山口もえさんが、我が子に読み聞かせた思い出の絵本3冊は?【うちの読み聞かせ・10】
気になるあのママ・パパは、絵本をどんなふうに楽しんでいるの? 親子の読み聞かせについてお話をうかがう連載。第10回はバラエティー番組やドラマ出演のほか、本日から公開となる『映画 きかんしゃトーマス チャオ!とんでうたってディスカバリー!!』では声優にも初挑戦するなどマルチに活躍し、現在13歳の女の子、9歳の男の子、3歳の女の子の3人のママでもある山口もえさんです。
(編集部注:こちらのインタビューは2020年3月に行ったものです。)
心が揺さぶられる時期は子どもによって違う
そこが絵本の面白いところ
── お子さんたちに絵本の読み聞かせはされますか?
絵本を収納してある子どもたちの本棚があり、そこから子どもたちが読んで欲しい絵本を「これ読んで!」とピックアップして持ってくる夜には読んでいます。毎晩ではないんですけどね。
── お子さんたちが自分で選ぶんですね。
そうなんです。選ぶ絵本が兄妹によって違って面白いです。その絵本にハマると、同じ本ばかり持って来ますね。逆に面白そうだなと思って購入した本でも、子どもにハマらなかった本は本棚の肥やしになっています。でもそれも何年かして、「これ読んで」って持って来たりとか。
心が揺さぶられる時期や年頃が、その子によって違うというところがまた、絵本の面白いところだなって思います。
── お子さんと絵本を読むときに、何冊までなど決めごとはありますか?
決めごとは特にはしていませんね。だいたい読み始めるとエンドレスです。同じ本を繰り返して読みます。読み終わったら、今度はこっち……の繰り返し。これ、さっき読んだけど? っていう感じです(笑)。じゃあこの本で最後ね、続きは明日にしようね、と言ってなんとか終わります。
── もえさん自身の好きな本や、思い出深い本はありますか?
私が子どもの頃は「ノンタン」シリーズ(キヨノサチコ/作・絵 偕成社)や『ぐりとぐら』(中川李枝子/作 大村百合子/絵 福音館書店)が好きでした。思い出深いのは、出産祝いなどにいただいた『いないいないばあ』(松谷みよ子/文 瀬川康男/絵 童心社)です。我が家には何冊もあるんですよ。
便利なものがたくさん出てくる世の中になっても、世代を超えて受け継がれる作品は、絵のタッチや言葉のつづり方などみんなの心をギュッとつかむんだなあと思います。
私より長女の方が
読み聞かせが上手です
── 以前、kodomoe webで、ご主人の田中裕二さんにインタビューさせていただいたとき、長女のお姉ちゃんが「ちっちゃなママ」になって弟や妹の面倒を見てくれるというお話をしていただきました。お姉ちゃんは読み聞かせもされますか?
そう、私より長女の方が上手なんです!(笑) 長女が小さいときは、私も余裕があって、図書館で絵本や紙芝居などを借りてたくさん読んでいました。長女が2歳くらいだったと思いますが、字も読めないのに私の真似をして読み聞かせをしてくれていました。
持参したこの『ちょっとだけ』という本も、いまだに内容を全部覚えていて、今日ここに来るときに次女に読んであげていたのですが、長女は次のページのセリフまで覚えていましたね。私なんて早く終わらせようとしてたまにページを飛ばしたりするんですが、そうすると長女には、バレます(笑)。
── パパは読み聞かせはされていますか?
パパも私より上手です。登場するキャラクターを生かして、ちゃんと声を変えて役になりきって読んでくれますね。
── お子さん以外への読み聞かせや朗読の経験はありますか?
長男長女の小学校では、保護者が本を選んで子どもたちに読み聞かせする時間があるんです。以前、小児病棟のお子さんたちに読み聞かせするボランティアにも参加したことがあります。絵本って、幼稚園児など小さい子だけのイメージが強いですが、小学生も充分楽しんでくれますね。
── 読み聞かせをするとき、わが子相手でもどうしても緊張や恥ずかしさがあるのですが、もえさんはいかがですか?
