絵本作家・いぬんこ「『おちゃわんかぞく』のおとうちゃわんは友人がモデル」
NHK・Eテレの小学生向け知的エンターテインメント番組「シャキーン!」のイラストなどでもおなじみ、絵師で絵本作家のいぬんこさん。絵本づくりのこと、最近参加したちょっと変わった楽しいイベントのお話など、いぬんこさんの近況を伺いました。かわいい読者プレゼントもありますよ!
東大阪出身。西荻在住。嵯峨美術短期大学卒。浮世絵や大津絵、引札など日本の大衆絵画に影響を受け、それを現代の感覚で描きつないでいきたいと精進中。絵本に『おちゃわんかぞく』(林木林・文 白泉社)、「おかめ列車」シリーズ(好学社)、『こけしのゆめ』(チャンキー松本・文 学研教育出版)、『うれないやきそばパン』(富永まい、中尾昌稔・文 金の星社)、『ここにいるよ ざしきわらし』(荻原浩・文 朝日新聞出版)などがある。最新刊は9月末に大幅加筆して復刊された『おかめ列車 嫁にいく』。
―― 秋には、待望の『おかめ列車 嫁にいく』も復刊され、すっかり絵本作家のイメージが定着されました。
ありがたいことに、何冊も出させていただいて……。もともとは、女性誌のイラストがメインだったところに、テレビの「シャキーン!」のご依頼がありました。そのときに、「あまり子ども向けを意識しなくてもよいです」というお話だったので、のびのび描かせてもらって、またその番組を見た出版社さんから絵本の依頼をいただいて……という経緯で、今につながってます。
絵本を作っているときもそうなんですけど、子ども向けに大人が描いているというよりは、単純に自分の中の「子どもの心」が楽しめる絵を描いています。なので、布団の中から違う世界に行けたらおもしろいな!とか、そういう感じです。
―― どの作品も、ちょっと不思議で強烈な世界に子どもたちをいざなっています。
子どもの頃は「本当は世の中にいるのは自分だけで、家を出たら時が止まってるかもしれない!でも変に思われるから黙っておこう……」と妄想するような子で。大人になってからも「普通にしなきゃ」とは思ってるんですけど、でも本当はみんな黙ってるだけで、いろんなヘンテコな想像や妄想を持ってると思うんですよね。私の場合は、私の中に小2くらいの自分がいて……いや5歳くらいかな……それを絵本で解放させてもらってる感じですかね。
でも大人なので、面白い楽しいことにはリスクがあることも知っている。
『おかめ列車』にしても『こけしのゆめ』にしても、そういう、一回怖いところを通ったりしないと、面白いところには行けないんだよ、っていう気持ちが表現されていたりもします。
――コドモエのえほんでは、林木林さんとコンビを組まれました。とってもぴったりのおふたりでしたが、林さんとご一緒されていかがでしたか?
歌うようなリズム感のある言葉がとても楽しくて、絵も自然とちゃぶ台を舞台に踊ってる感じになりました。つい元気に飛んでおかわりしてる絵を描いたら、それに呼応して言葉も「おかわりジャーンプ!」と(林さんから変更の反応が)返ってきて、うれしかったです。
『おちゃわんかぞく』
林木林/文 いぬんこ/絵 白泉社
本体840円+税 対象年齢・1歳から