
赤ちゃん用の食品に砂糖を使うことを禁止されているドイツ。そのかわりに乳幼児が食べているものは…【タベコト in Berlin・111】
ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
ドイツの乳幼児が食べているもの
ドイツの小さな子どもたちって、よくよく眺めてみると、お菓子をあまり食べていないんです。
ベビーカーに乗った子どもが食べているものを眺めてみると、ブレッツェル(パン)や多いのはポンセン。ポンセンは塩味のついていないものも売っていて、穀物の種類もお米だけでなく、とうもろこし、アマランサス入り、キヌア入り、きび入りなどなどさまざまな種類があります。1パック1~2ユーロでオーガニックのものが手に入るとあって人気。ほかには、ドライフルーツや、ドライフルーツと穀物などを混ぜて作ってある砂糖不使用のバーなど。乳幼児(生後10か月以上あたりから幼稚園くらいまで)の子どもたちのおやつに「砂糖不使用」を実践している親御さんが一般的なのです。
砂糖不使用がこんなに一般的なのが不思議だったのですが、なんとドイツでは赤ちゃん用食品に砂糖の添加が法律で禁止されているのだそう。さすがドイツ!

こちらドラッグストア内の乳幼児お菓子コーナー。全て砂糖不使用、そしてほぼ全てオーガニック。スムージー、ポンセン、ビスケット、フルーツバー、瓶の離乳食など。

小学生になった今でも好きな、乳幼児から飲めるスムージー。果物だけでなく野菜や穀物も入っているのがいい。こちらも砂糖不使用、オーガニック。低価格なのは、それだけ需要があるから。
今では教育水準の高い家庭ほどジャンクフードを食べさせない、はドイツだけでなく欧州にいると一般的に感じます。日本では砂糖不使用というと、意識高い系とか、子どもがかわいそうとか、お菓子を食べるのは子どもなら当たり前という雰囲気もまだあるかもしれませんが、時代は変わりつつあるようです。ドイツでは食品の与える健康リスクに対しての意識が高くこのような法律が成立しているのですから、このような眺め方が今後ますます増えていくかもしれません。

砂糖不使用を子どもの食事の基本にして、誕生日や特別な時は甘いお菓子を楽しむのが我が家流。

子どもが通っていたベルリンの普通の保育園。こちらも思えば砂糖不使用が徹底されていました。今さらドイツのスタンダードに気づく。
もちろんお菓子がいけないなんていうつもりはないけれど、常識とか子育ての当たり前って、国によって、時代によってすごく違いがあるのですよね。今までの常識を変化させたり、自分のスタンダードだった食や暮らしを懐疑的に眺めるというのは勇気のいることではありますが、時代の中で私たちも、そのまた前の世代も、それぞれのベストと信じるものを大事にやってきたわけですから、それを否定するのでなく、見直していきながら新しい時代に向けてより良いことを選んでいけるといいなと思います。

保育園のお別れ会のケーキも砂糖不使用で用意していました。「ありがとう」とブルーベリーで描いたりして。甘みはメープルシロップと米飴でつけました。
ともあれ、乳幼児期に砂糖不使用な食生活を実践することは、体のためだけでなく心のためにもおすすめ。日本ではまだその規制はないので、自分でできることとして、是非パッケージの裏の原材料をチェックして買い物をする習慣をおすすめしたいと思います。甘味は白いお砂糖をメープルシロップやきび砂糖、黒砂糖、米飴や甘酒というものに替えていくだけでも良い効果があると言われています。できることからちょっとずつ、無理なく、完璧を目指さずに、緩やかに変化を起こせたらいいですね。

日登美/ひとみ
3男3女6児の母。10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍、レシピ本など多数出版。現在はモデルとして活躍する傍ら、オーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに、食、暮らしと子育てのワークショップ、オンライン講座などを行う。
台所から子育て、暮らしを豊かに。「Mitte(ミッテ)」
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