関するハザードマップには、洪水や内水氾濫のときにどの地域で浸水するかという『浸水想定区域』が、赤や青などの色別に表示されています。ただ、色だけを見ていても、いつその状態になるのかが分からなければ避難にはつながりません。
そのハザードマップが何を意味しているかを知ることが、いつ避難すべきなのかの判断につながっていくのです(※2)。」

※1 自治体により『洪水ハザードマップ』『水害ハザードマップ』『浸水ハザードマップ』などの名称で掲載されています。
※2 中小河川や小規模河川、用水路などについてはハザードマップに反映されていない場合もあり、色がついていない=安全とは言えないため注意が必要です。

いつ避難を
すれば良い?

警戒レベル3は
乳幼児がいる家庭も避難対象

「水害や土砂災害の防災情報はさまざまで、結局いつ避難すれば良いのか分からなくなる人もいるかもしれません。その場合はまず、市町村が発令する『警戒レベル情報』を目安にして欲しいと思います。

警戒レベルは5段階あり、レベル4は全員避難、レベル5はすでに災害が発生している状況です。小さな子どもがいるなど避難に時間がかかる場合は『レベル3』での避難が推奨されています。
ハザードマップを見て危険だとされる場所に住んでいるならば、浸水していない段階で避難をすると決めておくことが必要です。どの段階で避難するかということを事前に決めておくことは、実際の災害時に慌てず行動できることにも繋がるからです。
過去の例を見ると、水害の警戒レベル4が発令されてわずか4分で堤防が決壊したということもありました。子ども連れの避難は『警戒レベル3』での避難が安全でしょう。

ちなみに『1時間に30mm』の雨は、まるでバケツをひっくり返したような雨で、道路は川のようになり、前が見えず行動が難しい状態になります。
1時間に20mm以上になると傘をさしていても濡れるのが一般的、10mm以上では地面からの跳ね返りで足元が濡れたり、地面一面に水たまりができるため、子どもを連れての避難はこの『1時間に10mm』の雨でも難しく感じます。
早めの避難を決断する理由は、雨が激しくなると避難することができなくなってしまうから。これらの数値は意識しておきたいですね。」

子育て世代こそ「ハザードマップ」を見て欲しい!の画像2

江戸川みんなの防災プロジェクト「どうする? 水害から命を守る行動」より引用(※3)

「ただし、警戒レベル3での避難にはデメリットもあります。それは、警戒レベル3が出されている時点では雨が降っていなかったり、まだ川の水位も上昇していないため避難するには大げさに思えてしまうことです。また、実際には予測からはずれて、大きな被害にならずに済むこともあります。
ただ、繰り返しになりますが、ハザードマップで現在地が危険な場所かどうかを知ること、危険な場所にいるということが分かっているのならば、早い段階で避難すると決めて行動することはとても重要です」

ハザードマップを
LINEから取得!

「ハザードマップを取得する方法は、自治体のウェブサイトなどを検索する他に、ママ達におすすめしたいのがLINEで『内閣府防災』とお友達になる方法です。」とあんどうさんが教えてくれたのは、2020年9月にスタートしたLINE公式アカウント「内閣府防災」。

取得方法は、LINE公式アカウント「内閣府防災」のQRコードを読み取る方法(※4)、または「LINE ID:@bosai」を検索して「内閣府防災」を友達追加。
LINEからの操作で、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類のハザードマップを確認することができる他、「自宅外への避難の必要性」や「避難のタイミングについて」など「避難行動判定フローを確認する」ことができ、避難についてのアドバイスが表示されます。

子育て世代こそ「ハザードマップ」を見て欲しい!の画像3

出典:ハザードマップポータルサイト

重ねるハザードマップ
確認したい地域の地図上に、洪水や土砂災害、津波、道路防災情報などの複数の災害リスクを重ねて表示できる。さらに市区町村の境界に関係なく広範囲が表示されるので、地域の災害リスクを俯瞰的に確認することができる。

わがまちハザードマップ
その名の通り、市区町村が作成している、地域の災害リスクについての詳細な情報が確認できる。

【出典】
※3 江戸川みんなの防災プロジェクト「どうする? 水害から命を守る行動」 http://edomb.wp.xdomain.jp/program/manga
※4 LINE公式アカウント「内閣府防災」プレスリリース  http://www.bousai.go.jp/pdf/line.pdf
ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/index.html

子育て世代こそ「ハザードマップ」を見て欲しい!の画像4教えてくれたのは
あんどうりすさん
あんどうりす/アウトドア防災ガイド リスク対策.com名誉顧問
阪神淡路大震災の経験とアウトドアスキルを使った日常にも役立つ防災テクを、赤ちゃん子育て仲間に話したのが2003年。技だけなく仕組みと知恵が得られると好評で、口コミで全国に広がる。現在、企業研修など多様な講演、FM西東京パーソナリティ、リスク対策.comなど防災記事も執筆。ゆるくて楽しい防災が好み。
Facebook:https://www.facebook.com/andorisu
Twitter:https://twitter.com/andorisu_bosai

Photo by Adobe Stock
※この記事は、2020年10月にウェブ掲載されたものを再編集しています

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