本当にあれは自分との格闘ですね(笑)。長女は13歳なんですが、私の気持ちが乗ってきて声色を変えたりちょっと声を張ったりすると「出た出た。役になりきってる」とか言ってからかうワケですよ。「ちょっとー! 今せっかく気持ちが乗ってたのにー!」って(笑)。
でも、子どもは絵本を開くと、その世界にグッと入っていくじゃないですか。だからこちらの気持ちが乗ってきて声を張ったとしても、子どもの気持ちは絵本に集中しているので、意外と引いたりはしないと思います。ただ、子どもが年頃になってくると「声優ぶってるよ」って言われちゃいますけどね(笑)。
山口もえさんの思い出の読み聞かせ絵本3冊
── それではここで、山口さんの思い出の読み聞かせ絵本3冊を教えてください。
『きんぎょがにげた』
(五味太郎/作 福音館書店)
子どもとの掛け合いが楽しい絵本で、「どこ?」「ここ!」「こっち!」というように下の子も上の子も遊んだ絵本です。テンポよく子どもとの掛け合いを楽しみたいときはこの絵本にします。
金魚の場所はもう覚えているんです。それでもハイ! ハイ! と得意げに指で追いかける姿がかわいくて。リズム感のある絵本ですね。
『ロンパーちゃんとふうせん』
(酒井駒子/作・絵 白泉社)
手が届かない場所に浮かぶ風船に、お母さんが素敵なことをしてくれる『ロンパーちゃんとふうせん』。絵のタッチが昔から大好きで、子どもにもよく読んであげています。
『ちょっとだけ』
(瀧村有子/作 鈴木永子/絵 福音館書店)
この絵本は長女がお姉ちゃんになるときに買った絵本です。ひとりっ子からお姉ちゃんになる時期にちょうど合う本を探しに行ったとき、お店の方に話して教えていただいたのがこの『ちょっとだけ』です。
まさに下にきょうだいができてお姉ちゃんになるというお話で、お姉ちゃんになった子は、いろんなことにチャレンジするんですが、もちろんうまくいかないことも多くて。ちょっとだけ頑張ったお姉ちゃんは最後にちょっとだけ抱っこしてってお願いするんですが、そのときのお母さんの答えがとても素敵なんです。
お姉ちゃんになるということを教えてくれて、でも我慢しなくていいんだよ、ちゃんと甘えていいんだよということも伝えてくれます。親子両方の気持ちが推しはかれる素敵な一冊ですね。これからきょうだいを持つご予定のご家族におすすめです。
絵本を読み聞かせするとき
お母さんはみんな声優さんだと思います
── 絵本を読むときは声色を変えたりというお話でしたが、今回、映画での声優初挑戦ということで「映画 きかんしゃトーマス」に参加されましたね!
うちの息子はトーマスで育ったようなものだったので、今回の参加が決まったとき「何役? 何役?」と大興奮でした。映画も見に行っていましたし、出かけるときに必ず持ち歩いていたトーマスのおもちゃもありました。それを持っていないと機嫌が悪くなって「どこ行った!? トーマス!」となるくらい。
── 今回もえさんが演じるジーナは、早口だったり怒るシーンもありましたね。
そう、早かったんです(笑)。お話をいただいて、こんな感じですというのを聞いて「え! こんなに早い!」っていう衝撃を受けました。だから練習をすごく頑張りました。3歳の娘がセリフを覚えちゃうくらい! ジーナはイタリア語で話すところがあるんですけれど、そのセリフも覚えてしゃべっていましたね。
── 演じる上でなにか意識された部分はありますか?
ジーナはイタリアに来たトーマスにイタリアの素晴らしさを伝えてあげたいという気持ちがすごく強い女の子なんです。考古学などの難しいことをトーマスに教えてあげるのですが、その先には映画を見ている子どもたちがいるということを意識して話すようにしていました。
── 今回の映画は小さいお子さんも見やすい工夫がされているそうですね。ご家族で映画館に行かれることはありますか?
よく行くんです。一番下の娘は、去年は上映後すぐに泣いてしまってダメだったのですが、最近見に行ったときは全部見ることができたので、これからは一緒に楽しめそうです。
今回のトーマスの映画は、大きな音や会場の照明がおさえ目で、小さいお子さんも怖くないような工夫がされているので、映画が初めてのお子さんとの映画デビューにおすすめしたいです。
── 声で演じる映画の吹き替えと読み聞かせ、共通点はありましたか?
あると思いますね。だから、絵本を読んでいるお母さんはみんな声優さんになっていると思います。子どもに対して作品を伝えたいという気持ちで読んでいるのは、お母さんも声優さんも一緒だなと。
絵本も映画も、子どもはその中にフワッと一瞬で入ってしまうじゃないですか。だから、そこにある世界で子どもがより楽しめるように声を変えたりちょっと間をあけたりして、少しでも子どもの気持ちになって読んであげたいですね。自分が疲れていないとき限定ですけどね(笑)。
やまぐちもえ/おっとりした天然キャラとスローテンポな喋り方でバラエティ番組の他、ドラマ・映画・舞台・CMなどに出演。「映画 きかんしゃトーマス チャオ!とんでうたってディスカバリー!!」では、イタリアでトーマスにいろいろなことを教えてくれる女の子の機関車ジーナ役で声優初挑戦。13歳の女の子、9歳の男の子、3歳の女の子のママ。
映画 きかんしゃトーマス チャオ!とんでうたってディスカバリー!!
2020年9月4日(金)全国ロードショー
https://movie2020.thomasandfriends.jp/
撮影/森山祐子 取材・文/木村一実