「家族みんなが笑っている時間が幸せ」田中裕二さんインタビュー 完全版
昨年は、お笑いコンビ「爆笑問題」が30周年。毎日のように、テレビやラジオで活躍する田中裕二さん。2015年にタレントの山口もえさんと結婚し、2017年には第3子が誕生しました。仕事に復帰した山口さんをサポートしながら子どもたちとの生活や成長を楽しむ姿は、すっかりパパの顔。楽しくも温かい、田中家の子育て奮闘記をお届けします。(kodomoe2019年4月号掲載)
インタビュー/天田泉 撮影/大森忠明 スタイリスト/植田雅恵
たなかゆうじ/1965年東京都生まれ。日本大学藝術学部中退。88年に太田光さんとお笑いコンビ「爆笑問題」を結成。以後、多数のテレビ番組・ラジオ番組のレギュラーを持つ。漫才コンビとして2か月に一度開催される「タイタンライブ」にも毎回出演。2015年にタレントの山口もえさんと結婚。3人の子どもの父。
朝、「いってらっしゃい」と子どもを見送って
――現在、11歳の女の子、7歳の男の子、1歳8か月の女の子と、子育ての真っ最中です。田中家の一日はどんなふうに始まるのですか?
僕は、仕事で早朝に出かけることもありますが、それ以外のときは絶対、7時半には起きるようにしています。朝は、2番目の男の子がとにかく起きないんですよ。その子をどうにかして起こすことが、僕の一日の始まり。息子を担いでリビングに連れて行って、何か食べさせたり、飲ませたりしなきゃいけないんです。一番上のお姉ちゃんは、最近ひとりで起きられるようになって。朝7時に、ぱちっと目を覚まして、自分のことは自分でやってくれるので、本当に助かっているんです。
その間、ママは一番下の子の世話や保育園の準備をしたりしています。末っ子は、家の中をぺたぺた歩きまわったり、走りまわったりしては、どこかをぶつけて泣いたりしていますから、今はまだ目が離せないですね。ママは、子どもの夜泣きで何度も起こされて、ほとんど寝ていないような日もあって、朝から死んだように疲れているときもあります。
――お仕事で、夜遅くなることもあると思いますが、早起きは辛くないですか?
確かに辛いときはあります。ただ、そうでもしないと、子どもが学校に行くときに僕は寝ていて、帰宅する頃には今度は子どもたちが寝ている。気づいたら何日も顔を合わせていない……ということになっちゃうんですよ。さすがにそれはよくないから、よっぽどのことがない限りは、子どもたちが学校に行く前に起きて、「いってらっしゃい」と見送る。それだけはやろうと思っているんです。とにかく、一日のうちで1回は子どもと会うようにしています。
――山口もえさんも仕事に復帰されて。下のお子さんは保育園に通われているんですね。
はい。上のふたりを見送ったあとに、だいたい僕が下の子を保育園に連れて行きます。それで、そのまま仕事に行くことが多いかな。ママはその間に、やれ洗濯だ、洗い物だ、掃除だ……とやることがまだまだいっぱいあって。そのうえ、仕事もあったりする。だから、子どもを保育園に連れて行くのは僕がやる、という感じに自然となりました。今日なんかは、僕の仕事が朝早かったので、ママが連れて行きましたけれど。「明日の仕事は何時から?」と、お互いに確認しながら、何とかやっていますね。
――おふたりとも、本当にお忙しいと思いますが、コミュニケーションはどのように取っているんですか?
一番下の子が生まれる以前は、夜子どもたちが寝てから話す時間を作っていましたね。でも今は、下の子が保育園で昼寝をするせいか、夜なかなか寝てくれなくて……。ママも疲れ果てているから早く寝たいわけですし。だから、今は夜に話し合う時間はほとんどないんです。
ただ、僕や彼女の仕事が午後からみたいなときは、下の子を保育園に送ってから、ふたりでランチに行ったり、家で朝ごはんを食べたり。最近は、そういう過ごし方が多いかな。それから、今年になって、ふたりで同じジムに入ったんです。いつも一緒に行くわけではないですけれど。彼女が「これからジムに行く」と言ったときに、「あ、俺も今日は仕事が夕方からだから、一緒に行くわ」ということはたまにありますね。
子どもたちの成長を 見届けたい
――父親になる以前と、現在とで、ご自身の中で、変わったことはありますか?
そうですね。若い頃は子どもは面倒くさいと思っていたんです。この仕事を始めてしばらくした頃、全然仕事がない時期が2〜3年あって。その間、普通に近所のコンビニでバイトをしていたんです。そのときに、お客さんで子どもが来て、わがままだったりするのを見ると、「猫の方がよっぽどかわいいよ」と内心思っていました。要は自分が子どもだったっていうことなんですけど(笑)。
その頃を振り返ると、自分の将来を不安に思ったり、結婚したり、親になったりすることを想像することもなく、「今が楽しければ、それでいいじゃん」っていう気持ちが強かったですね。
でも今は、「この子たちがちゃんと大人になるところを見届けたいなあ」と思うようになりました。やっぱり、「どんな大人になるのか見てみたい」という興味もありますしね。3番目の娘は、僕が52歳のときの子なので、その子が成人するときには、僕は72歳。まわりの友達のお父さんが40、50代っていう中でね、ひとりだけおじいちゃんなわけですよ。一番には、とにかく「あと20年は死ねない」と。本当にそう思いますね。
自分が父親になる前にも、よく「孫の顔を見るまでは死ねない」なんていう言葉は聞いていましたが、「そういう考えがあるんだな」くらいの他人事に思っていました。だって、ベタな望みじゃないですか。でも、今はそれを実感として思うんです。「結婚するまで」とか「孫の顔を見るまで」とかまでは望まないから、せめて成人するまではって。一番上の子は結婚とか孫とか見れるかな、とか。そんなこと、独身のときは考えなかった。やっぱり考えるようになるんですね。
――そんなお気持ちもあって、ジムに通い始めたのですか?
まあ、そうですね。ずっと、運動しなきゃっていうのはあって。特にうちの奥さんに「もう、本当に運動しないんだから。最近、ちょっと太ってきたんじゃない?」とよく言われていたので。いいきっかけだから、行こうかと思ったんです。
子どもの運動会も、毎年行っていますけれど、親が参加する競技もあったりして。まわりを見るとみんな30代とかですよ。ぶっちゃけ僕の20コ下じゃないですか。「うわーっ」って思っちゃいますよね(苦笑)。