2020年9月17日

『かいわれざむらいとだいこんひめ』【今日の絵本だより 第156回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか

『かいわれざむらいとだいこんひめ』【今日の絵本だより 第156回】の画像1 『かいわれざむらいとだいこんひめ』
川北亮司/文 国松エリカ/絵 童心社 本体1300円+税

9月18日は、かいわれ大根の日。
日本かいわれ協会(現・日本スプラウト協会)が1986年9月の会合で制定したもので、18日なのは、「8」を横にして下に「1」をつけると、かいわれ大根の形になることから。
かいわれ大根の日があるのにも驚きですが、「18」の中にかいわれ大根を見出す、愛にあふれたアイディアも素敵ですね。
そんなかいわれ大根にちなんだ絵本と言えば、こちらの一冊。
『かいわれざむらいとだいこんひめ』です。

空に向かってみどりの頭をぴっと伸ばした、かいわれざむらい。
「われわれは かいわれわれ かいわれわれ……」と、15人並んで勇ましく、だいこんじょうにやってきました。
その頃だいこんじょうの中では、「だいこんひめがどこにもいない」と、殿も家来も城じゅうみんなで大騒ぎ。
「まかせて くだされ
 はっ はっ はっ」
と、かいわれざむらいは全員で、だいこんひめを探しに野原へ走ります。
「あっちか こっちか そっちか むこうか」
 こっちか むこうか そっちか あっちか」
あれあれ、意気揚々としていたかいわれざむらい、野原で転んだりぶつかったり、なんだか雲行きがあやしくなってきましたよ……。

勇ましいはずが、実はなんだかかわいいかいわれざむらいと(だって、かいわれですものね!)、行方不明のはずが実は……の、お茶目なだいこんひめと。
小さなさむらいと大きな姫さま(だって、かいわれとだいこんですものね!)の出会いがほほえましくて、何より、最初から最後までリズムのいい言葉が、声に出して楽しいのです。
日々の読み聞かせでは、大人が楽しくストレスなく読めることってかなり大事な要素だと思うのですが、これはその意味では太鼓判。
文字が追えるようになったお子さんに読んでもらっても、そして小学1、2年生の音読にもよいのではと思います。

一度読めば、
「われわれは かいわれわれ かいわれわれ……」
がすっかり頭の中でリフレイン。
最近、スーパーのスプラウト売場では豆苗におされ気味(?)のかいわれ大根ですが、この絵本を読んだらきっと、親子で「あった!」とかいわれ大根を手にしてしまいそうですよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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