絵本は友だち【杉浦さやか「おやこ プチプラごっこ+ plus」vol.17】
安く、楽しく!をモットーに8歳の娘・ふきちゃんとプチプラ生活を楽しむ、イラストレーター杉浦さやかさんの生活のあれこれweb版。今回は絵本の楽しみ方について。
元来器が小さく、まったく自信のない母親業ですが、絵本の読み聞かせだけは楽しんでやれたなぁ、という自負があります。娘と一緒に、絵本の世界に入っていく時間はとても楽しかった。保育園の通園路に中央図書館があったので、よくより道しました。何冊かは好きなものを選ばせ、あとは私が読みたい本でかためるのが常。何度も読むはめになるんだもの、自分が読んで楽しい本がいいに決まってる。雑誌でおすすめや気になる絵本をチェックして、スマホに五十音順にタイトルをメモしておきます(棚に五十音順で並んでいるから)。そんな中から、親子で気に入ったものを購入していました。
1歳半くらいから徐々に絵本に興味を持ちはじめ、寝る前に絵本タイムを設けるようになりました。しかけが楽しいtupera tuperaの『やさいさん』『くだものさん』(学研プラス)、リズムが歌うようでノリノリで読める『おちゃわんかぞく』(白泉社 林木林/文、いぬんこ/絵)、1~2歳はとにかくお気に入りを何度も読まされるので、特に印象に残っています。
2歳で保育園に行きはじめたあたりから、イヤイヤ期に突入。ひと騒ぎしたあと気分をリセットするために、膝の上にのせて絵本を2冊ほど読みます。そうすると落ち着いて(私も……)、要求をあきらめたり、しぶしぶ保育園に向かう気分になったり。いつものように大騒ぎしたあと、まだろくに言葉をしゃべれない娘が自分で絵本を持ってきて、目に涙をためながら私に差し出したのには驚きました。気分を変える方法だってことを、ちゃんと理解しているんだなぁ。
成長に感動しながら、絵本を読んだのでした。
3歳で転園した春はもう自我も芽生え、慣れるまでは毎朝「行きたくない」と大泣きの日々。登園前にだっこしての読み聞かせは、儀式のようなものでした。オムツでしか大が出来なかったのが、トイレでできるようになったのも、絵本がきっかけ。便座に座る娘にお気に入りの絵本を読んでやり、長く座ってがんばることを身体で覚えてもらったっけ。こんなふうに、娘の成長の横には、いつも絵本がありました。
『ぐりとぐら』(福音館書店 中川李枝子/作、大村百合子/絵)に『チリとチリリ』(ア
リス館 どいかや/作)、「バムとケロ」シリーズ(文溪堂 島田ゆか/作・絵)、シリーズで読み進めるものもふえ、主人公たちの名前を、娘とお友達の名前で読んであげるとよろこんだなぁ。どれもおいしそうな食べ物が出てくるけど、0歳の頃から一番の興味はやはり「食」。野菜嫌いで偏食な娘だけど、食べることは大好きだもんね。
5~6歳になるとゆっくりゆっくり自分で声に出して読みたがるようになって、小学校に入る頃には『おしりたんてい』や『かいけつゾロリ』を自分で読むようになり。だんだんと読み聞かせの時間はなくなっていきました。「楽になったなぁ」と思う反面、もうめったにあの時間を共有することがなくなるのかと思うと、無性にさみしくもあります。
絵本の読み聞かせのおかげかはわからないけど、3年生になった現在の娘が、本好きであるのはたしか。漫画も大好きだけど、学校の図書の時間に借りてくる本も熱心に読んでいます。先日はじめて文庫本を借りてきて、そんなにも大きくなったんだなぁ、としみじみ。それがたいそうおいしそうなタイトルだったことが、娘らしくて笑ってしまいました。
今でも図書館に行くと私が数冊チョイスするのだけど、今のところはまだ興味を持って読んでくれています。たくさんの本に触れて、冒険や旅、おいしい体験をしてほしいものです。
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杉浦さやか「さやかとふきの親子デート+ plus」 はプチプラおでかけのヒントがいっぱい。
杉浦さやか Sayaka Sugiura
1971年生まれ。日本大学芸術学部卒業。在学中よりイラストレーターとして仕事を始める。 著書に『えほんとさんぽ』『おきにいりと暮らすABC』『おやこデート』(白泉社)、『おたのしみ歳時記』(ワニブックス)、『ニュー東京ホリデイ』『たのしみノートのつくりかた』(祥伝社)他多数。現在、10歳の娘・蕗と夫と3人で東京に暮らす。
杉浦さやか新刊プロジェクト(祥伝社)
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杉浦さやかTwitter
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