2019年7月7日

『たなばたのねがいごと』【今日の絵本だより 第61回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『たなばたのねがいごと』【今日の絵本だより 第61回】の画像1『たなばたのねがいごと』
村中李衣/作 えがしらみちこ/絵 世界文化社 本体1100円+税

今日は、七夕。
ただ今発売中のkodomoe8月号連載「季節の絵本ノート」でも、七夕の絵本を5冊紹介していますが、これが実はとってもレアなテーマ。
ふだんのkodomoeは奇数月7日発売なので、発売日当日、7月7日の七夕の絵本は、これまでなかなかご紹介できなかったのです……。
発売日繰り上げで起きた、この奇跡!
5冊ともおすすめなのですが、今回のピックアップはこちらです。
『たなばたのねがいごと』。

あおいの通う園では、みんなで七夕の短冊にねがいごとを書きました。
ラジコンカー、ドレス、ゲーム機、子どもたちのいろんなねがいごとを見て、先生は笑いながらいいます。
「いろんな ねがいごとが かけたわね。
 でもね、ほんとうに すてきな ねがいごとは、
 じかんが たっても こわれたり なくなったり しない ものなのよ」
おもちゃのように後であきちゃったりしない、大事なねがいごと。
それって、どんなことでしょう?

お迎えに来たおばあちゃんと、手をつないで歩きながら、あおいは「じかんが たっても なくならないもの」のことを聞いてみます。
おばあちゃんは考えて答えてくれましたが、あおいはあんまりピンとこない様子。
おうちに着いてから、帰り道で買ったお花をおじいちゃんの写真に供えるふたり。
ずいぶん前に、亡くなったおじいちゃん。
七夕の織姫と彦星のように、おばあちゃんもおじいちゃんに会いたいんですって。
「ずうっと いっしょに あるいて いこうって、やくそくしたのにねえ」

その晩、おふとんの中でじっと考えたあおい。
翌日、園に着いてから、先生に伝えました。
「せんせい、あおいね、じかんが たっても
 なくならない おねがい、みつけたの」
そして、新しい短冊に書いたのは……。

あおいがクレヨンでしっかりと書いたおねがいの文字に、胸がきゅうっとします。
大切な誰かを思って願うって、それだけであたたかく、尊いもの。
『たなばたのねがいごと』、おばあちゃんが孫と読んだら、泣けてしまいそうなのでご用心ですよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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