ぬか漬けがあれば安泰。お気に入りはアボガド【我が家のごはん日記/いづいさちこさんちの食卓・2】
忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?
今月の「我が家のごはん日記」をご担当いただくのは、料理教室「くにたちの食卓 いづい」を主宰する、料理家のいづいさちこさん。中学生の男の子、小4の男の子、小2の女の子のママです。世の中は引き続き、“STAY HOME”の日々が続いていますが、そんななか、食べ盛りの3人のお子さんと毎日にぎやかに食卓を囲んでいる、といういづいさんに、日々のごはんを紹介していただきます!
いづいさちこさんちの食卓 #week2
<月曜日・昼>
飽きもせず、お昼のリクエストはパスタ。特にリクエストが多いのはカルボナーラ。冷蔵庫の野菜、今日はたけのこにそらまめに、かぶ、ミニトマトなど。
大きめのボウルに卵を割り入れ、よく混ぜます。生クリーム、軽く焼いたベーコンも加えれば、ソースはスタンバイOK。ランチなのでチーズは加えず、ほどよくさっぱりなイメージで。ゆであがったパスタをざるにあけたら、ここからは間髪入れず、一気に手を動かします。
ゆでたてパスタと具材をソースのボウルに入れたら、大急ぎでソースとからめ、大急ぎでお皿に盛ります。もたもたしているとソースがみんな炒り卵状態になってしまうので、ここはとにかく急げ! ! ! 我が家のように量が多い時には、ボウルに入れるパスタの分量を2回に分けます。
パスタはなんといっても出来たてのおいしさが1番。なので我が家では必ずゆでる前にカトラリーやお茶などはセッティングしてもらい、出来上がりすぐをみんなで頬張る、これが鉄則です。
<火曜日・おやつ>
次男10歳のバースデー。我が家では家族の誕生日にはロールケーキ が定番。トッピングは当人の好みや季節で変わります。次男のチョコレート好きはどうやら私似のようで、毎年次男のバースデーケーキにはチョコレートが欠かせません。
今回は、お菓子作りが大好きな娘がはりきって作ることに。ロールケーキ生地にクリームを塗って、手前にずらりといちごを並べて。それからくるりと巻きます。
今度は表面にもクリームを塗って、最後にトッピング。まずはいちごをのせて、ドライクランベリーをのせて、それからチョコレートをのせて。最後にアラザンをちらしてできあがり。
ケーキには所狭しとキャンドルが並びました。平日にもかかわらず、今年はステイホーム、ということで、思いがけず家族みんな揃ってのお祝いとなりました。
<水曜日・朝>
ごはんの朝には、たいてい具だくさんみそ汁を作ります。具だくさんなので、おかずはみそ汁のみ、あとはごはんのお供をあれこれと。家族みんなが大好きなぬか漬けがあれば安泰。それから梅干しだったり、たらこだったり、納豆だったり、お好きなものをどうぞ、とかごに並べます。あとはフルーツとヨーグルト。
具だくさんみそ汁は、冷蔵庫にあるものを気まぐれに入れるので、特に決まりはなく、その日その日の、ちょっと大げさにいえば、一期一会のみそ汁。ちなみにこの日の具材は、新玉ねぎに、かぶ、しめじ、それから豆腐にちくわに豚バラ肉など。
みそ汁のだしは厚削りを使っています。レッスンでもよく使用するのですが、鰹節などを厚めに削った削り節で、パンチの効いただしがとっても手軽にひけるのが魅力です。
我が家では、まず鍋にたっぷりの水を入れ、今回の具材ならば、まずは食べやすく切った新玉ねぎをなべに入れて、火にかけます。なべの上に取っ手付きのざるをかけ、その上に厚削りをのせます。具材を煮ながらだしがひけるので、わざわざだしをひく、という感覚なく、天然だしを楽しむことができるので我が家はずっとこのやり方です。
