『おはぎ3しまい』【今日の絵本だより 第157回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おはぎ3しまい』
兒玉季世/作 みらいパブリッシング 本体1400円+税
この4連休は、秋のお彼岸。
皆さん、おはぎはもう食べましたか?
つぶあん派、こしあん派、きなこ派。
黒ごま派に、青のり派。
ごはんの中にもあんこが入っているのがいい、いや、ないのがいい……。
ひとりひとり好みを聞いてみると、以外にそれぞれこだわりがあるおはぎ。
今回はこの夏に出たばかりの新刊、『おはぎ3しまい』をご紹介します。
おはぎの3しまい、長女のあん子、次女のきな子、三女ののり子。
「♪いつも さんにん なかよしこよし
♪きょうも げんきに おいしく いこう」
と、3人並んで歌っています。
みんなから一番人気なのは、長女のあん子。
きな子とのり子は、うらやましくてたまりません。
「あん子ねえちゃんは あんを 着ているから
ちやほやされているんだわ」
「ずるい ずるい」
と、妹ふたりで口をとがらせています。
そして、
「そうだ! いいこと おもいついた!」
と、何やらごにょごにょと内緒話。
さあ、夜になりました。
きな子とのり子は寝床をそーっとぬけだし、スヤスヤ寝ているあん子のあんをチョコッとつまんで、自分たちの頭にペタペタ。
背中にもペタペタ。
「にあう?」
「にあう にあう」
と、すっかりご満悦。
夢中になって、チョコッとペタペタを繰り返していたら、あらら、寝ているあん子はあっという間に真っ白に……。
「おねえちゃんばっかり、ずるい!」の姉妹あるあるが、おはぎにも。
妹たちのたくらみを止めたくなるような、とはいえ微笑ましいような。
ひとり真っ白になってしまった姉の姿に、ハラハラするような。
思わず保護者目線で見てしまう分、ラストにはホッと一安心。
「♪いつも さんにん なかよしこよし」と、3色そろったおはぎが食べたくなってきます。
……とは言え、私は青のりのおはぎにはいまだに出会ったことがないのですが、これは作ってみるしかない?
ちょうど見返しには「おやこでつくろう おいしいおはぎ」と、あん子、きな子、のり子の作り方も載っていますよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。