2021年6月4日

『アリィはおとどけやさん』【今日の絵本だより 第214回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『アリィはおとどけやさん』【今日の絵本だより 第214回】の画像1『アリィはおとどけやさん』
大久保雨咲/作 吉田尚令/絵 ひさかたチャイルド 1430円

6月4日は、虫の日。
ちょうど発売になったばかりの新刊、いろんな虫が登場する『アリィはおとどけやさん』をご紹介します。

草むらの中にある小さなお店、「アリィのおとどけやさん」。
ここでは、ありのおじょうさんのアリィが、荷物を届けるお仕事をしています。
「おおきなものも ちいさなものも
 なんだって、とどけますよー」
お店は毎日大忙し。
そこへ、
「もっ! もっ! もっ!」
と、お店のドアを叩く音がしました。
やってきたのは、アリィの友達のいもむし、イモムーです。
「おはよう、アリィ。いっしょに あそぼうよ!」
ちょうどそこへ、ばったのバターくんが荷物のお願いにやってきました。
「おしごとだから、また こんどね、イモムー!」
バターくんのいとこに届けるキャンディーを背負って、アリィは行ってしまいました。
毎日アリィを誘いにやってきては、そのたびにお仕事が忙しいからと、アリィに断られてしまうイモムー。
でもイモムーには、どうしても今アリィと遊びたい、大切な理由があったのです。

 「また こんどね」って、日々の生活の中でどうしても、お子さんに言ってしまいますよね。
いつも忙しいのだって、本当のこと。
でも、ちょっと立ち止まることで、見えてくるものがある。
順番にお店にやってくる虫たちもかわいくて、ちょっとせつなくて、それでも明日が少し楽しみになるような、優しい気持ちが心に残る絵本です。

次回も、虫にちなんだ絵本をご紹介します。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

 

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