子どもたちのみそ汁はこれでできあがり。大人のみそ汁に欠かせないのは、最後のあしらい。万能ネギの小口だったり、しょうがのすりおろしだったり、余ったセロリの葉っぱだったり。七味もテーブルに並べて、気分次第で途中からぱらりぱらりとかけて味を変えながら楽しみます。なくてもよいのですが、あしらいのないみそ汁は私にとっては実に間が抜けていて、口惜しいもの。このひと手間で、たかがみそ汁ながらも、ぐっと質が上がります。時間がなくてあきらめる日もありますが、おいしいものためには、ひと手間かけます、かけます(笑)。
<金曜日・夜>
たけのこ好きの我が家に朗報。土付き、掘り立てのたけのこのおすそ分けが届きました! お家ごはんの日々、これほどせっせとたけのこを湯がく春は初めてです。
新鮮なたけのこで、今夜はたけのこのグラタン。グラタンは我が家の定番メニューです。ホワイトソースを仕込む作業もわりと好きなのですが、時間がない時に重宝するのがブールマニエ。やわらかくしたバターに同量の小麦粉を練り混ぜたもので、グラタンはもちろんシチューにも手軽にとろみをつけられます。
グラタン、手がかかるイメージがあるかもしれませんが、実はストック食材で気軽にできるメインメニューなんです。たとえば、じゃがいもに玉ねぎにベーコンやソーセージなど。今回はそれにたけのこを加えて。
具材を炒めたら、フライパンの一方に寄せ、空いているところにブールマニエ、牛乳を加えます。量が多いときは牛乳を一度に加えると混ぜにくいので2~3回に分けて。塩を加え、全体を混ぜながらとろみがつくまであたためればグラタン生地のできあがり。
付け合わせには、たけのことお豆をさっと焼いて、熱いうちに、しょうゆ1、酢1、砂糖1の合わせ調味料を回しかけた、焼き浸し。仕上げにおろししょうがを加えます。
それからご注文が入ったので我が家用も一緒に焼いた、ケークサレ。
そして次男のバースデーにと実家の母が送ってくれたソーセージなど。金曜日の夜はついつい、いつも以上にワインが進んでしまいます。
<土曜日・昼>
お家ごはんが続く日々、時々は自分の味ではないものが恋しくなるもの。ということで、地元の飲食店さんの応援の意も込めて、テイクアウトを利用することも。
この日のランチには、我が家からすぐそばにある、南インドカレー屋さんでテイクアウト。日替わりインドカレー、今回は、たけのこの入ったチキンカレーに、カシューナッツキーマ、それからじゃがいもとしめじのココナッツ風味の豆カレーなど。
カレーに合わせて、ホームベーカリーで仕込んだパン生地でナンを焼きます。ナンだけでは足りなそうなので、アーモンドとクミンのごはんも用意。こちらは炊飯器で通常通りの炊飯、お米と一緒にアーモンドスライスも加えて炊きます。クミンはお好みで。我が家の子どもたちはクミンが苦手なので、炊き上がりの一部にだけクミンシードを加えて保温します。あとは塩少々。
それから、これがあれば安泰、の、ぬか漬け。家族みんなが大好きなので、せっせと季節の野菜を漬けては食べて、漬けては食べて。私のお気に入りはアボカドで、アボカドの一番おいしい食べ方なのでは、と思うほどです。
毎日のごはん作り。同じメニューでも、子どもたちもそれから大人もみんなが美味しく食べたい、そんなヒントを探し続けています。そしてそのヒントが、レッスンでの新しいレシピの大切なエッセンスになることもしばしばです。
「くにたちの食卓 いづい」主宰。 静岡県生まれ。オーガニックレストラン、懐石料理店、 パン屋さん、料理教室のインストラクターなどさまざまな経験を生かし、 2004年夏より自宅にて料理教室を始める。 季節の料理教室やキッズ教室の開催、 カフェのメニュー開発、料理やお菓子の注文販売など。 著書に『箱詰めもてなしレシピ』、『箱詰めおやつの贈りもの』、『続けられるおべんとう』(ともに誠文堂新光社)、『箱詰め名人の持ちよりベストレシピ』(家の光協会)がある。 3児の母。
Instagram :@kunitachinoshokutaku_izui
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