今日から怒らないママに。子どもの「○○しない」解決テクニック 前編
ごはん、お風呂、片づけetc.子どもって、いろんなことを「しない」生き物です。毎回怒るのはママも疲れちゃいますよね。スムーズに自分から「やる気」になるための実例アイディア、ご紹介します★(kodomoe2016年4月号)
イラスト/ホリナルミ
「しない」は自分で生きていく力を身に付ける前段階
せっかく作っても「ごはんいらな~い」、何回言ってもおもちゃ出しっぱなし……ママはついイライラ。
「子どもはママの気持ちにお構いなし。ママには大きなストレスだと思いますが、実はそれも大事な成長過程なんです」と岩立先生。
「子どもの側からすると、今は他にやりたいことがあったり、自分で納得してからやりたいのかもしれない。つまり親から見て『しない』は、子どもなりの考えがあってのことなんです」
とはいえ、毎日だと成長だからと笑ってばかりもいられません。
「子どもには、親の元を巣立つその日までに自分で生きていく力を身に付けさせたい。親の言うことを何でも聞く子は一見いい子のようですが、そればかりでは自分で考えて行動する力は身に付かないのです。子どもは誰しも、自分の中から芽生えるパワーを持っています。今は『しない』でも、子どもを尊重し、どんな促し方なら響くかを考えて工夫を重ねるうちに、自分の考えと相手の考えを調和させ、自分から“する子”になっていきます。無理に『やらせよう』と親ががんばり過ぎず、ゲーム性を持たせたり子どもの性格を逆手にとってみたり、楽しみながら促せるといいですね」
教えてくれた人
岩立京子先生
いわたてきょうこ/教育心理学者。東京学芸大学教授。子どもの発達や心理に詳しく、育て方やしつけに関する著書多数。著書に『いい母は、いい子を作れない』(経済界)など。
子どもを“その気”にさせるには
自分から「する」子に育てるには、子どもの心に添った提案のしかたが有効です。
年齢別に適した方法と、多くの子に共通に効く方法を、岩立先生がレクチャー。
年齢別“させる”アイディア
1〜2歳
言葉の理解が今ひとつ。環境を作ってあげて
「この時期は、まだママに何を言われているのか分からない子も多いはず。言葉で言って聞かせるのが難しいので、例えばおやつは小袋で渡して食事に差支えないようにする、テレビは区切りがあるものを観せる、他に楽しいことを提案して目の前のことから目を逸らさせるなど、環境づくりが大切です」
3〜4歳
相手の気持ちに気づいてくる年齢。ママの気持ちを伝えて
「心理学では3歳くらいから、好きな相手に対して思いやりが芽生えると言われます。『大好きなママが言うことだから聞こう』という気持ちが起こり、自分の気持ちとまわり(ママ)の状況を調整できるように。言葉が分かり始めるので、子どもの気持ちを無視せず『これが終わったら、こっちをやろうね』というように、促してみては」
5〜6歳
子どもの心を尊重して約束・交渉するのが効果的
「この年齢で大切なのは、子どもを尊重すること。『ママはこう思うけど、●●はどうしたい?』と聞いたり、二択で選ばせたり、こちらの提案を織り交ぜて促します。もしくは『このテレビを観たら、その後に必ずお片づけだよ』と約束をさせるのも◎ ただし、万が一約束を守れなくても子どもを追い詰めず、『次は守ってね』と、道を残してあげて」
いろんな年齢に使える!オールマイティテクニック
まねしたい気持ちを利用してママが率先してやってみよう
「子どもはママのまねが大好き。一方的に『○○しなさい』と言うよりは、ママが同じことをリードしてやると、まねして自分もやる場合が多いですよ。例えば歯みがきをして『あぁ、スッキリした!』とママが言い、それを子どもが納得すると、自分からやるようにも」
好きなキャラクターの力を借りて促そう
「ママが言っても聞かなくても、同じことを大好きなキャラクターに言われると張り切る子は多いもの。例えば『一緒にやろうよ!』とか『○○してくれたら、ボクうれしいな~』など、キャラクターが言っているように演じてみましょう。特に4歳くらいまでは効く方法です」
どんなに小さなことでもできたらほめてあげて
「たとえ8割をママがやり、子どもがやったことは残り2割だけだとしても、ほめてあげれば次回はもっとがんばります。そして時には『○○ちゃんがこれをやってくれて、ママは助かるな~』と頼って、自尊心をくすぐるのも効果的ですよ」